20センチの巨人(3)

2022-02-15 10:40:18 | 童話
そして、次の日
『おはようございます。』
『ああ、おはよう。』
僕はまた絵本の中の巨人とお話しをしました。
『巨人さん、僕はね、四月から小学校へ行くんだよ。』
『ランドセルと黄色いぼうしはもう買ってもらったの?』
『うん、おじいちゃんとおばあちゃんが買ってくれたよ。』
『見せてほしいなあ。』
『うん、いいよ。だけれど返してね。』
『ああ、いいよ。』
僕はランドセルに黄色いぼうしのヒモを結んで、いつものように絵本の上にポンと置きました。
するとランドセルと黄色いぼうしは、本の中の巨人と同じくらいの大きさになりました。

『ステキなランドセルだね。黄色いぼうしもカワイイね。』
『うん、良いでしょ。』
『ランドセルを背負って、黄色いぼうしをかぶってもいいかい?』
『うん、一度だけならいいよ。』
『ありがとう、やってみるね。』
『できた?』
『ああ、できたよ。』
『巨人さんもランドセルと黄色いぼうしが良く似合うよ。』