おしゃべり畑(2)

2020-03-04 06:43:16 | 童話
秋のすがすがしい日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『今年もおいしい柿の実がたくさん実ったから、たくさん食べていいよ。』
『栗もたくさん実ったから、栗ご飯にするとおいしいよ。』
すると、畑の近くの家の中から『そうね、では今晩は栗ご飯にするわね。そして、デザートは柿にしようかしら。』と声が聞こえてきました。
秋はたくさんの実が実るんだね。

冬の寒い日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『今朝はすごく寒いね、霜柱が立っているよ。ブルブル、ブルブル。早く太陽が昇らないかなぁ。』
すると、畑の近くの家の中から『もう少しでお日様が出て、暖かくなるから我慢していてね。』と声が聞こえてきました。
太陽が昇ると温かくなるんだよね。

春の少し暖かくなって来た日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『温かくなってきたね。』
『そうだね、お花も少しずつ咲き始めたね。』
『もう少したつと、きれいなお花でいっぱいになるね。そうするとチョウチョがたくさん飛ぶようなって、この畑がにぎやかになるね。』
『そうだね。みんなの心がウキウキしてくるね。』
『お~い、チョウチョさん、みんなとお話しをしようよ。』
『だめだよ、今はお花の蜜をもらうのに忙しいからね。たくさんの蜜をもらったら、またこの畑に戻って来るから、その時にいっぱいお話しをしようね。』
春は畑も気持ちいいし、忙しいんだね。お話しもいっぱいだね。