女装子愛好クラブ

女装小説、女装ビデオ、女装動画、女装記事などを紹介していきます。

教えたげましょうか。それは、女になったからよ.....

2023年02月17日 | ★女装の本・雑誌
今朝も寒いですね。
まあ、2月もあと少し。
3月になれば、暖かくなります。

さて、女装フレーズが続きます。
(おいおい、勝手にシリーズにするなって)

教えたげましょうか。それは、女になったからよ.....

ご愛読の方ならお判りでしょうか、出典を。
そう、梶山季之先生の名著『美男奴隷』です。
主人公の千絵は近所に住む英国人のジャック君に近寄り、秘密の部屋に誘い入れます。
そして、女の子にしてしまったのです。
彼はジャクリーヌという女性名を与えられます。

女装した少年ジャックは、おそるおそる踵の高い靴で歩んで来た。
「そこに立って!」
 千絵は、立ち上がると、
「さ、レスビアンごっこ、しましょう」
 と、少年に接吻した。
 少年は、膝頭をブルブルとふるわせはじめていた。興奮したのだ。
「あとで、もっと、もっと愉しいこと、してあげるわ。労働に対する報酬.....」

 千絵は、すーっと腰を落としながらさりげなく、膨れ上がった、その部分を撫でた。実少女は
「ああっ!」
と悲鳴をあげた。
 「なぜ、興奮してるの?」
  彼女は言った。
  ジャックは、かがみ込んだ。
 「わからないよ.....」
  少年は、声をふるわせて叫んだ。
 「教えたげましょうか。それは、女になったからよ.....」
 千絵は妖しく瞳を輝かせ、
 「女になったから、ジャクリーヌ興奮してるのよ。あたしの小間使いとして、今夜から一時間ずつ、奉仕をなさい」
 と、ゆっくり脚を組んだ。
 「どうしたの、ジャクリーヌ。そんなところにしゃがみ込んだりして.....」
 「た、たてないんだよ」
「なぜ?」
「だって....だって」
 美少女は、口ごもり、そして顔をますます赤くしている。
「わかったわ....。突つばって、痛いのね。そうでしょう?」
「う、うん」
「じやあ、その長イスに、横におなりなさいなiii」
「…………」
「早く! 命令ですよ、ジャクリーヌ!」


沼に落ちたジャクリーヌ.....。
妖しい快楽の中にずぶずぶと沈んでいくのです。

出所:梶山季之著『美男奴隷』



この本はkindle化されています。
そして古書もリーズナブルです。
買うなら今のうちかな。

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みんな、女として見ている。しかも、外国の女に-だ。それだから、余計に昂奮する。ゾクリ、ゾクリとする。

2023年02月16日 | ★女装の本・雑誌
今朝は寒いですね。
冷え込んでいます。

女装子さんはパンスト2枚穿きで対策するのでしょうか。
それとも80デニールの黒タイツでしょう。

さて、本日は梶山季之先生の隠れた名作『血と油と運河』からです。
石油会社社長の娘婿で、秘書課長の木島宏さんは隠れた趣味がありました。
それが女装です。
同じ女装仲間と女装して外出します。
今夜は横浜です。
中華街のレストランで金髪の鬘を被り、中華街の高級中華料理店で食事をしています。


横浜の中華街で、食事をしている時、木島の男性〇〇は、怒張し切っていた。
なまじっか、高級な中華レストランを選んだばっかりに、ボーイは、金髪のカツラとも知らず、外人だと思い込んで、「マダム、マダム……」と連発する。
「メイ・アイ・イントルデュース・マイセルフ?」などと、下手な英語で、自己紹介をしたがる。

