Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

哀悼――

2010-08-25 22:37:34 | アニメーション
驚くべきニュースが伝えられました。

今敏、死去。

享年46。膵臓癌だそうです。

さすがに衝撃を受けました。なんで、なんでこの人が死んじゃうの。ちょっとひどすぎる。いくらなんでもあんまりだと思う。残酷すぎる。46歳って、まだまだ若い。これからってときに、どうして。

ぼくは、今敏の最高傑作は『妄想代理人』か『千年女優』だと思っているんですが、いずれもとにかくおもしろい。とりわけ『妄想代理人』の前半は神がかってる。深読みしようと思えばかなりの深読みが可能な物語だし、テーマも興味深いし、筋もテンポも演出もいい。一方、『千年女優』はテーマ映画とも言えて、恋すること/愛することについて映画全体で表現した、日本の長編アニメーション史上稀有な傑作であると思う。

これほどの作品をものするのは並みの才能ではない。今敏には今のところ駄作と呼べる作品はないし、結局終生の3割バッターだったと思う。日本での一般人の間での知名度は、その作品の完成度に比せば確かにそれほど高くないのかもしれませんが、しかし確実にヒットを量産してきたし、また先に挙げた二作品は場外ホームランだったと思う。

いま、細田守や原恵一といった大衆受けする、それでいて実力もある長編アニメーション監督が育ってきているし、今敏監督には、そういう若手から中堅の代表格として頑張っていただきたかった。心の中で密かに応援していたのに・・・。とにかく残念でなりません。

短編アニメーションでは、まだ20代の若手が世界の短編アニメーション界で認められつつありますが、長編も短編もがんばってアニメーション界全体を盛り上げていこうってときに、良作を連発してきた監督が亡くなってしまった。

はっきり言って、日本のアニメーション界にとっての巨大な損失であることは間違いありません。あまりにも大きな穴が抜けました。ああ、悲しい。無念です。悔しいです。

衷心からご冥福をお祈りいたします。