女装子愛好クラブ

女装小説、女装ビデオ、女装動画、女装記事などを紹介していきます。

1968年の女装美青年~寝室にはいると、「きみを、女にしたい」と言った。安雄は、胸を弾ませた。

2023年08月06日 | ★女装の本・雑誌
おはようございます。
埼玉県地方は快晴です。
そして蒸し暑い。
みなさま、お気をつけてお過ごしください。

週末、梶山季之先生の『美男奴隷』を読み返していました。
ヒロイン・千絵に女装させられる美少年・黒田英二と英国少年・ジャックについてこのブログで書いてきました。
しかし、もう一人、女装者が登場しています。
藤島安雄です。
千絵がお手伝いをしている大富豪・藤島家の3男。
36歳の若きイラストレーターで、海外放浪を終えて帰国してきました。
千絵はある思惑をもって安雄を誘惑します。
大邸宅の自室に招き入れ、唇を安雄に寄せます。
しかし......

……それは稚拙としか、言いようのない、下手な接吻だった。
 藤島安雄は、千絵の唇を吸いながら、歯をガチガチ鳴らしたりしていたのだ。
 三十六歳にもなりながら、奇々怪々な話ではあるが、実は、藤島安雄は日本の女性に触れたのは、そのときが二回目だったのだ。
 いや、女性と唇を合わせたのが、生まれて二回目だった……といったほうが正確であろう。
 藤島安雄は、どうしてか、女性を好きになれない性質の人物だったのである。
 と言うことは、つまり同性愛の傾向があったわけだ。
 彼が美大を卒業後、七年間も中南米を放浪したのは、いわゆる白人の男性に憧れたからであった。
 いや、白人男性の逞しい胸に、女装してかき抱かれたい……という願望のために、彼は日本を出たのだ。
 だれも知らない外国なら、恥も外聞もない。藤島安雄はそう思ったのである。

 はじめてハワイに行き、安ホテルに一泊したとき-彼は、ひとりの白人の青年からプロポーズされた。
 ホモの世界は、言語の不要な世界である。
 何国人であろうと、目と目が合えば、それで、〈あ、仲間だ……〉 とわかる不思議な世界であった。
 青年は安雄に近づいて、
「ぼくの家に、遊びに来ないか?」
 と言った。
 青年は、ウイリーという名前で、建築家であった。ハワイには仕事で来ているのだと言う。
 安雄は青年に従った。
 ウイリーは、かなり高級なホテルに暮らしていて、寝室にはいると、
「きみを、女にしたい」
 と言った。
 安雄は、胸を弾ませた。
 -女装。
それこそ彼の最大の願望だった。
女になり切って、男から愛撫されることが、安雄の憧れであったのである。


出所『美男奴隷』(梶山季之)




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M男ぶちさんと「風俗奇譚」

2023年08月03日 | ★女装の本・雑誌
おはようございます。
今日もいい天気ですね。
昨日は渋谷で仕事。
歩き回りましたので身体が熱い。
堪らずコンビニに飛び込んでアイスを買いました。
おっさんがコンビニ店頭でアイスをかじるという図でありました。
でもそれが許される暑さですよね。

昨夜、「風俗奇譚」で検索をかけていたら、「M男ぶちblog」がヒットしました。
最強ともいえるM男のぶちさんが、Mに目覚めた少年期から現在に至るまでを気ままに書いているブログです。
私よりやや年上と思います。
1970年代の東京でエロを探しまわっている姿は共通しているようです。

2015年10月28日 風俗奇譚(1)の書き込みです。

奇譚クラブのバックナンバーを探そうと、神田神保町のアダルト専門の古書店に行った時だった。『風俗奇譚』という名前の雑誌を見つけた。
 奇譚という名前は『奇譚クラブ』や『SM奇譚』と通じるところがある。若しかしてと思って、一冊購入してみた(この店では古本はビニールで覆われているので中を確認して買うことは出来ない。
 中身は、予想とはやや違ったものの満足できるものだった。
 1960(昭和35)年1月に創刊された風俗奇譚は、奇譚クラブと違って、SMに特化していない。ホモや女装関係も扱っていた。奇譚クラブに対し、後発であることから特徴を出そうとしたのだろうか。その分、SM関係のページは少なくなるのだが、SM内のMの比率は、奇譚クラブに比べて高いので、M男の立場からは、奇譚クラブと遜色ない。


