本棚の奥から古い本が出てきました。
梅村浩一氏の『「クビ!」論』 (朝日文庫) です。
梅村氏外資系企業の人事部長としてあまたの修羅場を体験してきました。
この本はその総決算のようなもの。
しかし、女装子愛好者としてはこんな記述に「おおっっと」と思いました。
それでは、上司の側の心理とは、どのようなものでしょうか。
よくチョンマゲ映画が好きだったり、尺八にハマってしまったりする「ヘンな外国人」がいます。ケミカル銀行の在日総支配人で、合併後の新チェース・マンハッタン銀行の在日総支配人も務めたジョン・ファロン氏も、ヘンな外国人のー人でした。
仕事に関しては、ファロン氏は「切れ者」で通っていました。新チェース・マンハッタン銀行が再出発早々から業績を順調に伸ばしたのも、このファロン氏がいたからです。
私を含め、多くの社員が彼を尊敬していました。しかし困ったことに、この実力派ボスは大の「慰安旅行好き」だったのです。
いま、不景気の影響や若い社員の反発もあって、日本の会社でも慰安旅行を実施しているところはそんなに多くないと思います。ところが、当時ファロン氏はどこから聞きつけたのか、日本の慰安旅行に関心を抱き、自分でも導入したのです。
私たちは毎年、箱根や伊豆といった温泉地にー泊で出かけました。でも正直なところ、日本人社員の多くは閉口していました。なぜなら、私も含めて外資系企業の日本人社員たちは、日本的なウエットでべタな付き合いが苦手だからこそ外資系企業で働いているという面があったからです。
けれども、ファロン氏はー人の脱落も許しません。「旅行に参加しない者は、ボーナスを減らす!」とまで言明してしまう始末です。
繰り返しますが、外資系企業では上司の命令は絶対です。拒む勇気のある社員などいません。全員が参加しました。
まったく、絵に描いたような慰安旅行でした。上司も部下もー緒に露天風呂に入って「裸の付き合い」を楽しみます。
夕食は宴会です。男性社員たちは浴衣の胸をはだけて、赤ら顔で杯を酌み交わします。宴会と来れば余興が付き物です、ファロン氏お気に入りの余興は「女装大会」でした。嫌がる外国人社員たちをつかまえては、女装を命じるのです。
明るく元気で通っている米国人社員が、涙を浮かべながら「イエス」と言って化粧を始めたかと思えば、喜々として「業務命令」も出ていないうちからスカートを履き出す…。そんな光景が繰り広げられるのです。
「クビ!」論。(梅森浩一著)朝日新聞社刊
これは2004年の本ですから、ファロン氏の振る舞いは1990年代のものであったでしょう。
でもですねえ、2022年のいまファロン氏が部下に女装を命じたら、こりゃあ完璧にパワーハラスメントです。
そしてファロン氏は自分が梅森氏から馘首されることになるでしょう。
それにしても嬉々としてスカートを履きだす米国人社員さん、いいですねえ。
一度お会いしてみたかったです。
梅村浩一氏の『「クビ!」論』 (朝日文庫) です。
梅村氏外資系企業の人事部長としてあまたの修羅場を体験してきました。
この本はその総決算のようなもの。
しかし、女装子愛好者としてはこんな記述に「おおっっと」と思いました。
それでは、上司の側の心理とは、どのようなものでしょうか。
よくチョンマゲ映画が好きだったり、尺八にハマってしまったりする「ヘンな外国人」がいます。ケミカル銀行の在日総支配人で、合併後の新チェース・マンハッタン銀行の在日総支配人も務めたジョン・ファロン氏も、ヘンな外国人のー人でした。
仕事に関しては、ファロン氏は「切れ者」で通っていました。新チェース・マンハッタン銀行が再出発早々から業績を順調に伸ばしたのも、このファロン氏がいたからです。
私を含め、多くの社員が彼を尊敬していました。しかし困ったことに、この実力派ボスは大の「慰安旅行好き」だったのです。
いま、不景気の影響や若い社員の反発もあって、日本の会社でも慰安旅行を実施しているところはそんなに多くないと思います。ところが、当時ファロン氏はどこから聞きつけたのか、日本の慰安旅行に関心を抱き、自分でも導入したのです。
私たちは毎年、箱根や伊豆といった温泉地にー泊で出かけました。でも正直なところ、日本人社員の多くは閉口していました。なぜなら、私も含めて外資系企業の日本人社員たちは、日本的なウエットでべタな付き合いが苦手だからこそ外資系企業で働いているという面があったからです。
けれども、ファロン氏はー人の脱落も許しません。「旅行に参加しない者は、ボーナスを減らす!」とまで言明してしまう始末です。
繰り返しますが、外資系企業では上司の命令は絶対です。拒む勇気のある社員などいません。全員が参加しました。
まったく、絵に描いたような慰安旅行でした。上司も部下もー緒に露天風呂に入って「裸の付き合い」を楽しみます。
夕食は宴会です。男性社員たちは浴衣の胸をはだけて、赤ら顔で杯を酌み交わします。宴会と来れば余興が付き物です、ファロン氏お気に入りの余興は「女装大会」でした。嫌がる外国人社員たちをつかまえては、女装を命じるのです。
明るく元気で通っている米国人社員が、涙を浮かべながら「イエス」と言って化粧を始めたかと思えば、喜々として「業務命令」も出ていないうちからスカートを履き出す…。そんな光景が繰り広げられるのです。
「クビ!」論。(梅森浩一著)朝日新聞社刊
これは2004年の本ですから、ファロン氏の振る舞いは1990年代のものであったでしょう。
でもですねえ、2022年のいまファロン氏が部下に女装を命じたら、こりゃあ完璧にパワーハラスメントです。
そしてファロン氏は自分が梅森氏から馘首されることになるでしょう。
それにしても嬉々としてスカートを履きだす米国人社員さん、いいですねえ。
一度お会いしてみたかったです。
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