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北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

路地  その1

2015-05-16 10:32:54 | 日記
阿部謹也対談集「歴史を読む」(人文書院1990年)に、阿部謹也さんと中上健次さんの対談

が収められています、、、。


阿部謹也さん




中上健次さん





対談の中身を少し書き写して抜粋してみます、、、。



阿部  ヨーロッパの場合は賎民の住む特定の場所が形成されるのは都市が出来てから、

    つまり共同体が生まれてからだと思います。共同体が出来るまえには畏怖の対象

    であった異能者が活躍する場はいたるところにあった。彼らがいなければ人々は

    生きていけなかったわけです。王も病気を治したり収穫を占ったりしていたわけ

    で、王になる人間も異能者だった。わたしの言葉でいえばミクロコスモスとマク

    ロコスモスの媒介者だったことになる。それが何故特定の仕事が賎視されていっ

    たのかというところが問題なのですね。日本の場合はという形をとるように

    なります。ヨーロッパではユダヤ人のような居住区は出来ますがは形成され

    なかったのは何故かという点は難しいですね、、、、、。

中上  ぼくもわからないところなんですが、日本ではいかにして被差別が形成され

    てくるのか?簡単にいうと大きな町(都市)が最初にあって、が都市の差異の

    反映としてでてくる。こうなると、被差別の実態は都市の側にあるとなっ

    て、の側にはほとんどないわけです。都市の鏡に写しだされた映像にすぎな

    いと思う。都市が消えればも消える、その逆もしかりであると。

阿部  その問題は都市共同体も含めた共同体の成立と賎民の成立が不可分だという点に

    示されているように思います。

    (中略)

    結局、ふたつの宇宙(注:ミクロコスモスとマクロコスモス)を壊していくのはキ

    リスト教なんですが、ひとつの価値体系で天地創造から最後の審判まで解釈しよ

    うとしてふたつの宇宙の存在を認めない。二つの宇宙の狭間で活躍していた人間

    はキリスト教の価値基準からはずされてしまう。

    (中略)

    そうしたことから賎視の問題を考えていくと、どこかで一元的な゛価値゛が入っ

    てきたことによって賎視かおこるのではないかと思う。それも相当な破壊力によ

    ってだと思います。


中上  日本の場合は仏教が入ってくることによって殺生という血を抑圧する事態がでて

    くる。日本に元々あったアニミズムみたいなものの集大成として神道があり、そ

    れがやはり変化をこうむったというのが故・高取正男さんの説ですよね。それは

    なる程なと思うんです。仏教における血の抑圧が神道に影響して穢れと浄めが分

    化していくんだと思います。それはヨーロッパとは違うんですね。

    (中略)

阿部  そこが日本とヨーロッパの大きな違いですね。というよりはヨーロッパが全世界

    的にみて極めて特殊なところだということになると思うんです。同じく賎視とい

    ってもヨーロッパの賎視と日本の賎視との違いもあって、それは日本の場合二つ

    の宇宙が現在にいたるまで並存しているという点にも示されているように思いま

    す。



ある意味では過激な内容で、キリスト教関係の方と仏教関係の方には申し訳ない、、、。

(「一元的な゛価値゛」の巨大教団が、「相当な破壊力」で「賎視」と「差別」を引き起

こしている、、、と読めなくもないので、、、。でも現代で、結果的に差別をもたらして

いる最大の巨大宗教教団は「学校教育」ではないのかな、、、?)




                     路地  その2  につづきます、、、。       

コメント
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