きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

昔話の地名

2019-11-28 16:20:21 | 書評
 最近世界の童話にはまり、寝る前の優雅なひとときを過ごしている。
特に、変な道徳めいた話が一般化する前の、
ただ自然の事象を説明しただけの、原始的な話がよい。
 
老人が上がって行ったから、月はたまに腰が曲がっているんだとか。
そういう質の良い幻想的な夢でも見ないかな。
 
外国の話や、日本の昔話は、価値観や行動が今と違うから意表をつかれて面白い。
 
「爺さんが覗いたら鬼が宴会をしてて、リズムが良かったので、
食われてもいいと思って、出て行って舞ってしまった。」
 
どんな精神状態だろうと思うが、さぞかしよい気分だっただろう。
 
 
 小さい頃に読んだ世界の童話の話を、まだ覚えている。
というか、恐ろしくて忘れることができない。
 
スイス
北欧かどこかで、厭世的なカフカのような羊飼いの男に
神様がくれた木の器に牛乳を入れて置くと、とてもおいしい食べ物に変化する。
とてもおいしいので、もうこれしかいらない。
ちょっと残しておくと翌日増えている。
ただ残しておかないと二度と食べれないらしい。
これはヨーグルトの作り方ではないのか。
 
その後、アトランティスやハーメルンの笛吹きなどの話が続いたと思う。
 
そしてきわめつけがドイツの悪魔の目薬!:
産婆さんが悪魔に夜に呼びに来られて、行ってみると
変な塗り薬を生まれた子供の目蓋に塗ってくれとか頼まれて、
こっそり自分の片目にも塗ってみた。
ある日市場に出かけると、何と、あの悪魔が露店でソーセージを万引きしていた!
 
堂々としているが皆気づかない。
どうしたことだ。
目薬のせいで悪魔が見えるようになってしまったらしい。
今考えると確かに悪だがなんてセコイ悪魔だ。
しかし、挿絵に影があり非常に怖かった。
アメリカでは現代でも生まれた子共達に目薬を塗るが、日本では塗らないのかな。
 
一番怖かったのが中国
洞庭湖のほとりで・・・から始まる魚の妖怪の話で、
そんなに妖怪自体は怖くないが、その洞庭湖という言葉が怖くてたまらなかった。
 
他にも、中学の国語の教科書に載っていた
獅子狩紋錦という、正倉院にある布を復元する話に出てきた
敦煌やトルファンという地名が、初めて見たはずなのに怖い。
なにか前世に関係でもあったのかと思うくらい、気になる地名だ。
 
Sohoとスノコルミー・フォールズもちょっと怖いが、
ベイカー街やミシガン湖と聞いても、別に何とも思わないのが不思議だ。
 
 
 交流もないはずの太古の世界で、
同時多発的に同じモチーフの神話が語られた理由を説明する仮説がいくつかあって、
①原始時代、みんな日常的にまわりにあるものは同じ
(ひょうたん、うす、うさぎ、村など)説や、
②フロイト精神分析の深層心理には誰でもその恐怖を持ってる説など、
いろいろあったが、
 
実際には、地球上を移動しまくった人類が
隣村の人に話して伝えただけではないのか。
もしかして最初は1個だった話が、
何万年もの間に、伝言ゲームでばらばらに広がったとしたら。
 
こんな話はどうだろう。
 
「川を流れてきた正直な王子が寝ていましたが、
起きて神秘的な犬と共に無理難題を解き、
日用品の助けを借りて魔物を倒し逃げる途中で物を投げつけ、
金を吐き出して運命的に結婚しました。
めでたしめでたし」

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