「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナで戦われるドローン戦争<ウクライナ紛争2023年9月

2023-09-12 17:32:22 | ウクライナ紛争

ここに来て、はっきりしたのはロシア軍が仕掛ける自爆型ドローン攻撃をウクライナ軍が防御できない構図です。
もちろんロシア軍の民間人や民間施設に対するドローン攻撃は、戦争犯罪です。しかし現実問題、それを法律で取り締まることは出来ません。だから毎日、ウクライナの民間人や民間施設に被害が発生しています。

ドローンが有効な兵器であることは、ナゴルノ・カラバフ紛争で既に証明されています。この紛争では、トルコ製のドローンを使用したアゼルバイジャン軍がアルメニア軍に対して、圧倒的に有利に戦いを進めてアゼルバイジャン軍優勢の中で、かろうじてアルメニアは停戦に持ち込むことが出来た・と言うのが実情です。

『AIドローン兵器が勝敗を決したナゴルノ・カラバフ紛争の衝撃
アゼルバイジャンが使用したトルコ製ドローンが開く新たな軍拡』
2021.7.22(木)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66160
『自治州巡る戦闘でドローン猛威、衝撃受けるロシア…「看板商品」防空ミサイル網が突破される 』
2020/12/21 07:18
https://www.yomiuri.co.jp/world/20201221-OYT1T50050/
『ドローン戦争の時代到来 無人機で戦火拡大「死者5000人」とプーチン氏』
2020年10月23日 19時23分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/63821

簡単に言うと、この戦争でドローンの脅威を明確に認識したのがロシアです。

それに対してアメリカやNATOは、その脅威を認識しませんでした。アメリカのドローン対策・・・
『イランのドローンを撃墜、米海兵隊のエネルギー兵器「LMADIS」の威力』
2019.09.24
https://wired.jp/2019/09/24/iran-drone-marines-energy-weapon/
『イラン製ドローン無力化へ、ウクライナが新技術開発』
2022.10.16 Sun posted at 16:33 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35194681.html

つまり電磁波を利用したドローン対策です。ここに基本的な間違いがあります。

イランがドローンを開発した目的は、イランの軍事力では到底及ばない強大なアメリカ軍と戦うために開発しました。発想の基本が違うことに、アメリカ軍は気が付かなかったと言えます。アメリカとNATOの開発したドローン防御は、アメリカの考えを基本にしています。

イランの発想は、全然違います。安価な無数のドローンがアメリカ軍を攻撃するのが基本です。電磁波を利用したドローン対策を破ることを最初から、想定しています。

結果は、ロシア軍がイランからドローンを導入して無数のドローンがウクライナを襲撃する方式には、防御手段が限られているのが現状です。防ぎきれないと言うことです。ロシアは、ナゴルノ・カラバフ紛争の戦訓から多数のドローン攻撃の有効性を理解しています。だから、イランから千機単位のドローンを購入して大量のドローンを投入して攻撃しています。更に、それを強化しようとしています。

ワールド
2023年8月18日2:35 午前23日前更新
『ロシアのドローン量産計画、着実に前進 独自開発も=報道』
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-drones-idJPKBN2ZS1AY

これが、稼働して実戦に投入されるとウクライナは更に苦戦するでしょう。

では、有効なドローン対策はあるのか?
あります。
ドローン自体は、無数にあるだけでそれほどハイテク兵器では、ありません。汎用部品を組み合わせて安く大量に生産できるだけです。安いところがポイントで、値段の高い迎撃ミサイルなどは利用できません。使えば、たちまち巡航ミサイルや爆撃機の防衛用のミサイルが枯渇するからです。

ドローンが汎用技術の寄せ集めであるので、機関銃での迎撃が最も安く効果的です。と言ってもドローンは低空で侵入しレーダーで捕捉しにくい特性があります。だからレーダー照準型の機関砲システムが有効です。
ゲパルト自走対空砲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%88%E8%87%AA%E8%B5%B0%E5%AF%BE%E7%A9%BA%E7%A0%B2

これは、防空ミサイルが進歩した現在では、旧式とみなされる対空兵器です。もっと効果的なミサイルがあるのに不要だろうと考えられていました。

しかし、ウクライナ軍が保有する兵器では、これが一番有効なドローン迎撃兵器です。役に立つは考えられませんでしたので、多分50両くらいしか供与されていません。もう型落ちの兵器で、退役したか予備で倉庫に保管されている兵器です。
書いてあるだけで・・
ドイツ94両保管
ベルギー55台納入、退役済み。
オランダ95台納入、2006年までに退役し、保管中
このうちウクライナの供与されたのは、ドイツの保有しているうちの50両だけです。だから、それ以外の分を供与するだけで、即座にウクライナでのドローン攻撃の防衛に役に立ちます。
更には、それ以外のNATO諸国にも似たようなレーダー照準型の機関砲システムは退役して倉庫に眠っている分があると思います。これらを供与すれば、高級なドローン防御システムより、はるかに有効で安価です。

安価なドローンの多数攻撃には、安価な機関砲式の防空システムが有効だという、皮肉な話です。照準装置さえ最新式なら、20ミリ機関砲でも12・7ミリ機銃でも有効です。

何故、これらの兵器をウクライナに急いで供与しないのかが不思議です。ウクライナが、それを求めている様子もありません。

ともあれ、今後はドローン製造能力とドローン防御能力が戦争の帰趨に大きく影響すると思います。戦争に投入されるドローンの延べ機数は膨大なものになると思います。だから有効なドローン防衛用の兵器は、不可欠です。その兵器は、どちらかと言うと安い旧式の兵器です。



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