続強子の部屋

思いつくまま、気の向くまま、書いています。

わが町異聞 Ⅱ

2017-11-08 15:59:28 | なんだか変
近頃高齢者がだまされて、大切なお金を
失ってしまう事件が起こっています。いやお金だけでなく命までも。
怖いです。
また昔々のお話です。母が親しくしていた小母さんは近所では
みんな知っているお金持ちです。少し気難しい人でしたが、
母とは気が合っていました。顔は鬼瓦のようがっしりした体格、
ちょっと怖い人でした。母はあの人は、紡績工場で働いて、
同じ職場の男の人と結婚したそうだと言っていました。
同じ仕事をしても不良品を出す人はそれだけ給金が減り、
器用な人はたくさん稼げると言っていました。身体の弱い人も
苦労したそうです。小母さんは女工さん目当ての商人が来ても
贅沢せず、お金を貯めて職場の人と結婚して、コツコツ働いて
お金ができると、土地を買ったそうです。
何を隠そう我が家の地主さんも小母さん夫婦でした。
いつも母と銭湯は一緒に行っていました。
あるときとても男前のおじさんが銭湯から出てきた母と
小母さんに声をかけてきて、お蕎麦でも・・と
どうも誘いたいのは小母さんらしかったので、母は遠慮
して帰って来たそうです。
母の言葉では役者のようないい男だったそうです。
それから銭湯の帰りには必ず男前のおじさんが迎えに来て
何処かへ行ったそうです。 
鬼瓦のような小母さんがにこにこしていたそうです。
母も小母さんも70半ばでした。

小母さんがなくなった後、男の人が二人で来て、お宅の
お母さんのお世話をした者の親戚です。とても悲しくて
ここには来られないので代わりに来ました。と言って
お金を要求したそうです。怖くなった息子さん夫婦は
お金を渡したそうです。
その頃母に聞いて、へ~あのおばさんが。と笑っていた
私たちですが、今考えると怖い話でした。