 木島宏は、そのたびに、痛いほど、怒張を覚えた。
 今日は、コルセットを締めず、ナイロン・パンティ一枚である。
 だから、昂奮するたびに、スカートが、むくむくッ揺れる。
 それを隠そうとして、ストッキングの脚を組む。
 すると、股の間で、熱い火柱が揺れ動くのであった。
 みんな、女として見ている。しかも、外国の女に-だ。
 それだから、余計に昂奮する。
 ゾクリ、ゾクリとする。
 股のあいだに喰い込んでいる、ナイロン・パンティの感触。
 ストッキングの、ゆるやかな緊縛感。
 化粧のすべての羞らい。
 ぎゅッ、と締めつけるような、ハイヒールの痛さ。
 ない乳房を、糊塗しているブラジャーの中のスポンジ・ケーキ。
 金髪のカツラの重さ。
 マニキュアざれた爪の朱さ。
 ・・・すべてが、彼にとっては、恍惚の対象である。
 
 それを身に、しっかと纏い、変身して、食事している妖しい楽しさ。
 彼は、たまらなくなった。



この本もkindle化されてませんね。



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NHKの『探偵ロマンス』で世古口凌がTGのオペラ館の踊り子“お百”を好演している 

2023年02月15日 | ★女装の本・雑誌
世古口凌、『探偵ロマンス』でオペラ館の踊り子“お百”を好演 
『ザ・テレビジョン』の記事はこちらをご覧ください→★

土曜日のプライムタイムにNHKが女装した俳優を出す時代なのですね。
そしてこの世古口クンが美しいですよね。
そして乱歩の妖しい世界にピッタリ。

NHKは『大奥』でも男色のレイプ未遂シーンを入れました。
(『ショーシャンクの空に』でのシーンとよく似ていましたね)
日本放送協会も境界を超えることがデフォルトになりつつあるのでしょうね。

そうなるとですね、今こそ『苦い旋律』をテレビドラマ化してもいいんではないでしょうか。

時代は小説が書かれた昭和40年代でもいいと思いますし、令和の今にしてもよいでしょう。
エッジのきいたプロデューサーか脚本家が企画書を書かないかな?


梶山季之著『苦い旋律』





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僕の中に眠っていた女性が、プラを着けた瞬間目を覚ました

2023年01月29日 | ★女装の本・雑誌
あるHPを見ていましたら、ブラジャー研究家の青山まりさんに『ブラジャーをする男としない女』という本があるのがわかりました。
早速、市立図書館で取り寄せてもらって、熟読。
ブラをつけることで精神の安定を取り戻すことができた男性の話などが取り上げられた本です。
今日は、少年時代にブラをつけさせられたことにより、自分の中の「女性」に目覚めた一雄さんの体験を引用してみます。

僕の中に眠っていた女性が、プラを着けた瞬間目を覚ました
一雄 建設会社営業職 56歳
  既婚・妻51歳 長男23歳 長女22歳 二女16歳

 一雄が十七歳の時のことだった。昭和四十年代初頭、一雄は働きながら夜間高校に通っていた。
高校三年に進学した一雄は昼間ミシンの修理工として働いていて、勤務先の会社が経営する洋裁学校ヘミシンの修理に週二回出入りしていた。
 そこで一雄がよく目にしていた光景は、昼休みに職員室で職員の女性たちが、通信販売で共同購入したダンボール箱を広げ、キヤッキヤッと騒いでいる様子だった。それは、下着の入った箱だった。
 望月先生という女の先生は、今でいえば女優の黒木瞳似の目がクリッと大きく美しい、心の優しい先生だった。暑い夏には、仕事をしていると冷たい麦茶を運んできてくれたり、たくさんいる先生の中でも、とりわけ一雄によく気を遺ってくれていた。