>神田神保町のアダルト専門の古書店
すずらん通りの中山書店でしょうかねぇ

続きはこちらです→2015年10月28日 風俗奇譚(1)




***************************************************************************************************
こんな本が5月に刊行されていました。

秘匿の残酷絵巻[増補新装版]〜臼井静洋・四馬孝・観世一則 (TH ART SERIES)

風俗資料館が所蔵する作品の中でも、とりわけ貴重で特異な、3人の昭和の絵師の作品を収録。
痛ましき美学の極北!
「ここには人間が人間を責めいたぶる行為の残酷さがいっさいの美化もされず、剥き出しで描かれている。」
――室井亜砂二
《絵物語2編収録》
臼井静洋「ギブス娘製造医院」
四馬孝「包帯夫人」
★臼井静洋……昭和20〜30年代に活動していたと思われる謎の絵師。
★四馬孝……昭和30〜40年代ごろ「奇譚クラブ」などで活躍。
★観世一則……昭和50年代を中心にSM雑誌などで活躍。

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論文 「唄子」を探して ―—大阪における「女装バー」の成立と展開

2023年07月17日 | ★女装の本・雑誌
「唄子」
このブログのご愛読者はご承知のことと思いますが、
大阪にあった女装バーです。
私は風俗奇譚やSM奇譚の巻末広告ページでお店のお名前を拝見していましたが、一度もお伺いすることはありませんでした。
この「唄子」について、三橋順子さんが実証論文を書かれています。
読み応えのある論文ですので、連休最終日の今日、ぜひお読みになってください。


論文 「唄子」を探して ―—大阪における「女装バー」の成立と展開

三橋順子さんの著作





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ぼく、先生のおっしゃることなら、なんだってやります。 by小林少年

2023年05月27日 | ★女装の本・雑誌
承前です。
2021年12月6日のブログに、小林少年の初女装のシーンを書いていました。
再録しますね。

********************************************************************
子どもの頃、夢中になって読んだ少年探偵団シリーズ。
このなかには小林少年が女装して二十面相と対峙する場面が多々あります。
そして小林少年を可愛い少女に変身させたのは、師匠である明智小五郎氏です。
さらに明智氏に「女装させろや....」と囁いているのは、作者の江戸川乱歩なのです。

「少年探偵団」(江戸川乱歩)

 ああ、なんだか心配ではありませんか。怪盗二十面相は、どんな魔術によって、黄金塔をぬすみたそうというのでしょう。
 名探偵は、はたしてそれをふせぐことができるでしょうか。探偵と怪人の一騎うちの知恵くらべです。悪人は悪人の名まえにかけて、名探偵は名探偵の名まえにかけて、おたがいに、こんどこそ負けてはならぬ真剣勝負です。

 それと知った助手の小林少年は、気が気ではありません。どうかこんどこそ、先生の手で二十面相がとらえられますようにと、神さまに祈らんばかりです。
 「先生、何かぼくにできることがありましたら、やらせてください。ぼく、こんどこそ、命がけでやります」
 大鳥氏がたずねてきた翌日、小林君は明智探偵の書斎へはいっていってお願いしました。
 「ありがとう。ぼくは、きみのような助手を持ってしあわせだよ」

 明智はイスから立ちあがって、さも感謝にたえぬもののように、小林君の肩に手をあてました。
 「じつは、きみにひとつたのみたいことがあるんたよ。なかなか大役だ。きみでなければできない仕事なんだ」
 「ええ、やらせてください。ぼく、先生のおっしゃることなら、なんだってやります。いったい、それはどんな仕事なんです」
 小林君はうれしさに、かわいいほおを赤らめて答えました。
 「それはね」
 明智探偵は、小林君の耳のそばへ口を持っていって、なにごとかささやきました。
 
