わが町異聞

昔々近所の家で大変なことが起きました。
働き者の小父さんのお妾さんが赤ちゃんを産むので
小父さんの家にお腹が大きい女の人が来てしまいました。
近所は大騒ぎです。でも三人も子供がいる小母さんは、
黙黙として女の人の世話をしていました。
こんな綺麗な人が、この小父さんの
お妾さん？不思議でした。
あれこれ言う母や親しい小母さんたちは、何にも言わず
三人の子供たちの世話をしてあげていました。
間もなく赤ちゃんが生まれました。私たち子供たちは
赤ちゃんを見に行きました。
綺麗なベビー服に包まれた可愛い赤ちゃんでした。
少ししてから、赤ちゃんとそのお母さんは何処かへ
行ってしまいました。その後小父さんも、小母さんも
三人の子供たちも普通に暮らしていました。
誰も何にも言わないことに不思議でしたが。
私たち子供はいつも新しい遊びに夢中で、忘れてしまいました。
あるとき幼馴染が、あの事を、思い出して、
あれは小父さんの妾じゃなくて、社長か何かの妾
じゃないか・・・　うんそれで納得がいったねっ。
と大昔を思いだし大笑い　　
のんびりした優しい町でした。