僕は自転車(9)

2014-05-26 21:04:32 | 童話
ある日、僕は他の家に貰われて行くことになった。

小さな子供が居る家で、その子供が自転車の練習をしたいというのだ。

僕は昔を思い出した。

転びながら練習をしたよね。

僕は今度の小さな子供も上手く乗れるようにしてあげようと思った。

僕は自転車(8)

2014-05-25 12:31:41 | 童話
少し経って、僕の仲間ができた。

男の子が大人になって、自分のお金でカッコいいマウンテンバイクを買ったのだ。

そして、今迄乗っていた大きな自転車もきれいにして、僕の隣りに置いてある。

3台の自動車で時々お話しをするので僕は寂しくない。

僕は自転車(7)

2014-05-24 14:03:46 | 童話
お父さんが『それでは、新しい自転車を買ってやるが、この自転車も家に置いておくから、時々この自転車にも乗ってやればいい。』
と言ったので、

男の子は
『うん、そうする。』と応えた。

僕は嬉しくなり、
『ありがとう、ありがとう。』
と何度も言った。

そして僕は、綺麗に磨かれて、油もさしてもらって元気にしている。

新しい自転車で帰って来た男の子は必ず僕の所に来て、サドルをボンポンとたたいてくれる。
何も言わないが僕は嬉しい。

僕は自転車(6)

2014-05-23 21:07:54 | 童話
男の子は、夕飯の時にお母さんに
『あのね、僕、自転車に乗れるようになったよ。』と言うと、
『あらそう、頑張ったのね。良かったわね。』と喜んでくれた。

それからしばらく、お父さんや友達と一緒に、自転車の僕に乗って楽しんだ。

ある日、お父さんが男の子に
『大きくなったので新しい自転車を買ってやろうか?』と言った。

男の子は嬉しそうに『うん。』と言った。
だけれど、男の子はすぐに『要らない。』と言った。

『僕が自転車に乗れるようになったのは、この自転車だったからなんだ。
だから、僕はこの自転車が大好きなんだ。
それと、僕がこの自転車を乗らなくなると自転車がかわいそうだから。』

と男の子が言ったので、自転車の僕は
『ありがとう、だけど僕は違う子供に乗ってもらうから大丈夫だよ。』
と涙を抑えて言った。

僕は自転車(5)

2014-05-22 21:06:06 | 童話
僕は男の子に
『一緒に頑張ろうよ、僕も倒れないようにするから。』
と言って励ました。

『うん、頑張る。』
と言って、友達の前で僕を漕ぎ始めた。
僕はグラグラしながらも倒れないように男の子を支えた。

友達は『なんだ、乗れるじゃないか。』
男の子は嬉しそうに
『うん、そうだね。』
と言って公園の中をぐるぐると、いつまでも僕に乗って走っていた。

だんだん上手くなり、僕はグラグラしなくなった。

お父さんさんが
『おぅ、乗れるようになったじゃないか。』
と言い、男の子以上に嬉しそうにしていた。