 ある日の放課後のことだった。いつものように一雄が作業をしていると、望月先生が、職員室の隅っこに続いている宿直室に手招きした。
「いらっしゃい」
 一雄は心臓の鼓動が高鳴るのを感じながら望月先生に言われるままに、宿直室へと入っていった。
 宿直室の部屋は、簡単な料理のできる調理台と流しのある畳の部屋で、二間にわかれており、奥は寝室のようだった。畳の部屋には四角いテーブルが置かれていて、座布団がしかれていた。
望月先生は、麦茶を出してくれて、少しの間、歓談があっただろうか。
「ちょっと待っててね」
 しばらくして、望月先生はそう言って奥の部屋へ行き、次の瞬間、奥の部屋で通信販売で購入したばかりの下着を身に着け、居間にいる一雄の前に現れた。そして、一雄に言った。
「着けてみる?」
 ただでさえ、思春期だ。一雄の心臓は破裂しそうに、頭の中は真っ白になってしまった。コックリとうなずくだけで精一杯だった。
 望月先生は、まず、ゆっくりと一雄の作業着を脱がした。そしてブラジャーを着け、後ろにまわり、そっとホックを留めてくれた。
「……」
 一雄は言葉が出なかった。
 それまでに昧わったことのない感覚。興奮と安らぎ。心の中に潮が満ちてくるような、恍惚となってしまう不思議な体験。この日のできごとは、一雄にとって生涯忘れられない永遠の一日となった。

出所 『ブラジャーをする男としない女』青山まり著 新水社



2005年の本ですね。



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2014年 本の雑誌編集者が浅草橋・エリザベスで女装した 2

2023年01月24日 | ★女装の本・雑誌
エリザベスに潜入した本の雑誌編集者、女装が完成したようです。
続きをどうぞ。

とかなんとか話しているうちに、あっという間に三十分が経過。そろそろ二人のメイクも終わるころだという。

浜 可愛くなるポイントはどこですか。
野 やっぱり目ですね。一重だったら二重にしたり、まつげも真っ直ぐでいいのか持ち上げたほうがいいのか、合うほうにしますし。ただ、あまり美男子だと、そんなに変わらないんですよ。逆にそうじやないほど、びっくりするくらい(笑)。
杉 変わる(笑)。
野 ウイッグをかぶるまでは、疑心暗鬼な人も多いみたいですけど、かぶった瞬間にがらっと変わります。あ、来たみたいですよ。

というと声と同時にエレベーターの扉が開き、女装姿の末井、宮里の二人が登場! 
その変身ぶりは写真のとおりだ。
(引用者注 写真は載せてないのでございます)

杉 えええっ、可愛いじゃん。意外にすごく似合う。
浜 変わるもんだねえ。明日から普通に見られないかも(笑)。
末 気持ちいいでしょ。名前なんて言ったっけ?
宮 潤です。
末 じゃあ、ジュンコって名前にして、ジュンコちゃん可愛い可愛いって、みんなから言われるとだんだんその気になってくる(笑)。
杉 末井さんは女装名は?
末 単純です。アキコ(笑)。
 スタジオでパチパチ写真を撮っていると、「外で撮ったほうがいいんじゃない?」というアキコの悪魔の囁きが(笑)。ちょっとならとジュンコも同意するので、浅草橋の街を散歩してカフェでコーヒーまで飲んだのである!

末 視線が来るね(笑)。
宮 気持ちが変わりますよね。
末 そう。気持ちが変わらないと楽しくないんですよ。気持ちが変わらないのは単なる仮装でしかないですから。
杉 なるほど仮装じゃなく女装であると。
          (二〇一四年十二月号) 出所:本の雑誌おじさん三人組が行く! (別冊本の雑誌18)

天才編集者であり、女装をたしなむ末井昭氏の言葉
「気持ちが変わらないと楽しくないんですよ。気持ちが変わらないのは単なる仮装でしかないですから。」
気持ちとは心。
女装して「おんなのこころ」になる。
そこに女装の楽しさがあるかもしれません。

そして女装男子愛好者は「おんなのこころ」になった女装者をさらに深みに誘う役割があるのです。


本の雑誌おじさん三人組が行く! (別冊本の雑誌18)
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2014年 本の雑誌編集者が浅草橋・エリザベスで女装した