 「え? ぼくがですか。そんなことできるでしょうか」
 「できるよ。きみならば大じょうぶできるよ。ばんじ、用意はおばさんがしてくれるはずだからね。ひとつうまくやってくれたまえ」
 おばさんというのは、明智探偵の若い奥さん文代さんのことです。
 「ええ、ぼく、やってみます。きっと先生にほめられるように、やってみます」
 小林君は、決心の色をうかべて、キッパリと答えましたl
 名探偵は何を命じたのでしょう。小林君が「ぼくにできるでしっかりと、たずねかえしたほどですから、よほどむずかしい仕事にちがいありません。いったい、それはどんな仕事なのでしょうか。読者諸君、ひとつ想像してごらんなさい。


>読者諸君、ひとつ想像してごらんなさい。
といわれてもねえ、純真な昭和の時代の小学生は小林少年が女装するなんて考えやしませんぜ。
***********************************************************************************************
明智先生のため、怪人20面相を捕まえるため、という大義名分の下、こうして紅顔の美少年・小林少年は女装の魅力を知りました。
そして、20面相との対決が続くうち、小林少年は女装の虜になったのです。
嗚呼、明智先生のなんと罪深いことか。
できることなら、明智探偵になって女装した小林少年とレトロな昭和の街を歩いてみたい........。
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ぼくのからだにあう女の子の洋服も和服も、いつでもつかえるように、事務所にちゃんと用意してありますby小林少年

2023年05月24日 | ★女装の本・雑誌
おはようございます。
1週間ぶりでございます。
なんか公私ともにバタバタしており、余裕がございませんでした。
昨日今日と久しぶりにやや落ち着きを取り戻しております。

さて、首題ですが、『魔法人形』(江戸川乱歩著・ポプラ社)からです。
優秀なる小林少年は女装してなんども20面相と何度も渡りあいました。
最初の頃は、明智探偵に「女装してくれないか」と問われて頬をポッと赤らめていました。
そんな彼を奥様が綺麗に少女に変身させてくれたのです。
これがシリーズ№3『少年探偵団』の頃でしたでしょうか。

その後、女装した小林少年は幾たびも修羅場をくぐってきました。
そして、探偵活動のためには女装するも厭わない優秀な?少年探偵になっていたのです。
少年探偵シリーズ№17『魔法人形』ではついに女装道具も完備していることを依頼主に誇らしげに語るようになっていったのです。
下着ももちろん、パンティとブラジャーとスリップをつけるんだよね。
小林君。


 「めずらしい名前ですから、同じ店がたくさんあるはずはありません。電話帳を見ればわかるでしょう。ぼくは、ともかくその運送屋をさぐってみます。それから、明智先生に電話で相談したうえで、きょうのうちに、人形じいさんの家へしのびこんでみます。いまはまだ二時ですから、しゅうぶん時間があります。それには、このままの姿ではだめです。ぼく、女の子に変装します。そして、人形じいさんと知恵くらべをやるのです。」
 てきぱきと、こともなげにいう小林君の顔を、甲野さんは感心して見つめていましたが、 「あんたが女の子にばけるんだって? 相手に気づかれないように、そんな変装ができるかしら。」
と、心配らしくたずねました。
 「だいじょうぶです。ぼく、なんどもやったことがあるんです。いつも、ばれたことはありません。ぼくのからだにあう女の子の洋服も和服も、いつでもつかえるように、事務所にちゃんと用意してあります。」
                 出所 『魔法人形』江戸川乱歩著 見出し画像も 



小学校の図書室には少年探偵団シリーズはたぶん常備だったでしょう。
上記の引用部分を読んで子供の頃、昂奮した子はいま女装子さんか女装男子愛好者になっていると思います。たぶん....。









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女装はバランスをとるためのひとつのはけ口~安井かずみ著『愛、体験してますか?』から

2023年03月07日 | ★女装の本・雑誌
安井かずみさんは昭和を代表する作詞家でした。
私の好きな曲も数々作曲しています。
その安井さんが著書のなかで、ある男性の女装行動について書いています。


日本は狭いせいもあって、他人の恋愛、結婚、生き方に口を出したり、批評したりする人間が必ず周囲に何人かいるものです。好意的に見てくれる場合はともかく、無責任なひやかしや悪口や陰口の類もよくあります。
けれども、しょせんはひととの関わりあいなしには生きられないのですから、気をつかう時と、つかわない時とつかい分けます。
私はだから、チャンネルを切り換えるとよくいうのですけれども、このへんは神経質にやろう、このへんは楽天的にやろうという切り換えをつけています。
つまり、自分にどうにかできることには細心の気を配るが、自分にはどうにもならないことには、のほほんとしているのが、楽天的処世術なわけで、その区分けをどうつけられるかということも、そのひとのセンスの問題になってくるのではないでしょうか。

あるひとは、チャンネルの切り換えをこんなふうにやっていました。ちょっとゆきすぎた例かもしれませんけれど。               
ある役所の課長で、妻子もある四十歳くらいの男性なのですが、深夜になると「ちょっと散歩に行ってくる」といっては家を出て、納戸のような所にはいり、やおら化粧をして隠しておいた派手な女物のドレスに着替えるのです。女装し終えると表にとび出し、自分の家の周囲をひとまわりして、ふたたび納戸で元の格好にもどると、そ知らぬ顔で家に帰ってくるという習慣をもっているひとがいました。

なんとも奇妙キテレツな習慣ですが、なぜ彼がこんな行動をとらなければならなかったかに問題があるわけです。
彼は非常に勤勉で、無遅刻、無欠勤。ずばぬけた才智もないけど、与えられた仕事をピシッとやることと、誠実な人間であることでは、絶対の信用と信頼をおかれていました。そんなオーソドックスで、危険思想もなく、謹厳実直を絵に描いたようなひとをして、あんな奇妙な行動に走らせたのは、実はこの全面的な信用だったわけです。

つまり「このひとなら安心、このひとなら決してバカなことをしない」という会社や同僚、奥さんの信用を全部しょいこんで、他人の思いこみどおりに生きてきた彼のなかには、責任過多の重さが鬱積。ついには、その自分自身がたまらなくいやになったのです。女装はバランスをとるためのひとつのはけ口、それがなかったら彼は、発狂してしまっていたのかもしれません。

 私は、それほどの奇想天外のチャンネルはもっていないけれど、やはり机に向かいっぱなしの書きものの日々が続けば、おしゃれして友だちとテキーラなど汲みかわし、街のディスコティックなどに出かけたりもしました。また、シンガポールに飛んでみたり、パリで画廊めぐりをしたりするのも、私のチャンネルだと思います。 
出所 『愛、経験してますか?』 安井かずみ著


>会社や同僚、奥さんの信用を全部しょいこんで、他人の思いこみどおりに生きてきた彼のなかには、責任過多の重さが鬱積。
わかります、うんわかります。
どこかではけ口というか、全く違った自分になることが必要なんですよね。







TBSラジオ・日曜サンデー 「安井かずみ・27人の証言」→★

見出し画像の出所はamazon
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『卍と百』~江戸時代のボーイズラブ

2023年03月02日 | ★女装の本・雑誌
『男娼と男色の歴史』をご紹介しました。
この本のカバーデザインは紗久楽さわ 先生です。
紗久楽先生は江戸時代を舞台に多くの漫画を描かれています。

その中でも陰間が主人公のひとりになるのが『卍と百』




時は江戸時代・後期。真夏の蒸し暑くせまい長屋で、熱い吐息交じりにまぐわう男がふたり―。 
客に男色を売った男娼の総称=陰間(かげま)。 
元・陰間の百樹(ももき)は、ある雨の日に卍(まんじ)に出逢い拾われた。
陰間の仕事としてではなく、やさしく愛おしく、恋人として抱かれる瞬間はまるで夢のようで、そんな日々に百樹は幸せでいっぱいなのだった。
たとえ過去に、どんなことがあったとしても。 
伊達男×陰間あがり。
溺れるほど愛おしい江戸男子の艶ごと極上エロス。
江戸漫画の革命児、紗久楽さわが描く、初のBL作品!
出所:amzon(見出し画像もです)


3巻まで読みました。
ボーイズラブ物ですが、そんなことは関係なく、この漫画に惹かれました。
百樹のいじらしさ、鯔背な火消しだった卍のミステリアスな過去。
そして、江戸時代へ戻ったかのような不思議な感覚。
これは面白いですよ。














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私はこれから市立図書館に本を返しにまいります。 書名は『男娼と男色の歴史』でございます。

