おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

ほくろクラブ株式会社6≪行け!キュン!その1≫

2007年05月24日 | ほくろクラブ
梅雨にしては珍しくお天気が続いている。
今日も傘なしで登校だ!

今は6月後半。
明後日からプールが始まる。
6月はちょっと寒いけど今年はプールに初めて入るみずっちの為に皆楽しみにしている。
みずっちはずっと耳が悪くて入れなかったけど、今年から入ってよしと病院の先生から言われたらしい。

僕たちはみずっちに泳ぎを教える予定だ。
泳ぎの得意なテンちゃんが中心になって教えていこうとなった。
僕だって一応は25メートルは泳げるけどね。
みずっちはうまく水に顔をつけれるだろうか。
まずそこからだな~。

「おはよう~!」
僕は元気よく教室にいた皆に挨拶をした。
「?」
なんだか教室の雰囲気が暗い。
どうしたんだろう。
僕が口を開きかけたそのとき、クラス一運動音痴でクラス一お調子者の関田君が
「よっ!ウッチー!プール、犬のふんがたくさん入っててしばらく使えないんだって!今おまわりさんがきてるよ。あはは~~!ラッキーだよな~!」

エッーーーー!!それは君だけだろう!

関田君だけが妙にはしゃいでいるがクラスはどんよりしている。
ほくろクラブのメンバーも皆そうだ。
特にみずっちの落ち込みようと言ったら・・・。

テンちゃんがそのとき立ち上がった!
「ゆるせーーん!」
やまさんも立ち上がった。
「よし!僕らで犯人をつかまえようぜ!」
つられて僕も立ち上がる。
「そうだ!皆ほくろクラブにまかしておけ!」
みずっちも慌ててたった。
「僕のプールをかえせ~~!」

拍手が起こった。

僕らはほくろのある手を上にかかげてエイエイオーをした。
(僕はあわててマジックでかいたけど)

早速、聞き込み調査だ!
クラスの皆に怪しい人はいないかと聞くと・・・。

ある1人のおじさんの事が浮かび上がってきた。
いつも柴犬をつれて公園を歩いているのだけど、リードをつけてない。
見かねた誰かのお父さんやお母さんが注意するけど怒って全然聞いてくれない。
リードは義務付けられているがしつけのいい犬ならいらない・・・と言うのだそうだ。
(僕はそのあたりは難しくてわからないけど)
そのおじさんとけんかになった人もいるという。

何人もの人の証言で早速僕らはそのおじさんの後をつける事にした。
「ほくろクラブ探偵団」と急遽名前も変えて見た。

おじさんは夕方の6時ごろいつも公園を散歩するらしい。
僕らはその時間になるまで遊んだふりをしながら公園で待った。
ちょっぴり遊ぶのが楽しすぎておじさんと犬の事を忘れてしまいそうになったんだけど。

そして6時・・・。
皆の証言どおりおじさんと犬は来た。
おじさんはリードを一応は手に持っているが犬にはつけてない。
そして
「行け!キュン!」と言った。
キュンと言う犬はうれしそうに公園を走り回った。
僕らは唖然として見ていた。
公園には小さい子も結構遊んでいる。
きっと僕のお母さんなんかが見たら目を廻すだろう。
僕はアトピーで犬アレルギーだ。
犬に少しでもふれると目が真っ赤に腫れて大変な事になる。

その時、僕の横にいたテンちゃんがすごく大きな声で言った。
「おじさん!犬を公園で放したらいけないよ!公園の規則に書いてある!」
僕、みずっち、やまさんは
「ひえ~~~~!」ってなった。
だって、皆から怖いおじさんだって聞いているから。

僕らは逃げようと構えたけどテンちゃんは上を向いて手を組んで怒った表情をしている。
・・・おじさんが近づいてきた。
僕は怖くて足がすくんだ。
みずっちとやまさんもおんなじようだ。
みずっちの
「あわわ・・・」と言う声が聞こえた。

近づいてきたおじさんは手をあげた。
ひえーーー!叩かれるのか!

