今まで、ほとんどお祭りというものに積極的に参加したことはなかった。
知り合いや、父も言っていたのだが
「祭と聞くと血が騒ぐ」という感覚が、まったくわからなかった。
京都は祭が多いので、せっかくだから見てみたらいいのではないかと思ったが、
葵祭に2回逃げられ、祇園には暑いから近づけない。
残るは3大祭りのひとつ、時代祭だけだ!
ということで行ってみた。
河原町の方は混むから、三条以降の住宅街を狙って行ったら、
そうでもなかった。
3脚にビデオカメラを固定し、近くから2時間の間撮り続けて、
家に帰って、その映像をパソコン画面でじっくり見た。
これは、充分 「見た」 と言えるだろう。
明治から平安までの衣装でビル街を練り歩く。
しかも、大勢で。
市民総出の大コスプレ大会ではないのかと思ったが、
出演者達の意気込みがハンパない。
2時間の間、終始笑顔の市長。
なんだか本物のような古びた鎧のガチャガチャいう音や、
絶対に化繊ではない衣装の、そこはかとない薄汚れ具合い。
巨大な牛車に、馬に大量の市民。
全員分を用意するのは、すごい労力だっただろうなと感心した。
その勢いに乗って、念願の上賀茂神社パン祭へ。
今年は日程を調べ、あらかじめカレンダーに記入。
間違いようのない態勢で臨む。
当日は内面とは裏腹に、余裕を持って昼前にぶらりと出て、
秋の家々の庭木を見ながら歩く。
これぞ休日。
が、着いてみたら長蛇の列。
しかも、各店の商品も見ないまま、プラカードを持った遠くの芝生に一列に並ぶ。
なぜ普通のパンを買うだけでこんなに??
列の順番が近づいて、売り切れましたーと言われたらどうするつもりなのか。
ものすごくバカバカしい気がした。
娘が言うには、「大学の文化祭なんてみんなこんなもんだよ」
苦行だ。
てっきり普通のお祭りみたいに、
通りすがりのテキヤからリンゴ飴を買う程度の気安さだと思ってた。
後から来たおとなしい子羊のような他県の10代が、
何の疑問も持たずに「じゃ並ぼうか」と言って、どんどん追い越していく。
彼らは並ぶために来たのか。
(きの)「ねぇ、これ飲み物は・・・?」
(娘)「向こうにイノダ珈琲あるよ。あっそれも並ばないとね。キヒヒ」
(きの)「もう!うどんが食べたい!」
大声でわめき散らし、まわりの視線が突き刺さる。
うんざりしながらパンを買って、奥の湿った小川のふちで食べた。
帰って、(きの)「すみませんでした。
もう二度とパン祭に行きたいなんて言いません。」
パン祭には行かないと言ったが、
京都は各所で骨董市があるので、11月は忙しい。
土地のいさかいをめぐって実家から消えた仏像に、
いつか巡り合うかもしれないと思うと、
少し心が弾む。
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