他国のことなど普通気にしません。しかし、最近イギリスの何かがおかしい・と思えるようなことが多いです。大体、全部ウクライナ紛争を調べているうちに、その周辺におかしなことが無数にあることに気が付きました。ウクライナ紛争に興味を持たなければ一生無関心で知らないままだったかもしれません。
その一つのヒントがイギリス国鉄の民営化の失敗に見えます。
【イギリス国鉄】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E5%9B%BD%E9%89%84
【google検索>イギリス国鉄は分割民営化されましたか?】
イギリスの国鉄は1994年以降の改革で運行とインフラを分離した「上下分離」方式で運営されるようになり、「上(運行)」の旅客輸送部門は25の列車運行会社に分割、民営化されました。 現在、列車運行会社の数は21です。 「下(インフラ)」の鉄道網や駅を提供しているがネットワーク・レール社。2020/01/30
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ところが、これが破綻しています。
なぜ失敗したのか❓
現代ビジネス 2024.03.18
『鉄道の民営化は失敗だった…イギリス下院議員が語った「日本人は知らない真実」』
https://gendai.media/articles/-/125844
『イギリスの国鉄民営化はどうして破綻したのか サッチャーの新自由主義革命はEU離脱で終わりを告げる』
2020/1/30(木) 19:36
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/1175d25f69f5920cf07d4e80146b829177f2c010
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<現代ビジネスの記事から引用>
「残念ながら資本主義システムでは、短期的な利益追求は常に需要を満たすことよりも優先する。短期の利益を追求せず、長期的な視野を持とうとする企業があっても、競合他社が安売りを仕掛けてきたら、競争から身を守ることはできなくなる。他社に買収されてしまうだろう。長期的な計画に立った経営はほぼ不可能だ。民営化に際して政府は、規制をしっかりすれば問題は起きないと主張したが、鉄道の料金高騰や遅れの多発、あるいは水道の水質悪化などから規制の失敗は明らかだ」
「保守党は鉄道を民営化して、さまざまな企業が電車を運行し、さらに下請けに出すことを可能にした。何の統合もないまま、国中を何百という会社が電車を動かすことになり、結果として列車衝突という大惨事が起き、私の選挙区の運転士が死亡した。ヨーロッパで最も高い水準まで運賃が値上がりしているのに、安全への投資はないがしろにされてきた。
今やわれわれの鉄道システムのほとんどはフランスやオランダなど、欧州の国営企業によって運営されるようになってしまった。これらの企業が英国で利益を上げ、自国の鉄道料金を安く抑えるために利益を本国に還元しているという皮肉な事態が実際に起きてしまった。
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大雑把にこれが民営化失敗の流れのようです。
日本の国鉄民営化とは、全く違います。
まず、読んでも意味が分かりません。それは仕組みが複雑すぎるからです。様々な既得権益が政治に介入した結果、意味不明な妥協の産物が出来上がりました。
まず、鉄道インフラの所有とメンテナンス、鉄道の運行が分離されています。
鉄道の運行の方を、細切れにしてどうやら競争入札で運営権を期限を区切って売る(リースっぽい?)ような形式で処分しました。これは他の記事を読むと、どうもそうらしいことが分かります。
そして、そこに参加したのがヨーロッパ企業です。その当時、イギリスはEUに加盟していましたからイギリス企業とEU企業の競争になり、イギリス企業が負けた結果であろうと思います。
インフラ会社の方は、多分旧・国鉄的な体質が残ったのであろうと思います。弊害がそのまま引き継がれたと言うことでしょうね❓
一方、運行を経営するヨーロッパ企業は、ひたすら利益を上げて本国に還流するような流れが常態化して、いわゆる利便性向上のための投資などしない。
こうしてヨーロッパで一番?ダメの限界まで行きついた鉄道が生まれてしまいました。
読んでみると、一体何をしたかったのか意味が分かりません。
とことん、ダメになったのは良く分かりますが❓
現代ビジネスの記事は、ネット接続のお粗末な事情にも触れています。この部分は記事を読んでください。
これが、利用者目線ではどうなるか❓
Newsweek
『煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄道網が次々と「再国有化」されている』
2025年01月22日(水)18時55分
https://www.newsweekjapan.jp/joyce/2025/01/post-333_1.php
驚くことに「再国有化」には、法律の改正もいわゆる鉄道を運営していた会社に対する保証もないようです。そこから考えると期限を区切って鉄道運営権をその期限の分売却するような方式のようです。ここら辺も良く分かりません。
日本の国鉄民営化は大議論の末、一番いいだろう・と言う方法で民営化されました。
イギリスの場合を見ると、そもそも何をしたいのかが不明です。
「民営化ありき」で形式上だけ民営化したように見えます。
なんでも分割して細分化してしまう・のは、鉄道利権に食い込みたい関係者が多かったのでしょうね❓
その妥協と野合の産物として意味不明なイギリス式国鉄民営化が出来上がってしまったようです。
そして、そもそもイギリスには、このような国・社会としての体質的欠陥が内在しているのではないか・と思える記事があります。
ロイター
『英政府、競争・市場庁議長を解任 経済成長を優先せず』
2025年1月23日午前 9:42 GMT+94分前更新
https://jp.reuters.com/economy/industry/HCIPVC7RS5MDXH33YEDLUM2HW4-2025-01-23/
「一方、英国の規制緩和へ向けた動きを批判する向きもある。英国は伝統的に中小企業と消費者を保護するため、大企業に厳しい姿勢で臨んできた。」
これが、そのまま残っているようです。
「中小企業と消費者を保護」は必要ですが、これを過度に保護すれば外国との競争力を失い、結果として消費者は高い商品を買い、高いサービスを受けることになります。
イギリスは、社会主義的な要素の強い国です。
イギリス国鉄の民営化の失敗が、実はイギリスの社会に沢山隠れているのではないのか❓
このような疑問が、生じます。
不思議に思っていたのが、イギリスの製造業で世界的なメーカーが、ほとんど見当たらない事です。
その理由は、こうして多分・第2次世界大戦後から続いてきた産業政策の失敗が今も続いているのではないかと思えてしまいます。
それを改革しようとしたのが、元サッチャー首相です。
(サッチャーの民営化政策)
https://www.ritsumei.ac.jp/~yamai/8kisei/kobayashi.pdf
結局、この改革が失敗したのが今のイギリスの姿であるようです。
何故こんなことを書くかと言うと、近年ではドイツの政策の大失敗がドイツに深刻な経済不振と社会不安をもたらしています。イギリスは、栄光ある大英帝国の成れの果てです。結局、植民地を失った後は、落ちぶれる一方です。イギリス帝国の遺産を食いつぶしたら、あとは貧乏一直線です。
ドイツの失敗は、おそらく東ドイツを吸収合併したのが大きな原因であろうと思います。
それでもシュレーダー元首相が改革して、一旦はドイツ経済は回復しました。
しかし、メルケル時代にその果実を食い尽くして、今はまた落ち目になりました。
ドイツの場合は、メルケル時代の政策の誤りが大きな原因です。
この時代に今のドイツが内在する様々な欠点を政策が作り出しました。
ヨーロッパが、年々落ち目度合いを深めていくのは、このような事が積み重なっている結果であろうと思います。
そしてヨーロッパ全体がイギリス的な欠点を内蔵し始めています。
ヨーロッパ市場は閉鎖的ですね。EU内の企業を保護すれば、イギリスと似たような状況が生まれるでしょう。既に生まれているかもしれません。
だからEUの政策は、間違っていると思います。
その間違いを改善せず墨守しようとしています。
上手くは言えませんが(まだ十分に理解したわけではありません)、日本にも似た要素があると思います。
改革や改善を続けない社会は、やがて衰退することを言いたかったのです。
大きな改革は痛みを伴うものです。だから小さな改革や改善を続ける努力が必要でしょう。
そこに必要なのは、国民の努力も当然ありますが、やはり政治の作り出す政策が大きな要素を占めていると思います。
特に中・長期的なビジョンです。
中曽根元総理が、大きな改革を成し遂げることが出来たのは、中曽根氏に未来を見るビジョンがあったこと。
私心のない、それが出来る人たちに全部任せたこと。
これが、日本の国鉄民営化が成功した理由だろうと思います。
【他山の石】
※関連日記目次
項目「ヨーロッパ」の目次③
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/70484af7010580642c91d2a502a7002d