2023年01月21日 | ★女装の本・雑誌
たまたま図書館の『総記』の棚でこの本『本の雑誌おじさん三人組が行く!』を見つけました。
『本の雑誌』は創刊号のころから知っていたので(そうだ、池袋の芳林堂で買ったんだ)、懐かしくなってペラペラペラと立ち読みしました。
するとですね、この本の雑誌の取材おじさん3人組がいろいろなところに体当たり訪問するリポートですが、2014年にはなんと浅草橋にあったエリザベスを訪れ、女装体験しているじゃありませんか。
これは借りるしかないですよねぇ。

2014年かぁ、9年前ですね。
これも東京女装史のひとこまでしょうか。
突入したのは、宮里潤氏、杉江由次氏、浜本茂氏です。
以下引用です。

末井さんとエリザベスに行く

 今月は天才編集者・末井昭特集だが、末井昭といえばなんといっても女装! OL風から和服に女子高生まで、なんでもござれの女装マニアだったことで知られるが、おお、そうか、天才と称される編集者になるには「女装」のひとつも体験しておかなければならないのではないか。
 というわけで、今月のおじさん三人組は末井さんと女装をしよう! といっても、末井さん愛用の女装の殿堂で変身一式をやってもらうと一人一万八千円くらいかかるそうだから、おじさん三人組の予算では末井さんともう一人が限界。うーむ、どうしよう。一人となるとやっぱり化粧のノリがいちばんよさそうな杉江かなあ。と悩んでいたら、「オレがやります!」と手を挙げる男がいた。
 宮里キャンドル潤四十歳である。なるほど、坊主にひげ、そして骨太ともっとも女性から遠い男性ホルモンだらけのこの男こそ、女装した際のインパクトは強いだろう。さすが天才編集者を目指す男。さあ、キャンドル潤はどんな女性に生まれ変わるのか。

 もっとも、さすがに一人では行けませんと涙ながらに訴えるので、浜本、杉江も同行し、末井さんと女装の殿堂「エリザベス」がある浅草橋駅で午後いちばんに待ち合わせ。駅から二分ほどで「エリザベス」と看板が出たビルに到着。エレベーターで四階に上がり、受付で来意を告げると、いきなり常務の野島征子きんに「下着セットはお持ちですか」と聞かれ、ええと、と戸惑う浜本を尻目に「パンティは買ってきました」と宮里が堂々と答えたから、おお、お前はエライ! と感心したのもつかの間。プラジャーとスリップを持っていないことが判明し、下着セットを購入することに。衣装はレンタルだが、下着は自前が原則。下着セットはブラジャー、スリップ、ショーツ、ストッキング、つけまつげが入った初心者向け七千五百六十円(税込)だが、単品で購入するよりだんぜんお得らしい。

 続いて衣装を選び、下着から順に身に着けていく。着替えが終わったらメイクに入り、かつらをかぶったらできあがりだ。普通の格好の男が店内をうろうろしているのは他の客に迷惑なので、本来であれば女装をしない浜本と杉江は退店しなけれぱならないのだが、ただいまは他のお客さんがいないからと、野島常務の計らいで特別に三
階で待たせてもらう。

 三階は撮影スタジオとサロンで、夕方五時からは飲酒も可能。バーカウンターとテーブルがあり、本棚には女性誌とレディコミがぎっしり並び、壁面には写真がずらっと飾られている。単独で写っているものもあれば、集合写真も多い。パーティやミスコン、初詣に旅行などさまざまなイベントが開催されているようだ。
まさに同好の士が集うサロンなのである。

 野島常務によると、平日は約十人、土日になると二、三十人ほどが来店するそうだ
が、常連客が大半とのこと。創業三十五年の老舗だが、なんと開店当初から通っている人もいるという。
野 夕方の五時過ぎると居酒屋状態になりますね。昨日もお客さんがたこ焼き作ってくれて。楽しいですよ。みなさん、いい人たちばかりで。

