「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

東部戦線の今後の見通し<ウクライナ紛争2024.2.19

2024-02-19 13:45:36 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

ドネツク州アウデイーイウカ市街をめぐる攻防は、ロシア軍の勝利に終わりました。もう既に2023年12月の段階で防衛が困難な状況にありました。
ウクライナ軍の敗因を言うなら市街北の郊外の支配領域を東方向からロシア軍が徐々に削るのに対して有効な対応をしなかった事です。西への進出を許し市街を北・東・南の三方向からロシア軍が包囲する態勢を許してしまいました。それが2023年12月で、その段階で防衛不能になっています。
だから、1月のうちに撤退作戦を行うべきでした。
そうしていれば装備や武器を含めて、兵員にもあまり犠牲を出さずに撤退できたと思います。しかし撤退時期を間違えるのは、ウクライナ軍の伝統的な欠点です。
セベロドネツク・バフムト・・・
全部、同じです。
ロシア軍が市街北の郊外で西への進出の兆しを見せた時点で、その方面に増援部隊を送り進出を阻止するべきでした。あるいは、後方に防衛ラインを建設して防衛する方法もありました。
ウクライナ軍は何の対応もせずロシア軍の西への進出を許しました。それがアウデイーイウカ市街の陥落を招きました。バフムトと全く同じです。バフムトでは、南から攻めあぐねたロシア軍が市街北東方向のソレダルの攻撃をはじめ、バフムト北の郊外を広く占領しました。この時点で東・北・南の三方向からの大きな包囲が完成しました。その後、包囲の輪を縮めました。同じパターンでアウデイーイウカ市街も攻略されました。

結局、これがゼレンスキー氏とザルジニー参謀本部の大きな欠点です。どちらが悪いと言えば軍事の専門家のザルジニーの無能力と無策が悪いと思います。最高司令官としての職責を全く果たしていません。

ゼレンスキー氏もやっとザルジニーを更迭してシルスキー陸軍司令官を最高司令官に任命しました。シルスキー最高司令官が同じように無能であれば、ウクライナ軍の敗勢は早まると思います。有能であれば、何とか膠着状態ぐらいは復元できると思います。今後のウクライナの運命は、シルスキー最高司令官の能力次第です。
と言ってロシアに勝てる見込みはありません。
互角の戦況を回復したあたりで、政治が判断するべきでしょうね❓

さて、「東部戦線の今後の見通し」です。
ロシア軍もアウデイーイウカ市街の攻略作戦では、かなりの大部隊を投入していますし兵員の損傷や軍事資源の消耗もかなり酷いと思います。
この部隊については、まず休養と再編が必要だと思います。消耗した軍事資源の備蓄も必要です。
アウデイーイウカ郊外に対しては、緩衝地帯と言う意味で多少、西に進撃するかもしれませんがそれほど大規模な軍事行動は取らないと思います。

政治的なスケジュールもあります。
3月の大統領選挙に向けては十分な戦果が上がりました。これ以上は、目先は必要ありません。

今後の大規模な軍事作戦は、大統領選挙の後ではないか・と思います。

バフムト戦線やクピャンスク戦線は、アウデイーイウカよりずっと大規模な軍事作戦になります。兵員ももっと多く必要ですし長くかかります。
だからこの方面は、現在の小競り合い程度の戦闘を続けて大規模には、やらないと思います。

現在、ロシア軍が大規模な兵力を集結しているらしい戦場は、2か所聞いています。
クピャンスク戦線と南部ザポリージャ戦線です。
南部ザポリージャ戦線には、アウデイーイウカ以上の兵力が集まっている・と言うのがタブリア作戦軍司令部の見解です。
2024.02.18
『ウクライナ軍、アウディーイウカ西郊外の集落に新たな防衛ラインを設定か』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-army-to-set-up-new-defense-line-in-western-suburb-of-audiiivka/

これまでも小競り合い程度の戦闘は、行われてきました。しかし大部隊が集結しているのであれば、大規模な攻撃をかける可能性もあります。

ロシア側の軍事ブロガーは、「ロボーティネに西側面でロシア軍の攻勢が始まった」と主張しているようです。
ロボティネ村Robotyneは、ロシア側の第2次防衛ラインの北にある軍事的要衝で現在はウクライナ軍が占拠しています。
ロボティネ村Robotyneはロシア側支配地域に突出していてロシア軍としては攻撃しやすい場所です。そしてロシア側にはリスクの少ない戦場です。
仮に失敗しても現在の位置を守れば、いいだけだからです。

3月の大統領選挙を考えるならロシア側にとってのリスクが少ない戦場が、ロシアにとっては都合が良いと言えます。
その政治的な条件と大部隊の集結を考えると、ロシア軍が次の大規模攻撃をかけるのは、南部ザポリージャ戦線のロボティネ村Robotyne付近かもしれません。
2024.01.3
『侵攻670日目、ロシア軍はザポリージャや南ドネツクで失った土地を奪還』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-670th-day-of-the-invasion-russian-troops-recapture-lost-land-in-zaporizhia-and-south-donetsk/

※あるいは、シルスキー総司令官はクピャンスクにも増援部隊を送り込んでいます。リスクがあるのかもしれません。
2024.02.14
『シルスキー総司令官、アウディーイウカとクピャンスクに予備戦力を投入』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/commander-in-chief-shirsky-deploys-reserve-forces-to-audiivka-and-kupyansk/

バックナンバーを振り返ると全部の戦線でウクライナ軍が苦戦しており、ロシア軍としては攻めようと思えばどこでも攻められます。ロシア軍の司令官が、どこを選ぶかの問題のようです。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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