本棚を整理していましたら、林望さんの『私は女になりたい』が出て来ました。
エッセイストそして大学教授の林先生、けっこう女のセクシャリティにあこがれています。
その気持ちはわかりますねぇ。
本当の本当をいうと、私は女のセクシュアリティというものが羨ましくて仕方がないのである。一度でいいから女の体になってセックスをしてみたい、正直言えばそういうことである。
これも女の方々は想像すらつかないだろうけれど、男のセックスてものは、
つまらないものです。
よろしいですか。男はね、性感の極まったところ、つまり射精という不随意的
にして呆気ない終焉を迎える。これがどうにも「矛盾」です。気持ちが良くなる
とすぐ終わってしまうわけだから、男は結局、気持ち良くなってはいけないわけ
である。
だから、女がひたすらなる快楽に身を任せ、大声でヨがったり、潮を吹いたり、アクメに達して頭が真っ白になったりしている間、男どもは、いかにして相手だけを気持ち良くさせて自分は気持ち良くならないように己の気分を白けさせるかということに腐心しなくてはならない。
こんなばかげた矛盾に満ちた行為ってものかおるだろうか。しかし、それが男
の性なのだ。
ところが、嗚呼、天よ、あまりに気分を外らして没頭しないように努力しすぎ
ると、今度はせっかく昂揚した欲情までが低下してしまい、つまりは、ポテンツ
が下がってしまうという悲劇を迎える。
女たちは、そういう男たちの絶望的矛盾的必死の努力に一顧だに与えることな
く、ただ自分だけの性感極楽のなかに茫然自失していればいいわけだから、どう
考えても、こと性行為に関しては、女の方が豊かで分か良く、大きにめくるめく
ものがあるに違いない。
だから、私も、もし生まれ変わるなら、是非とも「美しい女」に生まれて、男
だちと散々なる交じらいをして、無限の快楽に身も世もあらぬ狂態を演じてみた
い。
頭のなかに、常に「えーと次の締め切りは……」なんて殺風景なことを思い
浮かべずして、脳細胞がバチバチとショートするような快美を味わってみたい。
エッセイストそして大学教授の林先生、けっこう女のセクシャリティにあこがれています。
その気持ちはわかりますねぇ。
本当の本当をいうと、私は女のセクシュアリティというものが羨ましくて仕方がないのである。一度でいいから女の体になってセックスをしてみたい、正直言えばそういうことである。
これも女の方々は想像すらつかないだろうけれど、男のセックスてものは、
つまらないものです。
よろしいですか。男はね、性感の極まったところ、つまり射精という不随意的
にして呆気ない終焉を迎える。これがどうにも「矛盾」です。気持ちが良くなる
とすぐ終わってしまうわけだから、男は結局、気持ち良くなってはいけないわけ
である。
だから、女がひたすらなる快楽に身を任せ、大声でヨがったり、潮を吹いたり、アクメに達して頭が真っ白になったりしている間、男どもは、いかにして相手だけを気持ち良くさせて自分は気持ち良くならないように己の気分を白けさせるかということに腐心しなくてはならない。
こんなばかげた矛盾に満ちた行為ってものかおるだろうか。しかし、それが男
の性なのだ。
ところが、嗚呼、天よ、あまりに気分を外らして没頭しないように努力しすぎ
ると、今度はせっかく昂揚した欲情までが低下してしまい、つまりは、ポテンツ
が下がってしまうという悲劇を迎える。
女たちは、そういう男たちの絶望的矛盾的必死の努力に一顧だに与えることな
く、ただ自分だけの性感極楽のなかに茫然自失していればいいわけだから、どう
考えても、こと性行為に関しては、女の方が豊かで分か良く、大きにめくるめく
ものがあるに違いない。
だから、私も、もし生まれ変わるなら、是非とも「美しい女」に生まれて、男
だちと散々なる交じらいをして、無限の快楽に身も世もあらぬ狂態を演じてみた
い。
頭のなかに、常に「えーと次の締め切りは……」なんて殺風景なことを思い
浮かべずして、脳細胞がバチバチとショートするような快美を味わってみたい。
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