 会員は三十代から四十代の働き盛りが中心で、仕事帰りに寄って女装して飲んで話していく人が多いらしい。
浜 やっぱり家庭があると家ではできないから、お忍びで。
杉 ストレス解消するんだろうね。ここで何の話をされてるんですか。仕事の話とか?
野 いえ。仕事の話はNGなんですよ。本名と住まいのことも一切聞きません。
                              以下は明日にしますね
                            出所『本の雑誌おじさん三人組が行く』






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1969年、正月の男子寮で良太は女性下着をつけだした

2022年12月17日 | ★女装の本・雑誌
承前です。
梶山季之先生の『流れ星の唄』は1969年の東京が舞台です。
東北から出てきた良太クンは畳敷きの男子寮の部屋で先輩と同室です。
今みたいに新宿に女性部屋があるわけではない。
あったとしても集団就職で出てきた少年に通えるお金があるわけではない。
押し入れの行李(おお、懐かしい)には彼の女装道具一式が詰まっています。
しかし、それを取り出してお化粧してブラやパンティをつける機会はないのです。

そしてお正月。
新年朝の宴がおわり、同室の先輩は帰省すると言って出ていきました。
これぞ千載一遇のチャンス。
良太クンはもどかしく、押し入れから宝物の入った行李を取り出したのです。

八百一の寮は静かだった。
みんな屠蘇酒でいい機嫌になって、外出して行ったのである。
良太の同室の関という二年先輩の人物は、幸吉たちと同じく帰郷するといって、帰って行った。
吾妻一太郎の家では、誰かが歌い、みんなではやしている騒ぎがつづいている。
 〈やっと、一人になれた!〉良太は思った。
部屋の戸には内鍵はない。
良太は、板戸に簡単な、つっかい棒をしてから、押人れの戸をあけた。
行李をとりだす。
その中には、上京して以来、良太がこっそり集めて宝物がはいっているのであった。
盛岡で買った真紅の婦人靴。
トルコ嬢になった春江のブラジャー。
田村夫人の家から、こっそり失敬して来た水色のパンティ。
顔から火の出る思いをして買ったパソティ・コルセット。
スーパーで買い求めた肉色のストッキングもある。
そのほか、口紅だとか、化粧用具などもあったののだ。
 相沢良太は、小さな鏡を相手に、せっせと化粧にとりかかる。
 これは、われを忘れる時間だった。
 なんといったらよいのだろう。
 鏡の中の自分が、少しずつ変貌してゆくのが、たまらないのである。
 大袈裟にいうと、ゾクゾクして来る。
 胸が高鳴り、ある部分が火のように火照ってくるのだった。なぜなのだろうか。
 女装趣味の者は、ナルシストであるといわれる。つまり、自分で自分の美しい姿をみて、恍惚となる傾向の人をさす。
 よく、銭湯などで、鏡の前に倣が、飽かず自分の裸姿に、見惚れている人がある。
 特に、女性には多い。
 あれは、ナルシズムの現われなのであった。
 化粧が終る。うっとりとなった。
 睫毛が病的に長いので、本当の女のようにみえる。毒々しいまでに濃い口紅。
 「あたし、女なのよ……」
良太は、満足そうに声に出し呟く。
スカーフがないので、ナイロソの風呂敷を頭からかぶり、前髪を垂らすと、安酒場のホステスみたいな感じになった。       、‐
 新品のナイロソ靴下の、セロファンの袋を破る。
 脛毛はない方であった。前に靴下を伝線させたことがあるので、アカギレの指に注意しながら、ゆっくりと穿いてゆく。
 その時には、男性自身はすでに、いきり立っていた。パンティ・コルセットを穿く。
 これも新品である。
 しかし、靴下の留め方がわからなかった。良太は焦った。
 実際には、コルセットの裾に、小さな金具を通して、靴下を留めるのであるが、良太は慌てて買ったから、その付属品を貰うのを忘れて来たのであった。真紅のハイヒール。良太は、それに頬ずりしたり、チュッとキスしたりした。
 股間は、大きく揺れている。
 靴を履いた。立ち上る。畳の上だから、ふわふわして立ち上りにくい。立つと、ストッキングが弛んで落ちてくるのである。
 良太は、もう我慢できなくなっていた。立つことを中止して、畳の上に坐って、脚を投げだした。
 そして、田村夫人の水色のパンティを手にとった。それは、洗濯しない前のものだった。
 何日聞か穿いていたらしく、その部分は変色して、異臭を放っている。
 女装しているにも拘わらず、女性のパンティの異臭に昂奮するこの心理。
 それでいて、良太の頭の中には、太いペニスが揺れ動いているのであった。
 なんとも奇妙な話ではないだろうか。良太は、パンティを鼻にあてがいながら、右手を使った。
 白いものが、弧を描いて、空中に飛んだ。  ’
  〈ああ……〉良太が低く呻いた瞬間、廊下を歩いてくる足音がした。
 彼は、身を竦ませながら、板戸の方を眺めた。
 どうしたことか、突っかい棒が、はずれている。
 〈ああッー〉と、良太が叫んだ瞬間、足音が止まって、ガラリと板戸があいたのだ。
 「あッ、いけない!」
 良太が叫ぶのと、同室の関が、呆然と目をみはるのとは同時であった。
           出所『流れ星の唄(下)』梶山季之著