2023年02月26日 | ★女装の本・雑誌
おはようございます。

こちら、埼玉県地方は晴天です。
きれいな青空です。

私はこれから市立図書館に本を返しにまいります。
書名は『男娼と男色の歴史』でございます。



NHKのドラマ『大奥』や昨年末放送された『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』の影響から、陰間や色子に関心が高まったからでございます。

江戸時代、男性は大人になったしるしと元服して、前髪を剃った。元服前の前髪つきの少年は「若衆」と呼ばれ、なかでも歌舞伎役者として舞台に立った若衆は、男性でも女性でもない存在として性の対象となった。そして、観客は役者若衆に熱狂し、あらんかぎりの声援を浴びせた。
 やがて、役者若衆だけでなく美しい町若衆ももてはやされるようにになり、彼らを男娼として抱える「陰間茶屋」が誕生した。男色を許容する江戸時代の風潮もあり、武士から庶民に至るまで、老若男女を問わす陰間茶屋で遊ぶようになった。

同書から引用

この本には江戸時代の女装した陰間の浮世絵が数多く掲載されております。
浮世絵ですから、芸術てきなものから煽情的なものまでさまざまです。
美貌の陰間が抱かれている浮世絵なんてあなた、このブログには絶対載せられませんぜ。




(少しトリミングしました)

この本を読んでおりますと、湯島天神脇ほか江戸の各所にあったという陰間茶屋で遊んでみたくなります。
女装子愛好者の血でございますね。

この本、図書館の本棚に堂々とあります。
分類は『384.7 性風俗:接吻,交接,妾,恋愛,同性愛』です。
江戸時代の潤滑ゼリーの作り方も載っておりますよ。


では、みなさん良い日曜日をお過ごしください。

見出し画像はamazonから引用です。
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ペリリュー~戦場のゲルニカ~、激戦のなか口紅をつけたかった若き兵隊さんがいた

2023年02月24日 | ★女装の本・雑誌
『ペリリュー~戦場のゲルニカ~』は昨年から読み込んでいる本です。
大人買いをするタイミングを失しましたので、ブックオフに行ったときに本棚にあるものをコツコツと入手しています。
昨日読んだのは第6巻。

22歳で漫画家志望の田丸一等兵が主人公。米軍に制圧されたペリリュー島で田丸他の日本兵は隠れながらも、米軍物資を調達しながらも米兵と戦います。
その田丸たちと共に戦う中に泉一等兵がいます。
ある日、田丸たちは米軍物資を盗み出しました。
そのなかには食料や下着があり、そしてどういうわけか口紅もはいっていたのです。
「いらん」と言って捨てられた口紅。
泉はそれを拾います。
そして、仲間たちから離れたところに行き、口紅をつけるたのです。
鏡はありません。
鏡とするのは鉄兜のたまった水で、そこに映る自分の姿...。
狂ったように激戦が繰り返される1945年3月のペリリュー島。
性的違和感を持つ泉にとって口紅をつけられたことは、束の間の、本当に束の間の安らぎだったのです。
しかし泉は故郷の地を踏むことはできませんでした。

昨日は天皇誕生日。
天皇陛下の父親、上皇陛下は上皇后陛下とともにパラオに行き、激戦のペリリュー島へ弔意を捧げました。

ペリリューの土となった泉一等兵。
帰ってきたかったよね。
お化粧もしたかったよね。
女性の服も来たかったよね。
戦後の日本で自由に生きたかったよね。







出所『ペリリュー~楽園のゲルニカ~⑥』 見出し画像もです


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「消えた性の違和感」~2001年に朝日新聞に掲載された記事が出てきました

2023年02月19日 | ★女装の本・雑誌
おはようございます。
いつもより暖かい日曜日の朝ですね。
昨日はお鍋でしたが、少し焼酎を飲みすぎました。
(浦和が負けたからヤケ酒でしたが...)

