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王女エリーザベト



ボヘミア王女エリーザベト (1618-1680)。
見目麗しい姫、18歳。







神秘的なまでに美しく成長したエリーザベト。
けれど何か思いつめたような不思議なまなざし。
西洋絵画は17世紀初期にはこれほど微妙な表情を表現し得た。
美術史的にはバロック期になっています。

ボッティチェリ、ダ=ヴィンチ、ミケランジェ、ラファエロ等の
ルネサンスの天才画家たちが切り開いた西洋絵画の素晴らしさを
あらためて思い知ります。



実はこの若い美貌の姫、デカルトの弟子でした。
王女24歳、デカルト46歳のとき出会い
デカルトが亡くなるまで7年余
哲学的な対話を交わします。
60通の手紙が残っていますが
実際にはもっとたくさん交わされたと考えられています。

けれどおそらく姫の悩みや疑問は解決しなかったと
想像します。
思考によって答えを得ようとすることは
仕事や学問、科学技術には役に立ちますが
心の問題、魂の問題、実存的な問いに対しては
問題を整理することには役に立っても
答えを与えてくれるものではない・・・どころか
出口のない内なる迷路、インナーラビリンスを
ぐるぐるさ迷うことになりかねない・・・

1650年デカルトが亡くなったときエリーザベトは32歳。
それから11年後のことをWikipediaが書いています。

1661年にヘルフォルト女子修道院の補佐修道院長(Koadjutorin)となり
1667年に修道院長に就任した。
長い年月の間に、エリーザベトの精神には
夢想的・神秘的な傾向が色濃くなり
1670年にはラバディスト(Labadists)を
その後はクエーカー派をヘルフォルト修道院領に受け入れた。
しかしエリーザベトの神秘思想に対する愛好は
敬虔なルター派信徒である修道院領内の住民たちとの紛争の種になった。