○ 「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルと段階的症状
日本だけでなく世界中の認知症の専門家(学者、研究者、医師)と言われる人達から、「発病の原因もわからないし、治すすべも見つからないし、予防する方法もわからない」と言われている「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続する「生活習慣」が原因で発病する「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する「生活習慣」の下で加速度的に衰えてきた「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウト・プットそれ自体が「認知症の症状」として「段階的に発現」してくるのが特徴なのです。
「前頭葉」を含む「脳の機能レベル」に対応して、正常な機能レベルへの「回復の可能性」という視点に着目して私達が区分しているところの「三つの段階」、回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)及び回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)に区分される「認知症の症状」が発現してくるのです。
「アルツハイマー型認知症」の最初の段階で私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳、右脳及び運動の脳は未だ正常な機能レベルに在るのですが、司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能だけが異常なレベルに衰えてきているのです。この「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「社会生活」に支障が出てくるようになります。但し、この「小ボケ」の段階で見つけると、脳を活性化させる「生活習慣」への生活改善によって、「正常なレベル」に容易に回復させることができるのです(ここを「クリック」してください)。
次いで、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階があります。「中ボケ」の段階になると、「前頭葉」が「小ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに機能が衰えてきている上に、「小ボケ」の段階では未だ正常なレベルにあった「左脳と右脳と運動の脳」の機能が異常なレベルに衰えてきているのです。この「中等度認知症」(中ボケ)の段階では、社会生活だけでなくて、「家庭生活」にも支障が出てくるようになります。但し、この「中ボケ」の段階で見つけると、脳を活性化させる「生活習慣」への生活改善によって、「正常なレベル」に回復させることが未だ可能なのです(ここを「クリック」してください)。
その先に、「末期の段階」であって、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階があります。「大ボケ」の段階になると、「前頭葉」が「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに機能が衰えてきて殆ど機能しないレベルに衰えている上に、「左脳と右脳と運動の脳」の機能も「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。この「重度認知症」(大ボケ)の段階では、「セルフケア」にも支障が出てくるようになります。但し、この「大ボケ」の段階で見つけていたのでは、「正常なレベル」はおろか「小ボケ」のレベルにも、「中ボケ」のレベルにも脳の機能を回復させること自体が困難になるのです。分かり易く言えば、見つけるのが遅すぎるということなのです(ここを「クリック」してください)。
注)「早期診断」と銘打って行われている医療の現場では、この「大ボケ」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」を見つけているのです。その結果として、「アルツハイマー型認知症は、発病の原因もわからないし、治すことができないし、予防することもできないタイプの認知症である」としているのです。自分達が信望し、「診断の基準」にしている米国精神医学会が定める「DSM-4」の規定の誤りに気づいていないし、それを疑おうともしないのです。
「前頭葉」を含む脳の機能の出番が極端に少ない日々の生活、生きがいなく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてくるのが「アルツハイマー型認知症」なので、「小ボケ」と「中ボケ」の各期間を想定できる一定の基本となる期間が存在するのです。但し、末期の段階であり回復させることが困難である「大ボケ」の期間は、「大ボケ」のレベルに「前頭葉」を含む脳の働きが衰えて「大ボケ」の症状が発現してくるようになってから何らかの他の病気が原因で「死を迎える時が来るまで」がその期間となります。
世間で認知症の専門家と言われている人達は、「小ボケ」と「中ボケ」の期間があることを知らないので、「アルツハイマー型認知症」というと、「大ボケ」の期間だけを問題にして論じているのですが、「小ボケ」及び「中ボケ」の期間と「大ボケ」の期間とを併せた「アルツハイマー型認知症」全体の病気の期間はそれ相当に長い期間に亘るのです。然も、「大ボケ」の段階にまで症状が進んできてしまうと、回復させることは困難なので、「アルツハイマー型認知症」を患っている状態のもとで、「別の何らかの病気」が原因で死亡することになるまで「大ボケ」の期間が続くことになるのです。「アルツハイマー型認知症」自体が死亡の原因にはならないからです。
(コーヒー・ブレイク) 世の中で、「アルツハイマー型認知症」の期間(発病してから死を迎えるまでの期間)についての専門家の数字が取り上げられることがあります。認知症の専門家と言われる人達は、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の第二の要件である失語や失行や失認等の極めて重度の症状、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階でもその後半にならないと発現してくることがない症状を診断の要件にしているので、彼らの言う期間とは、失語や失行や失認の症状を発現してから以降の期間を言っていることに注意が必要です。
そもそも「アルツハイマー型認知症」の期間とは、正しくは、「軽度認知症」の期間、「中等度認知症」の期間及び「重度認知症」の期間の総計を言うべきなのです。それを合算した期間はとても長い期間となるのです。従って、政策の変更により、専門家による「施設介護」から家族による「在宅介護」が主流となっていく中では、在宅介護による家族の精神的な負担は、期間の問題だけから考えても、とても長期間にわたり重いものになるのです。
ところで、「アルツハイマー型認知症」の症状が段階を追って進行する各期間に関する「原則=指標」は、エイジングライフ研究所が多数の症例の実態を聞き取り、データを集めて分析し、解析して得られたものなのです(ここを「クリック」してください。
上述の段階を追って進行する各期間は、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(「小ボケ」)になってから以降も、それまでの生活習慣の見直しがなされないままに、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が基本的に変化しないで継続されていく場合は、この原則(指標)に従って「認知症の症状が段階的に進行していくその期間を述べたものなのです。
もちろん実際の生活場面では、「前頭葉」の出番が増え、活性化するような楽しい「生活状況」の発生(家族や仲間と共に散歩や運動を楽しむ生活;家族とのイベントを楽しむ生活;趣味の教室へ通う楽しい生活;友人や仲間とのふれあいがある生活など)という状況が継続していると、その楽しい生活の質と量と期間とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が増え「脳の機能レベル」が或る程度回復してくるので、「アルツハイマー型認知症」の進行が遅くなり、症状の悪化が止まり、或いは、症状が回復の方向に向かうことになるのです。
逆に、「前頭葉」の出番が減り、不活性化するような辛く苦しい「生活状況」の発生(友人や趣味の仲間との別離; 趣味や遊びの会の中止;腰痛など身体の苦痛の進行; 自分自身の病気の発生;家族の病気や介護に自分の時間をとられてしまうような生活;大きな心配事の発生とその継続;家族内に大きな問題を抱えていること;重大な災害に遭遇することなど)という状況が継続していると、その辛く苦しい生活の質と量と期間とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が減り、働きが更に衰えてきて、症状が悪化の方向に向かうことになるのです(重症化の更なる進行)。
エイジングライフ研究所では、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の体験を目的とする「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」の開催を、市町村(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)と地域住民とが協働して実行しつつ、「二段階方式」を活用して市町村の保健師さんが定期的に予防教室への参加者を対象にして「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定し、個人別の必要な「生活習慣」の改善指導を行うやり方の「地域予防活動」を1995年から指導してきています。
また、「脳の機能レベル」の定期的な判定(原則として年二回)及び脳機能に対する改善効果の評価(改善、維持、悪化に区分する三段階の評価)のデータは、「二段階方式」の管理ソフトである(「エイジング」)により、個人別、グループ別、地域別及び男女別に評価及び管理できるようになっています。下記の図は、そのデータの一部です。
ところで、インターネットで検索してみると、医療機関による「早期診断」(但し、「アルツハイマー型認知症」と診断されるお年寄り達の多くは、「重度認知症」の段階の被験者のみであることに注意してください)のブログが多く掲載されていますが、医療機関による「早期診断」とは、CTやMRIという機器を使用した「画像診断」が主流なのです。画像診断では、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定することができないのです。この場合は、早期診断という名前が使われているのですが、回復が可能な意味での早期診断ではないことに注意が必要です。
回復が困難な「重度認知症」の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけることが「早期診断」という名前で行われているにすぎないのです。「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用が不可欠である一方で、回復させることが可能な本当の意味での早期診断では、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎて事業としてペイしないことが、神経心理機能テストの活用でなくてCTやMRI等の機器の使用による画像診断という状況を生んでいるとしか考えられないのです。
「アルツハイマー型認知症は原因不明で治らないし、予防することもできないタイプの認知症である」と誤解し、思い込んで、手をこまねいたまま何も対策を打たないで放置していると、更なる高齢化が進んでいく中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の数は増加の一途をたどるだけとなるのです。更に問題なのは、「アルツハイマー型認知症」は、脳がもたないのに身体がもつので、症状が「重症化」してもいくのです。他の何らかの病気が原因で死を迎える時が来るまで、「軽度認知症」は「中等度認知症」へ、「中等度認知症」は「重度認知症」へと症状の重症化が進行していくことになるのです。
症状の重症化がゆっくりと進行していくのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのですが、一方で、進行が留まることがないのです。進行を止めたり、更には回復させるには、現在は見逃されてしまっている早期の段階、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけることが不可欠なのです。然も、「アルツハイマー型認知症」に効く薬は存在しないのです(発病のメカニズムからして、未来永劫開発できない性質のものなのです)。
唯一の方法と言えば、「前頭葉」を含む脳を活性化させてやる方法、言い換えると「前頭葉」の根幹をなしていて基礎的な機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能の出番ができるだけ多い生活に変えて且つその「生活習慣」を維持してやるしか他に方法がないのです。発病の原因がわからないとされている「アルツハイマー型認知症」は、その本質が、脳の使い方という視点からの「生活習慣病」だからなのです。
現在は、施設による介護から家族による在宅での介護へと施策の軸が変更され動いていこうとしています。「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階であれば、それまでの脳の使い方としての「生活習慣」である「生活歴」を詳細にチェックし、それまでのナイナイ尽くしの「生活習慣」を改善させ、脳を活性化させる効果が期待できる新たな「生活習慣」を構築し実践させれば、脳の機能レベルの回復により正常なレベルに回復させることが可能なのです。「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階のお年寄り達のように、回復させることさえ可能であれば(回復の可能性が高い)、家族による「在宅介護」にも希望があって、家族の精神的な負担も軽減されることになるのです。
ところが、「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで「前頭葉」を含む脳の機能が衰えてしまった場合は(「大ボケ」の段階になって見つけていたのでは)、どれほど気持ちを込めて家族が介護に従事しようとも、症状は更に重い症状へと進行していくだけで(私たちの区分で言う「重度認知症」の範囲の症状の中で、軽いものから次第に重いものへと「重症化」が進行していく)、「中ボケ」レベルに回復させることさえも困難になるのです(回復の可能性が極めて低い)。どんなに心を尽くして介護しようとも一向に改善してこないばかりか、尽くしても尽くしても症状が更に重いものへと進んでいくのです。そしてその介護の期間は、認知症以外の何らかの病気で死を迎える時が来るまで続くことになるのです。このことこそが、「重度認知症」の段階のお年寄りを抱えた家族による「在宅介護」の最大の問題点なのです。
医療機関による診断が、早期診断とは名ばかりで、多くの場合が「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけているだけという現状では、「大ボケ」のレベルのお年寄りを抱えた家族による「在宅介護」の経済的及び精神的負担が過大で耐え難いものになっていくはずなのです。この先高齢化が更に進行していき、高齢者の数自体も更に増加していく見通しの中で、対策や政策を打たないままでいると、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の数が更に増加していき、然もその人達は基本的に「脳は持たないが身体が持つ」ので、「アルツハイマー型認知症」を発病した後の「重症化」が継続的に進行していき、末期段階の「重度認知症」の人達の数が際限なく増加していく中で、「施設介護」から「在宅介護」に施策を転換していこうとも、家族による「在宅介護」の精神的な負担が重くなる一方で、「介護保険の費用」も際限なく増加していくことになるのです。
回復させることが困難な「重度認知症」の段階に在る「アルツハイマー型認知症」の人達を見つけているだけの、「名前だけの早期診断」ではなくて、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」及び「軽度認知症」の段階で「アルツハイマー型認知症」を発病している人達を見つける「本当の意味での早期診断」を国や市町村の政策に取り込み実行させること及び開きっぱなしのままになっている「蛇口を閉める」政策、具体的には市町村が主体となり地域住民と共同して実践する「地域予防活動」というシステムによる「アルツハイマー型認知症」発病の予防活動を出来るだけ早期に実現させることこそが喫緊の政策課題だと思うのです。
ところで、私達が主張しているように「アルツハイマー型認知症」の正体が廃用性の「生活習慣病」であるということには、下記に問題提起するような、「二つの重要な側面」があります。
1つは、「アルツハイマー型認知症」を、回復可能な「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)という(名前だけでなく本当の意味での)「早期の段階」で見つけるには、「二段階方式」に代表されるような「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定することができる「神経心理機能」テストの使用が不可欠になるのです。然も、「神経心理機能」テストによる「前頭葉」を含む脳の機能レベルの正確な判定と「生活歴」の聞き取りに基づく脳を活性化させるための「生活習慣」の改善指導が判定(早期診断)と回復(脳の活性化による脳の機能レベルの回復)と予防(脳を活性化させる生活習慣の構築による発病の予防)の最も重要な且つ必須の方法(対策)となるのです。その結果、投薬や手術や治療といった「医行為」が必要とならないのです。
もう 1つは、「早期診断(判定)の方法」が、保険点数が高いCTやMRIによる画像診断は不必要なので(正確に言うと、脳の委縮と「アルツハイマー型認知症」とは無関係の関係なので)、逆に保険点数が極端に低い「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるので、医療機関にとっては一定の事業利益を上げることが期待できない事業となる(言い換えると、継続的な事業としてペイしない)ということが重要なポイントなのです。その上、その本質が廃用症候群に属する「生活習慣病」である「アルツハイマー型認知症」は回復(治療)や予防に効く薬はなく、「投薬」の問題もないのです。
(コーヒー・ブレイク) 「アルツハイマー型認知症」からの回復は、本人にとっては勿論のこと、家族にとっても、市町村や国にとっても大きな意味があります。ところが、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)を見つけるには、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの正確な判定が不可欠となるので、「二段階方式」に代表されるような「神経心理機能」テストの使用が不可欠となるのです。
CTやMRIによる「画像診断」では、「前頭葉」を含む脳の機能レベルの正確な判定ができないので、回復させることが未だ可能な「早期の段階」である「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階を見つけることができないのです。但し、早期の段階で見つけられないで放置されたままでいると重症化が進み、脳はもたなくても身体がもつので、最終的には末期段階の「重度認知症」(大ボケ)になってしまうのです。使用にかかる保険点数が高いCTやMRIなどの機器を使っても、「重度認知症」の段階でしか見つけられないでいたのでは、せっかく見つけても手遅れ、回復させることは困難なのです。
医療現場で行われているように「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、介護保険による介護費用だけでなく診断費用や在宅介護を維持する上で家族の負担となる費用などの経済的な負担や介護の精神的な負担も大きくなり、その負担の規模が、家族にとっても自治体や国にとっても極めて重大な問題になってくるのです。本当の意味での「早期診断」を要求することもせず、発病の「予防」活動自体を追求することもせず、名ばかりの「早期診断」を容認したままでいると、「重度認知症」(大ボケ)の段階にあるお年寄りを抱えた家族による「在宅介護」の施策は、制度が定着しない近い将来に、大きな「社会問題」になることを予告しておきたいと思います。
テレビがいろいろな種類のものを取り上げるので認知症にも種類がたくさんあることは皆さんご存じだと思います。その種類がいろいろある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上を占めているのです。認知症全体に「アルツハイマー型認知症」が占める数字についても、認知症の専門家とされる人達が挙げている数字は雑なのです。私達の数字は、1995年の活動開始以来一貫して変わっていませんが、専門家達の数字は当時40%と言っていたのが現在は60~70%が主流となっています。
ところが、これでもまだ雑な数字なのです。それは、「アルツハイマー型認知症」に次いで割合が高い「脳血管性認知症」の診断自体が雑なことが原因なのです。「脳血管性認知症」と誤診されている物の内に相当数の割合を占める「アルツハイマー型認知症」が含まれているからです(この「誤診による%の誤り」の問題については、ここを「クリック」してください)。
この先、高齢化の更なる進行が予測される中で、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄り達の数も増え続けることが予測されているのです。その「アルツハイマー型認知症」こそ、保健師さんにとって、「保健及び予防活動」の最も重要な対象となる「テーマ」なのではないでしょうか。
私達が蓄積してきた「アルツハイマー型認知症」を発病した人達の多数の「脳機能データ」を解析すると、「小ボケ」から「中ボケ」へ、「中ボケ」から「大ボケ」へと症状が進んでいくにつれて、「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことが分かります。「大ボケ」のレベルになると、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」は殆ど機能していないことが分かります。状況を判断し、実行すべきテーマを企画し、その内容を組み立て、内包する判断基準に基づいて最終の実行内容を決定する働きをしている、脳の司令塔の「前頭葉」の働きが、「薬を飲む(貼る)」ことで機能回復することなどありえないのです。
「前頭葉」は、左脳、右脳、運動の脳の三頭立ての馬車の御者なのです。「脳全体の機能」を回復させるには、「前頭葉」の機能を回復させることが必須の条件、不可欠になるのです。「前頭葉」の機能を回復させるには、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲や注意の集中力や注意の分配力」の機能の出番が多くなるような「テーマ」を日々の生活の中に取り込み、脳をしっかりと使う「生活習慣」を構築するしか他に方法はないのです。そもそも「アルツハイマー型認知症」は、発病のメカニズムからして、薬が効く(服用により発病を予防できる)ような代物ではないのです。
(コーヒー・ブレイク)私達のように、生きて活動している生身の人間の「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれにリンクした症状(単なる機能障害に過ぎない「正常な症状」及び異常な機能レベルに起因して発現してくる認知症の症状)を継時的に追跡し及び脳の機能レベルの変化と症状の重症化を同時に追跡する考えに基づいて、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを正確に判定できる「神経心理機能テスト」を活用する手技を開発して、北海道から九州まで日本全国で展開してきた地域予防活動の実践データを集積し、そのデータを分析し、解析してみれば、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを知ることはそれほど難しいことではないのです。
「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関する種々の学説のように、「アルツハイマー型認知症」を患っていて、その上、失語や失認や失行といった、末期の段階である「重度認知症」の段階の更に後半(MMSが10点を切るレベル)にならないと発現してくることがない極めて重度の症状を呈するようになった状態でなお且つその状態が数年間も続いた人の死後の脳を解剖してえられる「解剖所見」に見られる3つの特徴、「老人班の生成」、「神経原線維変化」及び「脳の委縮」が原因と誤解して、アミロイド・ベータやタウ・タンパクや脳の委縮を追い続けている限り、何時まで経っても「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明することはできないのです。
時間の無駄であり、経費の無駄なのです。若い多くの有為な人材達が、発病のメカニズム及び「前頭葉」を含む脳の機能の構造から考えて、未来永劫実現されることがない「治療薬」の開発に従事し続けている現状を私たちは憂へるのです。
とわ言え、発病の原因だとそれぞれが主張している犯人と「アルツハイマー型認知症」発病との間の「因果関係させ証明できていない」レベルの学説であっても、学説は学説なりに影響力があるのです。こうした「学説」が幅を利かせている間は、そうした学説の内容が間違っていても世の中一般に対する権威という影響があるので、「アルツハイマー型認知症」の「早期診断」(回復させることが可能な段階を見つける本当の意味での早期診断)も発病自体を「予防」する「地域予防活動」も展開しにくい状況を生んでいる、それなりに障害となっているのです。
学者は、自分の信望する学説に基づいて研究活動を生涯をかけて一生懸命行っているので、「単なる生活習慣病だ」と言われると、自分の一生を否定されているように感じるのかもしれません。アミロイド・ベータが犯人だとか、タウ・タンパクが犯人だとか、脳の委縮が原因だとか言っていると、自分が信望している学説の研究に安心して打ち込めるのでしょうか。老人班の生成や神経原線維変化や脳の委縮は、「アルツハイマー型認知症」を患って「重度認知症」の段階にまで症状が進んで、その「重度認知症」の期間が何年も続いた場合に生じてくる「副産物」、「原因なのではなくて結果」なのでは、そのような「発想の転換」は、この人達には思いもつかないことなのでしょうか。
○早期の段階を見つけることも発病を予防することも利益につながらないという問題があるのです。
「早期段階の判定及び早期段階からの回復」や「発病の予防」のために不可欠である「神経心理機能テスト」の活用及び脳を活性化するための「生活習慣」の改善のための指導は、医療機関の側からすれば、事業として必要となる収益をあげることが期待できないという重大な問題があるのです。医療機関といえども事業体ですので、必要な規模の事業収益が確保できない事業を継続的に実施していくことはできないのです。従って、「収益はあげられなくても、費用が減るメリットがある」ことで事業として継続して展開できる自治体や国でしか、対応が期待できないということになるのです。
日本は世界に先駆けて超高齢化社会に突入しています。この先、高齢化が更に進んでいく中で、医療機関も国も市町村も、なにもしないでこのまま手をこまねいて放置していると、高齢者の大半は、「身体が持ちながら、脳が持たない」結果として、行き着くところは「重度認知症」のレベルにまで脳の機能が衰えてしまった「アルツハイマー型認知症のお年寄り」の更なる増加という悲惨な将来像が、はっきりと見えてくるのです。
厚生労働省が発表している「アルツハイマー型認知症」のお年寄りの数400万人(460万人×90%≒400万人)というのは、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りだけの数なのです。失語や失行や失認という「末期の段階」にならないと発現してこない「重度の症状」の確認が必須の要件とされている診断指針(「DSM-4」)の為に見逃されている、回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた数は、「大ボケ」の2倍にもなるのです。
然も、「DSM-4」という誤った「診断基準」に基づく診断が原因で、見逃され放置されたままになっている「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直して、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに回復させることが出来るのです。市町村を主体として、「アルツハイマー型認知症」の「予防」並びに早期段階の発見と「回復」を実践し、「重度認知症」に重症化していく人達の数を劇的に減らす「政策」を出来るだけ早期に且つ継続的に実行するのです。その活動の成果となる財政状態の改善を達成した上で、「重度認知症」の段階の人達に対する「介護保険」の適用を手厚くする政策が重要だと思うのです。
このブログで詳細に説明してきたように、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし治らない病気」という考えは、誤りなのです。失語や失認や失行という「末期の段階」にならないと発現してこない「重度の症状」の確認が必須の要件とされている誤った診断基準に基づいて、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りばかりを見つけ出してきた精神科医の誤解が現状を引き起こしているのです。
蛇口を閉めない限り、問題を解決する道は絶対に開かれてこないのです。地域予防活動により発病を予防し、早期診断により回復可能な「小ボケ」と「中ボケ」の段階で見つけて、趣味や遊びや人付き合いや運動などを楽しむ生活をして、自分なりの目標や生き甲斐がある「生活習慣」を構築することによって、脳が活性化することによって正常なレベルに回復させる活動を保健師さんが主役となって地域や家族と協働して実践するのです。
「アルツハイマー型認知症」は廃用性の「生活習慣病」なのです。早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を見直し、脳を活性化する「生活習慣」を日常生活に取り込むことにより、正常レベルに「回復」させることが出来るし、更には「発病を予防」することもできるのです。高齢者を抱える個々の市町村が実施の主体となり、行政活動の中の主要なテーマとして、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復と発病の予防活動を位置づけ、「継続性」を持って取り組むことが重要だと思うのです。
「アルツハイマー型認知症」の早期診断および予防活動に取り組む十分な数の専門の保健師さんを配置して、地域のいろいろな組織やボランティアを取り込み、継続的な自主活動として、「地域単位」で早期診断と予防に取り組むしか問題を解決する方法はないのです。「アルツハイマー型認知症」を予防するための「生活習慣」の確立を目的とした生活改善の指導は、脳を生き生きと使う「生活習慣」を個々人が日常生活に取り込み、確立することが核になります。それは、趣味なく交遊なく、運動もせず目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と裏返しの「生活習慣」を構築することが「目標」になります。
「前頭葉」に十分な情報が上がっていき、「前頭葉」の機能がフルに働くような「生活習慣」、特に趣味や遊びや人付き合いの働きを司る「右脳を中心とした生き方」を中核として指導することが重要となります。これまでは、「身体の健康」というテーマについて大きな役割を果たしてきた保健師さん達は、これからは、「脳の健康」という大きなテーマについて重要な役割を果たすことが期待されているのです。「身体介護サービス」を核とした住民サービスの為の施策提供の担い手ではなくて、「生き甲斐創造の手助け」となる新しいタイプの住民サービス、脳の使い方としての「生活習慣」改善の施策を提供する担い手になっていただきたいと願うのです。
日本中どこの市町村でも、一部の大都市を除いて、高齢化率が30%を超えるような高齢化の状況がどんどん進んでいく中で、独居老人や老夫婦のみの世帯が加速度的に増加してきている現状を考えるとき、「お年寄りが、いつまでも元気なままでいられる」、「身体が持つ限り、脳もちゃんと持たせる」、或いは、「年齢相応の社会生活が送られるレベルに脳の機能を保つ」ための施策が、すべての市町村で切実に求められているのです。
もちろん、お年寄り本人自身が、「アルツハイマー型認知症」にならない為の最大限の努力を日々行う(「脳が生き生きと働くような」自分なりの「生活習慣」を構築し、維持するよう努力する)ことが大前提なのですが、家族がそれを側面から支える体制を築き、更には「行政」が主導して、地域全体で支える「地域予防活動」を展開するための啓蒙活動や支援システムの構築や文化の創成やボランティアの組織化を行うことが超高齢化社会では求められるのです。
第二の人生を歩んでいるお年寄りが、家に閉じこもる時間をできるだけ少なくさせ、できるだけ家の外に出ていく時間を多くさせ、できるだけ多くの人と交わり、コミュニケーションや交歓の場を楽しみしながら、何らかの共通の目的に添った「趣味や遊びや運動のテーマ」或いは「社会活動」を実践すること、換言すれば、「そうしたテーマの実践を楽しむ時間や機会」を「人の輪」の中での交わりを通じて共有する生活を送ることが、「アルツハイマー型認知症」の予防に不可欠の条件となるのです。
「前頭葉」は、家の外に出ていき、人と交わり、一定のテーマに沿った行動や活動を送る場である「社会生活」を送る上で不可欠な脳なのです。第二の人生を送っている高齢者にとって、その「前頭葉」を支えるもっとも頼りになる柱は、「右脳」なのです。「右脳」の出番は、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ場が中心となるのです。
保健師さんを中心とした「アルツハイマー型認知症」予防のための新しい地域活動は、「脳の働きという物差し」により定期的に脳の働き具合を検査する機会を持ち(「早期診断」)、且つ「左脳ではなくて右脳」を活性化させる集団活動の場の創造を柱とするものでなければならないことを肝に銘じておいて頂きたいのです。
注)本著作物(このブログA-94に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
エイジングライフ研究所のHP(ここを「クリック」してください。
機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)
http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist
http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a
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