全然話は違いますが、これを読んで1969年のお正月を思い出しました。
家族そろって新年を祝い、お雑煮を食べる。
商店もみんな店を閉めて人も歩いていない。
昨日の大晦日の喧騒が嘘のように町が静まり返る。
静かな静かなお正月。
そして午後には初もうでに晴れ着の女性が行きかう。
私の子供の頃のお正月はどこもそうでした。


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美少年良太は厳しい女装修行を始めました~梶山季之著『流れ星の唄』から

2022年12月11日 | ★女装の本・雑誌
昭和44年8月、梶山季之先生は週刊実話に『流れ星の唄』を連載しました。
東京郊外の八百屋チェーンに集団就職でやってきた東北の純朴な15歳の少年2人(幸吉と良太)と少女(早苗)は、男子寮と女子寮で暮らしだします。
しかし、3人は東京の妖しい魅力に巻き込まれます。
早苗は同僚の俊子とレズビアンを教えられ虜になります。
幸吉は女スリと関わりを持ったばかり、彼女に奉仕するM男になります。
そして美少年の良太はもとからあった女装への憧れから、女性の下着やハイヒールを纏う快感にとらわれます。
同室の先輩から愛され女に目覚め、そして新宿の女装酒場「ヤプー」でどうしても働きたくなります。
勇気を出して「ヤプー」を訪ねたところ、先輩女装子の住田筆男に見込まれ、彼(彼女)の部屋で女性への修行を始めることになります。
以下、引用です。

「あたしのパンティを穿いて、このネグリジエを着てたら良いわ」
 筆子はいった。
「一日中、こんな恰好してるのスか?」
良太は訊いた。
「そうよ」
筆子は冷たく、「女になり切るにはね、それが一番なの」と教えている。
「女の弱点を、剥き出しにしておくわけ。すると、女になり切ろうとするでしょ。そこで自然と女らしさが漆み出てくるのよ……」
「はい、判りました」
良太は、そういいながらもゾクゾクしていた。

筆子は、良太に向かって、いろんなことを説教しはじめる。
先ず髪の毛を伸ばし、毎日、三回はブラッシングすること。
脱毛クリームを脚に塗り、丹念にマッサージすること。爪を伸ばしはじめること。化粧の練習をすること。女性ホルモンを飲み、乳房を湯の中でマッサージすること。
ひまがあったら、ハイヒールを履いて、歩く練習をすること。発声の練習をすること。女性言葉をマスターすること。食事とか、洗顔とか、排便とか、日常的な行動の中で、女になり切るように努めること。
月に三日は、自分で定めたアンネの日をつくり、生理帯をつけること。
絶えず、妊娠の心配をすること。(それが最も女らしさを形づくる)
どんなに辛くとも、パンティとストッキングは毎晩、洗うこと。
ハンドバッグ、靴、洋服、下着、化粧など、女性のファッションに関しては、たえず流行の尖端を行くこと。

