「アルツハイマー型認知症」の正体が廃用性の「生活習慣病」であるということには、二つの重要な側面があります。
1つは、「アルツハイマー型認知症」を、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の早期の段階で見つけるには、「神経心理機能」テストの使用が不可欠です。然も、「神経心理機能」テストによる脳の機能レベルの判定と生活歴の聞き取りに基づく脳を活性化させるための「生活習慣」の改善指導が判定(診断)と回復(治療)と予防の方法になるので、投薬や手術や治療といった「医行為」が必要とならないのです。
もう 1つは、「診断(判定)の方法」が、CTやMRIが必要でなくて、逆に保険点数が極端に低い「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるので、医療機関にとっては事業としてペイしないということが重要なポイントなのです。その上、回復(治療)や予防に効く薬はなく、「投薬」の問題もないのです。
(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」からの回復は、本人にとっては勿論のこと、家族にとっても大きな意味があります。ところが、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけるには、「神経心理機能」テストの使用が不可欠なのです。CTやMRIでは、形しか計測できないので、早期の段階を見つけることはできません。見つけられないで放置されたままでいると重症化が進み、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)になります。CTやMRIを使っても、「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、回復は困難なのです。「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、診断費用や介護の負担だけでなく介護費用も大変となり、自治体や国にとっても大きな問題です。
テレビがいろいろな種類のものを取り上げるので認知症にも種類がたくさんあることはご存じだと思います。その種類がいろいろある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上を占めているのです。高齢化の更なる進行が予測される中で、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄り達の数も増え続けることが予測されているのです。その「アルツハイマー型認知症」こそ、保健師さんにとって、「保健及び予防活動」の最も重要な対象となる「テーマ」だということではないでしょうか。
「アルツハイマー型認知症」は、回復可能な早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)の発見(判定)にはCTもMRIも不必要です。早期の段階で見つけることが出来れば、正常レベルへの回復が可能である上に、その為の治療にも薬は不必要なのです。回復させることが出来る薬は未だに開発されていませんし、今後ともあり得ないのです。診断している医療機関も、薬を開発している製薬会社も、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きについての認識と理解が浅すぎるのです。
私達が蓄積してきた「アルツハイマー型認知症」の人達の多数のデータを解析すると、「小ボケ」から「中ボケ」へ、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進んでいくにつれて、「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことが分かります。「大ボケ」のレベルになると、「前頭葉」は殆ど機能していないことが分かります。状況を判断し、実行すべきテーマを企画し、その内容を組み立て、内包する判断基準に基づいて最終の実行内容を決定する働きをしている、脳の司令塔の「前頭葉」の働きが、「薬を飲む」ことで機能回復することなどありえないのです。「前頭葉」は、左脳、右脳、運動の脳の三頭立ての馬車の御者なのです。「脳の機能」を回復させるには、「前頭葉」の機能を回復させることが不可欠になるのです。「前頭葉」の機能を回復させるには、しっかり「使う」ことしか方法はないのです。薬が効くような代物ではないのです。(ここをクリックしてください)
「早期段階の判定及び早期段階からの回復や発病の予防」のために不可欠である「神経心理機能テスト」の使用及び脳を活性化するための「生活習慣」の改善のための指導は、事業として必要となる収益をあげることが期待できないのです。医療機関といえども事業体ですので、収益が上がらない事業を継続的に実施していくことはできないのです。従って、「収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある」ことで事業として継続して展開できる自治体や国でしか、対応が期待できないということになるのです。
日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入しています。この先、高齢化が更に進んでいく中で、医療機関も国も市町村も、なにもしないでこのまま手をこまねいて放置していると、高齢者の大半は、「体が持ちながら、脳が持たない」結果として、行き着くところは「アルツハイマー型認知症のお年寄り」の更なる増加という悲惨な将来像が、はっきりと見えてきているのです。厚生労働省が発表している認知症のお年寄りの数200万人というのは、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りだけの数なのです。「重度の記憶障害」という誤った医療指針の為に見逃されている回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の4倍にもなるのです。然も、「大ボケ」の4倍の数にもなる「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直して、脳を活性化する生活習慣を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに回復させることが出来るのです。市町村を主体として、「アルツハイマー型認知症」の予防並びに早期段階の発見と回復を実践し、「重度認知症」に重症化していく人達の数を減らす「政策」を継続的に実行するのです。そのうえで、「重度認知症」の人達に対する介護保険の適用を手厚くすることが重要だと思うのです。
このブログで詳細に説明してきたように、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし治らない病気」という考えは、誤りなのです。「重度の記憶障害」という誤った医療指針に基づいて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りばかりを見つけて診断してきた精神科医の誤解が原因なのです。
これまでのブログで詳細にメカニズムを説明し、開示した根拠となるデータからも分かるように、「アルツハイマー型認知症」は廃用性の「生活習慣病」なのです。早期段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直し、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに「回復」させることが出来るし、「予防」することもできるのです。
高齢者を抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして「アルツハイマー型認知症」の予防活動を位置づけ、「継続性」を持って取り組むことが重要です。
「アルツハイマー型認知症」の予防活動に取り組む専門の保健婦さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な自主活動として、「地域単位」で予防に取り組むしか問題を解決する方法はないのです。
「アルツハイマー型認知症」を予防するための「生活習慣」の確立を目的とした生活改善の指導は、脳を生き生きと使う「生活習慣」を個々人が日常生活に取り組み、確立するむことが核になります。それは、趣味なく交遊なく、運動もせず目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と裏返しの生活が「指標」になります。
前頭葉に十分な情報が上がっていき、前頭葉の機能がフルに働くような生活習慣、特に趣味や遊びや人付き合いの働きを司る「右脳を中心とした生き方」を指標として指導することが重要となります。これまでは、「身体の健康」というテーマについて大きな役割を果たしてきた保健師さんたちは、これからは、「脳の健康」という大きなテーマについて重要な役割を果たすことが期待されているのです。
介護保険で期待されている、従来型の「身体介護サービス」提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプのサービスを提供する担い手になっていただきたいと願うのです。
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