でもおじさんは「キュン!」と手をあげて犬を呼んだだけだった。
そしたらキュンが駆けてきた。
そしておじさんは僕たちに悲しそうな顔をしていった。
「キュンはね、とってもいい子なんだ。おじさんのたった一人の家族なんだよ」

僕らは公園のベンチでおじさんの話を聞いた。
おじさんは事故で奥さんとたった一人の子供さんをなくした。
その2人が可愛がっていたのが犬のキュンだったそうだ。
1人になったおじさんをキュンが慰めてくれたらしい。
おじさんはキュンが喜ぶ事をしたくていつも公園でノーリードで遊ばせていたそうだ。
6時ごろになると子供たちも少なくなる。
だから・・・だと言う。

「でも、おじさん、やっぱりキュンを公園で放したらいけないよ。それは決まりだからね」
とテンちゃんが言った。
「そうだよな・・・でもやっぱりおじさんはキュンが喜ぶことがしたいんだよ」とおじさんは言った。
「おじさん、きっとキュンは皆とおじさんがけんかして悲しんでいるよ。だから、やっぱり駄目なんだよ」と僕が言った。

おじさんはもう何も言わなかった。
そのかわりにキュンが僕に近づいてきて僕の顔をなめた。
僕はキュンの背中をなぜてやった。
ちょっぴりごわごわしてて、でもツヤツヤの毛だった。

おじさんと別れて僕らは家に帰った。
もうかなり遅かった。
その事でお母さんに怒られたけど、もっと怒られたのは・・・。
僕の目が真っ赤かでとても大変な事になってしまったからだ。
「何をさわってきたのよ!」と怒りながらお母さんは目薬や薬をだしてくれた。

目はとってもつらかったけど、そんな事よりおじさんとキュンの事が気になって少し眠れなかった。
・・・グー・・・ZZZZzz
僕の眠れないというのは10分間ぐらいの事なんだけどね(o ̄∇ ̄o)

                                    <その2へ続く>

にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あなたはだれ?

2007年05月23日 | ショート・ショート
ある日ふと食事中に目をあげると目の前に見知らぬ男が私の前に座っていて、私が作った食事を食べていた。
背中にさーっと冷や汗が流れる。
怖くなって横を向くと私の息子がニコニコ笑いながら食べている。
少しほっとする。
でも、この前にいて私の作った物を当然のように食べている男はだれなんだろう。

怖い・・・怖くて声も出ない。

すると横にいる息子が言った。

「お父さん、このお肉美味しいね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある日をさかいに妻が私の事がわからなくなった。

ある夕食の時に
「あなたはだれですか?なぜ私の作った食事を食べているのですか」
と言われた。

冗談を言っているのだと思った。
でも、目を見ると真剣そのもので本気で私の事がわからなくなったのだとわかった。

息子やそのほかの事はわかるのだが私の事だけは認識が出来ない。
家の中にそうすると何故私のものがあるのだと言うとそれは理解が出来ず、とんちんかんな答えが返ってくる。

病院に連れて行き、私は彼女の夫だと何度も説明する。
医者は心因的なものが原因だと言う。
どうしたらいいんだろう。
妻はそれからも普通に会社に行き、そして子供の世話もし、日常の事もしている。

でも、その日をさかいに2人分しか食事を作らなくなった。
私が家にいる事は、医者から説得されなんとか認めているが相変わらず私が夫だと言うことを認めない・・・と言うか認識が出来ない。

その日から私は自分の食事や身の回りの事は自分でしなければならなくなった。

子供は不思議に思っているみたいだが別に私の事がわからないだけでそれ以外は妻は普通なのでそれがいつもの事になってきた。

たまに私の作った食事をつまみ
「まずい」と言う。

私もそのとおりだと思う。
料理の本を見て悪戦苦闘するもうまく味付けが出来ない。
私は結婚するまで1人暮らしをした事がなく、身の回りの事はすべて母親まかせだった。

小学校の息子があまりの私の料理のへたさにあきれ、なんと彼がチャーハンを作ってくれた。
お母さんに教えてもらったのだと言う。
洗濯物のたたみ方、これも意外な事にきっちりと出来ていた。
お母さんが帰ってくるまでにいつも洗濯物を取り入れてたたんでいるらしい。