物の値段を覚えること。
美容院には一日おきに通い、女性週刊誌だけを読むこと。香水は、動物性のものを用いること。(ハッカとか、ジャスミン、キャラなどの植物性香水を使わない)
化粧して、パンティとブラジャーをつけたら、三面鏡に向かって、いろんな胎帳のポーズを
とり、女らしさを強調するように、演技すること。
絶えずコンパクトを取り出して、人前で化粧を直すコツを覚えること。
口臭に気をつけること。安物の口紅をつけないこと。下着は贅沢なものを買うこと。(スーパー・マーケットなどで、安い品物を買うと、結果的にみて損をする)

働く店に入る前に、必ずオナニーしておくこと。(欲求不満が、男性であることの馬脚をあらわすことになる)
ハイヒールを常用すると、必ず靴ダコが出来る。ドイツ製のタコ削り器で、いつも削り取っておくこと。生ゴム製のサポーターを使い、いつもペニスは股間に挾んで、肛門の方へ廻しておくこと。(こうすると、多少のことで昂奮しない)
出来る限り早い期間に、乳房の豊胸手術だけ受けておくこと。(男の客は、どういうものか、乳房さえホンモノならば、相手が女性だと信じ切って、疑いもしない)
精力のつく食物は、つとめて摂らないこと。なるべく菜食にする。
髭が濃くなってしまう。そして夜明けなどに、化粧下地に青く浮き出てくるから用心すること。
女湯へ行っても、怪しまれないぐらいになること。
トイレに入ったら、必ずドアを閉めること。(不意にドアがあいて、思わぬ失敗をすることがある。洋式トイレの場合は、とくに用心すること)

酔って帰っても、必ず着ていた物を、きちんと始末して寝ること。
靴は毎日、埃を払うこと。ハンドバッグの中味は、最小限にとどめること。
薬屋へ、必ず生理綿を買いに顔を出すこと。
自分で決めたアンネの日には、無口になったり、不機嫌でイライラしてみせること。
働いている店の子には、自分はレズビアンで、男に興味がないと信じ込ませること。(決して、男の客と遊んではならない。千丈の堤も蟻の一穴から崩壊するのである)

……以上、いろいろと教えて貰ったが、いずれも一理も二理もある忠告だった。
相沢良太は、こうしてベテラン住田筆男の許で、女になり切るための修業の第一歩を踏み出すのである……。



>月に三日は、自分で定めたアンネの日をつくり、生理帯をつけること。
>絶えず、妊娠の心配をすること。(それが最も女らしさを形づくる)
ベテラン住田筆男の指示は、すごいですね。
外観や服装だけではなく、身体のなかも女性の生理をトレースすること。
そこから外からも内からも『女』が作られていくのですね。
このネタを取るため、梶山季之先生も新宿の女装酒場に通い詰めたのでしょうね。





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素敵は真似で身につける

2022年12月08日 | ★女装の本・雑誌
さまざまな女性誌で活躍する美容ジャーナリスト・齋藤薫さん。
私は彼女が書くコラム・エッセイが好きです。
彼女の文章には「美しいこと」へのリスペクトが満ちています。
そして彼女の文章を読むことは、だらしない自分を叱咤激励することになるのです。
週末に『一生美人力』を読んだところ、「素敵は真似で身につける」というエッセイがありました。
女装子さんも「素敵」になりたいと思っている方が多いと思いますので、ご紹介します。

