蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

「ひろしま」

2013-08-07 | 映画
昔の小中校では、課外授業で映画を観に行くことがあった。クラスの全員が先生に引率されて映画館へ出掛けていく。こうして「ひめゆりの塔」とか「ビルマの竪琴」なんかを観た。いまはテレビもDVDもあるから、あんなことやってないだろうけど。

「ひろしま」も課外授業で観た。中1の時だった。日教組の肝煎りで制作された映画だから、まあ当然かもね。甘ったるい恋愛メロドラマにばかり出ていた美人女優の月丘夢路が、初めて自分の意志で出演したことでも話題になった。たしか、ノーギャラだったはず。

あの「ひろしま」が、いま自主上映で再公開されているという。ぜひ観に行かなきゃ……と言いたいが、ちょっと気が重い。およそ映画を観てあんなにシンドい、息苦しい気分に陥ったのは、後にも先にもあのときだけだ。

スタッフはドラマを創り出すなんて意識じゃなく、ヒロシマの地獄絵図を克明に再現する、その1点のみを目標にしゃにむに突き進んだんじゃないかな。プロットが弱かろうと素人エキストラのセリフが硬かろうと、そんなのは二の次だ。原爆投下直後のドキュメンタリーを撮ることが許されなかった恨みを、再現ドラマの制作で晴らしたような映画だった。

こういう作品は、おそらく良し悪しの評価を超えている。観たくなくても観なきゃいけない作品てのがある。これが多分、その1本だ。

ちなみに、初公開の時も「ひろしま」は自主上映だった。反米色が強いとの理由で松竹に配給を断わられたからだ。自主上映になっても、東大は構内での上映を禁止した。このとき日本はすでに主権を回復していたんだけどね。

しかし、第2次大戦当時の米大統領ルーズベルトの未亡人はニューヨークで観て、平和のためになると称賛したそうだ。
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