「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

(ロシア)プリゴジン氏の武装蜂起は何だったのか?<2023年6月

2023-06-27 18:24:55 | ロシアと周辺国

そもそもプリゴジン氏の率いる民間軍事会社ワグネルについて考えてみます。
元々は、プリゴジン氏がプーチン氏に取り入り民間軍事会社ワグネルを作りました。ロシア国内では、民間軍事会社は20社以上あるそうです。
しかし、ワグネルは長い間非公式な組織でした。一昨年ごろまでは、プリゴジン氏はワグネルの統率者である事を否定していました。プーチン氏もロシア国内にワグネルの拠点があることを否定していました。あくまで、ロシア国外の組織だという立場でした。

ワグネルが活動していたのは、シリアやアフリカ諸国です。スーダンはよく知られています。スーダンの金鉱山利権に食い込み利益を得ていました。当然、ロシア政府にも上納していたと思います。いわば、ロシア政府の海外での汚れ仕事を代行するような組織です。今もそれらの諸国にワグネルの要員は、いると思います。汚れ仕事を代行していたからロシア国内では、非公式な存在とされてきました。

プリゴジン氏とワグネルがロシア国内で存在感を示すようになったのは、ロシアのウクライナ軍事侵攻開始後です。当初はワグネルの戦闘員は、戦争のプロとして特殊作戦のような任務に就いていました。ロシアの正規軍には難しいような任務を代行していました。

そのうちプリゴジン氏がプーチン氏と交渉したのだと思いますが、ワグネルはロシア国内で大々的に戦闘員を募集し始めました。戦闘員の数が増えてワグネルはロシアの正規軍とは別の軍団になりました。

その頃からワグネルは公式にロシア国内で活動するようになりました。ロシア国内に建設されたワグネルの本社ビルは立派な建物です。今年になってからは、大々的に戦闘員の募集を始めました。ロシア中にワグネルの募集広告が出ているような状況です。

プリゴジン氏とワグネルの存在を危険視する人々も出てきました。そのような声に押されてプーチン氏もワグネルの戦闘員をロシア軍の傘下に収めようとしていました。そうなれば、プリゴジン氏は現在持っている勢力を失います。だから、ロシア軍の傘下にワグネルが入ることを拒否していました。

いつまでもそれで済ますわけには行きませんから、ロシア軍はワグネルの野営地を攻撃したようです。(ロシア政府は否定しています。プリゴジン氏は、そう主張しています。)
この事件が直接の引き金となりプリゴジン氏はワグネルを率いて行動を開始しました。それが武装蜂起となりました。同時にモスクワに向けて進軍を開始しました。

放置すればモスクワにすぐ到達しそうな状況でした。多分25日にはモスクワの郊外に到達していたと思います。内戦を恐れた関係者が必死にプリゴジン氏の説得に努めたのであろうと思いますが、さすがに戦争中にモスクワで内戦を引き起こすことの非を悟りプリゴジン氏はワグネルに撤退命令を出して事態は収束に向かいました。

その後の経緯を見るならプリゴジン氏は、ワグネルをロシア軍の傘下に入れる事に応じて、自分は出国しました。プリゴジン氏とワグネルの戦闘員の刑事的責任を追及しないことも条件だったようです。

プリゴジン氏に認められたことは、刑事訴追を受けない事と無事にロシアから出国する事以外には不明です。

この事件は、ロシア国防省とプリゴジン氏の権力闘争と言うのが、一番実情に近いと思います。

プリゴジン氏は、その権力闘争に負けました。ロシア国防省は大組織ですし背後にロシア軍がいます。プリゴジン氏がロシア国民に人気があり、ワグネルの軍団を率いていようと単独で対抗する事は出来ません。仮にクーデターで権力を握ることが一時的に可能だとしても、それを多くの組織や人が支持しなければ、やがて鎮圧されます。ロシア軍の半分を味方に付けない限りそれは無理だと思います。

武装蜂起はしたものの同調者は、いなかったようです。プリゴジン氏が味方に付けたい大部隊を指揮しているロシア軍の将官は、ウクライナ戦線で戦闘中です。

そのような経緯をたどりプリゴジン氏はロシア国外に去りました。

コラム
2023年6月26日12:57 午後37分前更新
コラム:世界は「プーチン後」に備えを、ワグネル反乱で動き始めた時計
https://jp.reuters.com/article/breakingviews-russia-putin-idJPKBN2YC068
トップニュース
2023年6月26日11:52 午前2時間前更新
アングル:ロシアの核兵器管理は正常か、ワグネル反乱で懸念浮上
https://jp.reuters.com/article/nuclear-russia-idJPKBN2YC04F
ワグネルの反乱、プーチン政権崩壊の「第1段階」 ウクライナ当局者
2023.06.26 Mon posted at 13:22 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35205721.html
ロシア下院がワグネル規制法案を検討 プリゴジン氏の今後も不透明
2023.06.26 Mon posted at 10:51 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35205709.html



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