下北沢のCAFに行ってきました。観てきたのはプログラムCとD。
まずプログラムDの感想から。
このプログラムは全作品がおもしろかったです。こんなことはぼくにとってはとても稀なことなのですが。まずマクラレンの「カノン」。久々でしたが、かなりよかった。後追いしてゆく音楽に乗って、曲の数と同じだけのオブジェが動き回ります。そして一つの音楽が終わる毎に、一つのオブジェが消えてゆく。ここに切なさすら感じました。しかしそれだけで終わらないのがマクラレン。なんと説明すればいいものか、人間を出演させて、彼に奇妙な動作をさせます。そしてその横から全く同じ人物が出てきて、また同じ動作をします。そして更に三人目が。すると、一人ではまるで意味を成さなかった動作が、二人、三人になると相互に関連を帯びてきて、彼らは一連の動作を通じて一つの劇を現出させていたのだということに気が付きます。これって、NHKで「いつもここから」がやっている「アルゴリズム体操」(だっけ?)ですよね。まさか元ネタはここか。同じ繰り返しが笑いを生みますが、その反復に亀裂を入れて、正常なカノンを破壊してしまいます。こういう変調もまた音楽的で、マクラレンに特徴的な音楽とアニメーションとのダンスが花開く、とてもよい作品。
ピーター・フォルデスは世界で初めてコンピュータによるアニメーションを制作したことで有名ですが、これって業界人にとっては常識なのでしょうか?さて、「餓鬼」は人間(人類ではない)の飽食を描いた、社会派の作品。コンピュータによるメタモルフォーゼがいい意味で不気味で、作品によく調和しています。でぶでぶ太ってゆく男の行き着く先は…?ちょっと怖い作品でした。
パテルの「最優先事項」は未見でした。ぼくの持ってるNFBのDVDに入ってないんだもん。これもやはり社会派の作品ですが、なんと言っても見所はそのアニメーションと、せり上がるような音楽とアニメーションとの一体感。髪の毛のざわざわした感じとか、男の夢想の中の絢爛たる色彩とか、すばらしい、と感じました。ただ、個人的には「死後の世界」には及ばない。
シェルドン・コーエン「ゆきのねこ」。童話のような物語で、教訓的。野生は野生のままに、ということが全体としては訴えられているのですが、しかし見所は色彩を初めとする表現方法。何で描いているのか知りませんが、オーロラのような色彩で描かれるキャラクターの輪郭や炎のゆらめきはとても抒情的で、うっとりさせられます。こういう表現は好きだなあ。
コーデル・バーカー「ストレンジ・インベーダーズ」は、漫画的な絵柄で愉快な作品。ユーモアというかブラックユーモアというか、そんな笑える要素も随所にあって、けっこうおもしろい。しかし、同じ彼の作品なら今年の「大暴走列車」の方がいいかな(プログラムC)。本作は、宇宙からやってきた男の子の扱いに困り果てた夫婦の狼狽や苛立ちを描いています。コミカルに。
プログラムCを書く余裕がなくなりました。また別の機会に。
そうそう、吉祥寺と横浜でアニメーション映画祭みたいなのが開かれるみたいですね。横浜はけっこう大規模で、16日から19日まで。ちょっと遠いけどどうしようかなあ…いま忙しいし、めんどくさいし…
まずプログラムDの感想から。
このプログラムは全作品がおもしろかったです。こんなことはぼくにとってはとても稀なことなのですが。まずマクラレンの「カノン」。久々でしたが、かなりよかった。後追いしてゆく音楽に乗って、曲の数と同じだけのオブジェが動き回ります。そして一つの音楽が終わる毎に、一つのオブジェが消えてゆく。ここに切なさすら感じました。しかしそれだけで終わらないのがマクラレン。なんと説明すればいいものか、人間を出演させて、彼に奇妙な動作をさせます。そしてその横から全く同じ人物が出てきて、また同じ動作をします。そして更に三人目が。すると、一人ではまるで意味を成さなかった動作が、二人、三人になると相互に関連を帯びてきて、彼らは一連の動作を通じて一つの劇を現出させていたのだということに気が付きます。これって、NHKで「いつもここから」がやっている「アルゴリズム体操」(だっけ?)ですよね。まさか元ネタはここか。同じ繰り返しが笑いを生みますが、その反復に亀裂を入れて、正常なカノンを破壊してしまいます。こういう変調もまた音楽的で、マクラレンに特徴的な音楽とアニメーションとのダンスが花開く、とてもよい作品。
ピーター・フォルデスは世界で初めてコンピュータによるアニメーションを制作したことで有名ですが、これって業界人にとっては常識なのでしょうか?さて、「餓鬼」は人間(人類ではない)の飽食を描いた、社会派の作品。コンピュータによるメタモルフォーゼがいい意味で不気味で、作品によく調和しています。でぶでぶ太ってゆく男の行き着く先は…?ちょっと怖い作品でした。
パテルの「最優先事項」は未見でした。ぼくの持ってるNFBのDVDに入ってないんだもん。これもやはり社会派の作品ですが、なんと言っても見所はそのアニメーションと、せり上がるような音楽とアニメーションとの一体感。髪の毛のざわざわした感じとか、男の夢想の中の絢爛たる色彩とか、すばらしい、と感じました。ただ、個人的には「死後の世界」には及ばない。
シェルドン・コーエン「ゆきのねこ」。童話のような物語で、教訓的。野生は野生のままに、ということが全体としては訴えられているのですが、しかし見所は色彩を初めとする表現方法。何で描いているのか知りませんが、オーロラのような色彩で描かれるキャラクターの輪郭や炎のゆらめきはとても抒情的で、うっとりさせられます。こういう表現は好きだなあ。
コーデル・バーカー「ストレンジ・インベーダーズ」は、漫画的な絵柄で愉快な作品。ユーモアというかブラックユーモアというか、そんな笑える要素も随所にあって、けっこうおもしろい。しかし、同じ彼の作品なら今年の「大暴走列車」の方がいいかな(プログラムC)。本作は、宇宙からやってきた男の子の扱いに困り果てた夫婦の狼狽や苛立ちを描いています。コミカルに。
プログラムCを書く余裕がなくなりました。また別の機会に。
そうそう、吉祥寺と横浜でアニメーション映画祭みたいなのが開かれるみたいですね。横浜はけっこう大規模で、16日から19日まで。ちょっと遠いけどどうしようかなあ…いま忙しいし、めんどくさいし…