さて、ハードディスクを整理していたら、2001年の朝日新聞埼玉版の記事がでてきました・
このケイさん、『くぃーん』や『インナーTV』にも登場していました。
そのケイさんが新聞に取り上げられるんだと思い、切り抜いておいて、OCRしたものです。

「消えた性の違和感」  (2001.1.9 朝日)
 一九九三年一月。所沢市の一級建築士ケイ(三六)は東京都内の病院を訪ねた。女性ホルモンが注射針を通して腕から体内に入ってくるのがわかった。これで何かか変わる。そんな期待と安とで胸がいっぱいだった。
食べ物や色の好みがだんだん変わった。濃い味から薄味、見た目の鮮やかな食べ物にひかれるようになった。体臭も男臭くない。注射が効く体質と言われた。副作用の体の火照りや吐き気に悩まされた。途中でやめると効果がない。十日にー回の注射を三年間続けた。

 性同一性障害。生まれながらの性に違和感を待ち、別の性になることを望む症状だ。同性愛や服装倒錯症とは区別される。性に違和感を持つ人は五万人に一人といわれる。毛呂山町の埼玉医大はー九九八年十月、学内の手続きを踏んだ上で国内初の性転換手術を実施し、昨年までに八回の手術例がある。

 ケイは小学校高学年のころ、スカートに興味を持った。手芸も好きだった。男らしくしろ。外で元気よく遊べ。責任感をより強く持て。先生や両親は口癖のように言う。周りから与えられる男らしさのイメージに違和感
を感じるようになった。いたずらすると男の先生に殴られた。この先生は女子児童には手を出さない。男だからか。外見も女になれば、男のように暴力を受けず、自分が暴力を振るうこともない。女になりたいと願う自分。「変態か、オカマか」と悩みながら、変身願望は持ち続けた。

 「秋の穏やかな日差しを浴びながら、のんびりと広くて青い海を眺めていたいな、なんて思ってます」
 アマチュア女装交際誌「QUEEN」の文通コーナー。九二年、ケイは仲間を求めて紹介文を掲載した。きれいに女装した写真が効果的だったのか、手紙が数通きた。 その中に川崎市の会社員(三八)の手紙があった。手紙はニ週間にー回ほどの割合でまめに送られてくる。ケイはそれに押し切られて会うことにした。

 ケイがコウを恋人と意識し始めたのは出会ってからニ年後。千葉のペンションに初めてニ人で泊まったときた。一緒だと互いに安心できることがわかってきた。ケイとコウは95年6月、結婚を誓う。もちろん、法律上は結婚できないし、子供も産めない。結婚式はテレビ番組の企画のーつとして挙げ、タレントたちが見守った。東京・市谷の結婚式場でタキシードとウエディングドレス姿の写真を撮った。

「男のくせに。恥すかしいったらありやしない」
 母(70)は女になったケイに厳しい。テレビ出演がきっかけで大けんかした。ケイは一人っ子で孫の顔を見るのを楽しみにしていた母は裏切られた思いだった。せめて名前や性は変えないでほしいと母は訴えた。それがケイに性転換手術を思いとどまらせている。同じように反対した父は三年前に七十一歳で病死した。高校の美術講師。株や競馬にはまり、それがもとでケイとつかみ合いのけんかをしたこともある。ケイは自分の中にある凶暴さに驚き、「キレる」子供たちの気持ちがわかった。男のままでいるのがさらに怖くなった。

 ケイは八七年に東京の美大を卒業後、住宅販売会社、設計事務所、専門学校講師、建築確認申請書の代行手続き業、ガーデニング会社のアルバイトと職を転々とする。九七年末にはガーデニング会社のイベント案内係に、初めて女性アルバイトとして採用された。定職はいまもない。

 先月十五日、川崎市に鉄骨造三階建ての新築住宅が完成した。ケイが設計したコウの家で、将来はここで住みたい。でも、ケイは年老いて病気がちの母を放ってはおけない。就職活動のかたわら、母の食事を毎日作る。

 コウは女装趣味があるだけで、ホルモン注射や性転換手術までは望んでいない。女装趣味は家族にも知られてはいないし、ケイとの関係も隠している。何も知らずに女性との結婚を迫る親に、いつかは事情を打ち明ける時がくると感じている。ケイはその言葉を信じて、コウの家族に紹介される日を心待ちにしている。
=文中仮名、敬称略


この記事から22年経ちました。
ケイさん、いまはどうされているのでしょうか。
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