なぜだろう(3)

2017-10-29 09:40:09 | 童話
「今度は外のお花でやってみようよ。」
「そうだね、公園へ行ってみようよ。」
「そうしよう。」
「公園のお花さん、お話しできますか?」
「ああ、できるよ。ここで君達が来るのを待っていたよ。」
「公園のお花もお話しができるんだ。」
「ねえお花さん、大人はなぜ君達とお話しができないの?」
「大人の人も子供の頃は、僕達お花とお話しができたんだけれど、大きくなったからお話しができなくなったんだよ。」
「ふぅ~ん、そうなんだ。だけれど、大人の人はそれを知らないの?」
「みんな大きくなると忘れるんだよ。」
「そうなのか。」

「僕達も大きくなったら忘れるのかなぁ。」
「そうだよ、忘れるよ。」
「いやだけれど仕方ないのかな。」
「じゃ、今の内にみんなでいっぱいお話しをしようよ。」
「そうだね。だからいっぱいお話しをしようね。」

「おはよう。学校へいってくるよ。あれっ、玄関の花がしゃべらないや。僕はもう大きくなったのかな。友達の所のお花も、昨日お話しをしなかったと言っていたね。」
「やぁ、おはよう。君んちのお花はお話しをしなくなったの?」
「なぁ~に、お花がお話しをするハズがないじゃないか。」
「えっ、昨日までお花との話しをしていたじゃないか。」
「僕は知らないよ。」

「僕も明日になると、お花とのお話しを忘れてしまうのかなぁ。」
そして次の日、僕もお花とのお話しを忘れてしまった。
だけれど、僕の妹はお花とお話しをしていると言っている。

             おしまい