 あれはもう20年以上も前のことなのに、銀座で見かけた女性の姿、今もハッキリ覚えている。その人は、ネイビーのすとんとしたワンピースに、ネイビーとグレーのストライプのロングスカーフをさらりとあしらって、颯爽と歩いていた。それだけなのに、「なんて素敵!」と目が釘づけになったもの。
 どこの服かわからないし、その年のトレンドというわけでもない。難しそうなコーディネイトでもないのに「素敵!」と思わせる。とても簡単なことなのに、ひと目見た瞬間に人を魅了するオーラのようなものを放っていた。だからもう、そのままそっくり真似るしかないと考えてみたのだ。
 そこで翌日、早速同じようなロングスカーフを探して、もともと持っていたネイビーのワンピースと合わせてみた。完全にパクリ。しかしまずは真似てみないと「素敵」は身につかないと思ったから。同じことをやってみないと洗練のつくり方もマスターできないと思ったから。
 案の定、そっくり真似た素敵スタイルは、何度か「素敵!」と誉められた。なるほど、そうやって自分の中に「素敵」のレパートリーを増やしていけばいいのだと気づくのだ。それからは、街に出るたびに「素敵!」を探す。正直それほど頻繁に出会えるものじゃないが、要はその分だけインパクトも強く、目に焼きついて離れないわけで、これは絶対に自分の中に貯めていくべきと確信するのだ。それこそ20年間、その人の記憶が生き続けているほどなのだから。
 ちなみに「素敵!」の多くは基本シンプルだが、小物づかいで洗練をつくっているケースがほとんど。洗練されたオシャレって、服そのものよりも、むしろ小物づかいでっくりあげるものなのだって教えられた。だから今日も「素敵!」の小物づかいを探しつつ、街を歩いているのである。
                   出所:『一生美人力』斎藤薫著 から



>まずは真似てみないと「素敵」は身につかない
これは男性も同じですね。
スーツの着こなしでも、いいな!と思った人を真似てみることから始まりますね。
女装子の皆様、「女の素敵」をめざすヒントになりましたでしょうか。


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『キス教本』~唇や舌との触れ合いに馴染みやすい部位は

2022年12月05日 | ★女装の本・雑誌
承前です。
『キス教本』は唇と唇だけがキスではないと最後のページで唇以外の責めどころも書いています。

 広い意味で捉えれば、一方が唇か舌を使ってさえいればキスと解釈することもできる。
唇や舌との触れ合いに馴染みやすい部位は、上から順に並べると、おでこ、まぶた、耳(表/穴/裏)、耳たぶ、首筋、胸元、胸、乳首、脇の下、へそ(穴/周辺)、脇腹となる。
下半身も同様に、太ももの付け根、太もも表面、ヒザ、ヒザ裏、尻、尻の割れ目、そして性器……と、ポイントは多数。

耳は表面のみならず、穴を舌先でほじくるように責めたり、耳裏に唇を遭わせたり、耳たぶをついばんでみたりと、ポイントも責め方もいろいろ。
耳責めから首筋、さらには胸元と下ろして行きながら唇や舌を這わせると自然。
途中、敏感な脇の下を責めて羞恥心を煽るのもよし。

手や足にも攻撃ボイントは多い。指先や指の股、手の甲や足の甲、さらには手のひらに足裏と、部位によって受け手側は感じ方も大きく異なる。

ボディ裏面もじっくりと責めてみたい。うなじ、背筋、腰元と敏感なポイントも多い。


おでこ、まぶた、耳(表/穴/裏)、耳たぶ、首筋、胸元、胸、乳首、脇の下、へそ(穴/周辺)、脇腹、太ももの付け根、太もも表面、ヒザ、ヒザ裏、尻、尻の割れ目、そして性器……と

B面の男性のときは、こんなところはつゆ知らずで、痛くもかゆくもない。
でも女装してランジェリー姿になると、そう、ものすごい性感帯になるのです。
ここを女装子愛好者に責めてもらうと、女の子の快感の波が襲ってくるでしょう。
逆に言うと女装子さんの責めどころはここでございますよ。


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