私達の意識的な行動は、脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)が左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導して実行されています。
何らかの原因で脳の機能が全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを「認知症」と言います。どんな生活面で支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」、「セルフケア」の3つに区分されます。
どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないと思います。
また、「脳の機能が低下」していることが原因で生活面に「支障」があると言うことは、支障が「症状」として認められると言うことです。
私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルにリンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の脳の機能の衰え方とそれに対応した症状、つまり「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しています。
脳全体の司令塔の 「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベルから区分すると、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活に支障)、重度認知症「大ボケ」(セルフケアに支障)の「三つの段階」に区分されるのです。
上の図は、協働しながら働く最高次機能(前頭葉)と高次機能(左脳及び右脳)の働きが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を「かなひろい」テストと「MMS」テストの二種類の「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しています。
社会生活が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することにより、老化が加速され、廃用性の機能の退化が進んでいくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。
脳全体の司令塔の役割をしている最高次機能の「前頭葉」が先に衰えていきます。次いで、前頭葉と相互に情報のやり取りをしている高次機能の「左脳」と「右脳」が衰えていくということです。このとき、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えるのが特徴です。更に、専門的になるのでもっと先で報告しますが、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」のが特徴です。
こうした「衰え方の規則性」は、アルツハイマー型認知症に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別の強力な武器となるのです。
認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。回復させることも、予防することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めるのです。
この報告の中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家は、原因も分からないし、治すこともできないと言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の第一の要件と考える過ちにより、見つける段階が遅すぎる、末期段階の「重度認知症」の段階で見つけている結果であって、本来の性質からすれば、廃用症候群に属する「生活習慣病」にすぎないのです。
その根拠は、(N-05)で詳しく説明してあるので、読み返してみてください。
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