少しスパイスの効きすぎたチャーハンはとてもうまかった。

そして玉ねぎを切ったまな板を洗うとき少し目にしみた。
涙がとまらない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

つい最近、考えた話です。
食事中にふと・・・。
目の前にいるのは旦那さんだとわかっているのですけど、「誰?この当然のように目の前に座って偉そうに私の作ったのをうまいもまずいも言わずに食べている他人は・・・」と思ってしまって。

先日、テレビで男性だけの料理教室があるのをみました。
作った物を食べて一緒にお酒飲んでました。
(このお酒も教室代に入っているそうです)
なんだか素敵。
もっと増えればいいな・・・と思います。

さて上記のお話の続き、どうしましょうか?

ハッピーエンドにします?
この旦那さんは会社の帰りに料理教室に通い、息子と一緒に料理を作り、妻に食べさせる。
すると食べた妻が
「あら、美味しいわ!お父さんが作ってくれたのね!ありがとう、あなた」
と言って旦那さんのことがわるようになって・・・ハッピーエンド。

もしくは・・・
エンドレスな悪夢を。
旦那さんはそんな妻とわかれ新たに結婚する。
そしてまたある夕食の時、新婚の妻に言われる。
「あなたはだれですか?なぜ私の作った食事を食べているのですか」

・・・救われないな~。
やっぱり前者のハッピーエンドの方がよろしいですね。

                                     2007/5/19 本誌ぺんきっきより


にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マザー

2007年05月23日 | ショート・ショート

僕は過去がわからない。
両親の記憶がない。
父は名前がわからず母は僕を産んですぐに亡くなったらしい。
気がついたときには、もう一人ぼっちだった。
母に会いたい・・・そう言う気持ちを押さえきれずにいた時に僕の目の前に歪んだ空間が広がった。
気がついたときに僕の目の前に「その人」はいた。
ひと目で僕はその人に恋をした。
でも・・・ここはどこなんだろう。
町並みに古い写真の香りが漂う。

その人と暮らし始める。
その人は言った。
「子供が出来たわ」
聖母の微笑み・・・。
喜んで手を握ろうとした時に僕の手がなくなったことに気がつく。
その人を抱きしめようと立ち上がろうとした僕の足がないことに気がつく。
これは・・・僕はいったい・・そう思う意識が遠のいていく。
その人の声がかすかに聞こえた。
「あなたを産んであげる・・・私はあなたの・・・」

もう考える事が出来なくなって来た。
ただ、僕はわかった。
僕はまたその人、僕の「母」から生まれてくるのだ。
心地よい波にのまれ段々、幸せな感情が生まれてくる。
僕は僕の愛しい人からまた命をもらう。
そして生まれてきた「僕」はまたその人を探すのだ・・・永遠に。




これは私が高校生ぐらいに作った話。
もしかするといろんなものにかぶれてたから似たような話があるかもしれないけどご勘弁を。
その時に作った文章と違うかもしれないし、内容もちょっと違うかも知れない。
確か、学校に提出したはずで返って来たのかどうかも分からず。

ショート・ショートが好きで、星新一さんの本はほとんど読んだ。
自分でも何か書いて見たくて何篇か話を作ってみた。
上の話もそのひとつ。
自分でのテーマはなんだったかのかよくわからないし、こうやって文章にしてみると自分でもよく何がいいたいのかもわからない。
無理矢理つけるとしたら「マザー」かな・・・
当時はなんてつけたんだろう。

なんとなく書いてみただけで、意味は別にありません。
ただ、自分も今何かを探しているような気がして・・・。

私は今何を探しているのか・・・それが私の今の「テーマ」なのかもしれない。

にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ


                                2006/7/19 本誌ぺんきっきより
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする