1. 「二段階方式」導入の意味
「二段階方式」を「アルツハイマー型認知症」の早期判定と回復(治療)、介護予防及び地域予防活動のツールとして市町村が導入する場合、以下の目的が考えられます。
(1)「アルツハイマー型認知症」の早期段階の相談窓口の開設(早期発見と回復及び介護の予防)
(2)早期段階の「アルツハイマー型認知症」からの回復を目的とする個別の生活改善指導に用いる
(3)事業の対費用効果を考慮し、「アルツハイマー型認知症」の重症度に応じた施策(介護対象者の更なる重症化の抑制)へ繋げる
(4)共同参画事業の推進による、地域での自主活動(「アルツハイマー型認知症」の予防及び脳の活性化を目的とする生きがい創造活動)の推進とその拡大を図る
(5)「二段階方式」の管理ソフトの活用による個別及び集団別の時系列の管理及び評価を行う
(6)幅広い年代の住民に対する「脳の健康教育」としての「生活習慣」の改善を目的とする啓蒙活動を行う
2. 個別テストと個別生活改善指導
「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動というと「予防教室」(脳イキイキ教室、いきいきサロン等)がクローズアップされがちです。「予防教室」とはいえ、どこででも行われているデイサービスとはちょっと違うということをアピールするために、集団で「かなひろい」テストをやってお茶を濁すようでは、「二段階方式」を正しく導入したことにはなりません。
「二段階方式」を導入するとき最も重要なことは、「二段階方式」による脳の機能テストを個別の「生活改善」指導に活用することなのです。「二段階方式」を個別で活用できるようになると、おのずから集団での使用方法にも変化が生まれます。二種類の「神経心理機能」テストの目的や使い方がはっきりするので、適切な使い方ができるようになり、住民と保健師さんの双方が納得したうえで、脳機能テストに臨むことになるからです。
「アルツハイマー型認知症」の「予防教室」の参加者に対する個別の「脳機能」テストの実施とその結果に基づく個別の「生活改善」指導が行われて初めて、地域住民の「アルツハイマー型認知症」に対する理解と関心が深まります。「予防教室」に参加するお年寄りの脳が元気になる理由が参加者に理解され納得されることによって、日常生活での脳の使い方に関心と変化が出てきて、脳を活性化させる自分なりの「生活習慣」の確立を志向するようになります。
脳の使い方という視点からの「生活習慣」の改善を目的とする個別の「生活改善」指導と言うバック・グラウンドがあることが、地域住民の参加による自主的な「地域予防活動」の展開にもつながっていくことになるのです。
(コーヒー・ブレイク) CTやMRIによる計測は、保険点数が高いので医療機関が良くこれを活用します。ところが、CTやMRIは「脳の形」を計測することはできても「脳の働き具合」を計測することはできないのです。
「アルツハイマー型認知症」の回復可能な早期の段階(「小ボケ」や「中ボケ」)は、「脳の働き具合」を計測することが不可欠になるので、CTやMRIでは見つけることが出来ないのです。
「アルツハイマー型認知症」の早期の段階を見つけるには、「二段階方式」に代表されるような「神経心理機能」テストを活用することが不可欠なのです。
「神経心理機能」テストに対する保険点数が極端に低い現行制度のもとでは、事業としてペイしないので、医療機関がCTやMRIに代えて「神経心理機能テスト」を積極的に活用することは期待できないのです。
「アルツハイマー型認知症」の早期段階を見つける上で不可欠な「神経心理機能テスト」の活用が期待できるのは、事業としてはペイしなくても、「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りの増加を食い止め或いは減少させることでペイする行政機関(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)だけなのです。
3. 行政と在宅介護・地域包括支援センター(以下、「行政等」)の共同と役割分担
施設での介護から在宅での介護に介護の軸足が移されてきています。在宅での介護ということは、家族が直接介護に係わることを意味します。家族が直接介護に係わることによって、早期段階の場合であれば正常レベルへ回復させること、或いは少なくとも重症化を抑止する効果を期待できるようにする必要があります。 そうした目的での「在宅介護」を可能にするためには、脳の機能が衰えてきつつある人たち(正常下限)から早期段階の「アルツハイマー型認知症」の人達(「軽度認知症」から「中等度認知症」のレベルの人達)に対する脳の機能レベルの判定結果に基づく対応の仕方や介護の仕方、或いは脳を活性化するための生活改善等のテーマについて、「行政等」による適切な助言と指導が不可欠になります。そのためには、客観的な物差しが必要不可欠であり、この場合、「二段階方式」の手技は共通のツールとして極めて有効だと思うのです。
注)本著作物(このブログA-42に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます