蒲田耕二の発言

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自殺幇助

2022-04-14 | 社会
今朝の東京の記事によると、交際相手の少年の自殺を手伝ったために千葉の女性が有罪になった。事件当時は、彼女も未成年だった。

女性は、遺族の恨みを一身に買ったようだ。法廷で、少年の父親と兄に散々なじられた。「親より先に子供に逝かれて、どれだけ辛いか分かるか」「目の前で首を吊るのを見ていられたのが分からん」

遺族の気持ちは、分からないではない。しかし責任は、彼女一人にあるのだろうか。

日本社会は、女性に従順さを求める。いや、強いる、と言う方が正しい。オレの親族が子供を育てるやり方を見ていると、日本の親がいかに熱心に子供たちに、特に娘たちにおとなしさ、慎ましさを強いるかを日々実感する。

それは表面上、人の迷惑にならないように、との道徳的規範の形を採るが、大抵は親の言いなりになることを要求しているだけである。こういう躾けが母親から娘へと代々受け継がれ、日本社会には「言いなり」規範がガッチリ根づいている。

こうして、辛淑玉さんや伊藤詩織さんのような、言いなりにはならず敢えて物言う女性は激しいバッシングに遭う。とりわけ、女性からバッシングされる。

千葉の少女は、なぜ少年の自殺を止めなかったのかと問われて、分からないと繰り返したそうだ。「何度も止めたけど、聞いてくれなかった」とも陳述している。この女性もおそらく、人の言いなりになる社会規範に組み込まれていたのではなかろうか。

首に縄を掛けた少年に踏み台を外すよう頼まれたとき、彼女が直面したのは「言いなりになる」ことへの抵抗だった。少年の頼みを断ることは、彼女の身体に染みついた社会規範と戦うことだった。一個の若い女性にとって、それは気が遠くなるほど膨大な気力を要する絶望的な戦いだったはずだ。

少女の自殺幇助は、根っ子をたどれば日本社会の風土に行き着く。女性一人に責任を負わせて解決する問題ではない。日本のジェンダーギャップ指数の異常な低さとも、おそらく無関係ではない。

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