夢の向こう(3)

2017-10-26 21:44:47 | 童話
それからしばらくは、高い空の上を走っているモノレールに乗っている夢や、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで駅から滑って降りてくる夢はみなかった。

ある日、僕はすごく高い空の上を走っているモノレールに乗る駅にいた。
切符を買って待っていると赤い色のモノレールが着いたので、みんなと一緒にモノレールに乗った。
モノレールは速いスピードで、前に乗った時と同じ高い空を走って行った。
そして、モノレールの駅から幅が広くて、高く大きなエスカレーターでみんなと一緒に滑って降り始めましたが、僕だけ途中で別のエスカレーターに乗り換えた。

僕が乗ったエスカレーターが着いた所に学校があった。
教室の中を見ると先生が『これから勉強を始めますので、みんな寝てください。』と言って、生徒も先生も寝てしまった。
寝ながら勉強をしているのだった。
チャイムがなると、先生が『勉強が終りましたので起きて帰りましよう。』と言ったので、生徒がみんな帰ってしまった。

よく見ると、学校の横に僕の家が有った。僕がドアを開けて家に入るとお母さんが『あらっ、おかえり。寝ながら宿題をやりなさい。』と言った。
寝るのと起きているのが反対なのだと気が付いた。
そして、僕は寝ながら歩いてエスカレーターを乗り換えた所に来たので、夢の出口へ行くエスカレーターに乗り換えた。

『早く起きないと学校に遅れるわよ。』とお母さんに起こされた。
僕は夢の向うより、夢の中の方が良いなぁと思ったので、今は夢の向うの探検はしていない。

君達は夢の向うの探検で何か見つけたら教えてほしいなぁ。  
    おしまい

夢の向こう(2)

2017-10-25 21:21:29 | 童話
またしばらくして、夢の中で友達が向うから歩いて来たので
『夢の向うから帰って来たの?』と聞いたら
『そうだよ。』と言ったので、僕は
『夢の向うへ探検に行ってくるよ。』
と言うと、友達は『うん。』と言って夢の出口から出て行ってしまった。
僕は一人で、前の探検の時よりもずっと遠くまで夢の中を歩いて行った。

ずっと歩いて行くと遠くに家が見えてきた。
もっと歩いてその家に着くと、家の中から、僕のお父さんとお母さんが出てきて
『おかえり。』と言った。
僕は『ただいま。だけど、ここは夢の中なの? それとも夢の向うなの?』と聞くと、
お母さんが『ここは、夢の中よ。夢の向うは、ここからモノレールに乗っていくの。』と言った。

僕はすごく高い空の上を走っているモノレールに乗って、大きな駅に着いた。
それから、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで、みんなと一緒に駅から滑って降りた。
『早く起きないと学校に遅れるわよ。』
僕はお母さんに起こされた。大きなエスカレーターは、みんなが学校や会社へ行かないといけないので、みんな夢の出口へ向って行っていたのだ。

僕が大きなエスカレーターに乗っている時に、もう一つのエスカレーターが動いているのが見えた。
そうか、途中で、もう一つのエスカレーターに乗り換えれば、夢の向うに行けたのではないかと思った。
今度、すごく高い空の上を走っているモノレールに乗って、幅が広くて、高く大きなエスカレーターに乗ったら、僕だけエスカレーターを乗り換えようと考えた。

夢の向こう(1)

2017-10-24 20:23:15 | 童話
君達はどんな夢をみるのかなぁ?
僕はね、前にみた夢と同じ場所で迷子になる夢をみることがあるよ。
それとね、パラグライダーで高い空を飛んでいる夢や、すごく高い空の上を走っているモノレールに乗っている夢や、幅が広くて、高く大きなエスカレーターで、みんなが駅から滑って降りてくる夢をみたこともあるよ。
夢って、ふしぎだよね。
君達はどんな夢をみるのかなぁ。

僕はある日、友達が向うから歩いてやって来る夢をみたんだ。
その友達は
『僕は夢の向うから帰って来たんだよ。』
と言って、夢の出口から出て行ってしまった。

次の日、その夢の話をしたが、友達は
『そんな夢はみなかったよ。』
と言った。
僕はもう一度、夢の中でその友達に夢の向うのことを聞いてみることにした。

しばらくして、また夢の中で友達が向うから歩いて来たので
『夢の向うから帰って来たの?』
と聞いたら
『そうだよ。』
と言って、夢の出口から出て行ってしまった。
その友達に、夢の向うのことを聞く前に、その友達は夢から出て行ってしまったので、僕は自分で夢の向うを探検することにした。

そして、夢の中を歩いて行ったけれど、いつまで歩いて行っても、夢は続いていて、夢の向うには行けなかった。
そして、朝になって目がさめた。
『残念だなぁ、夢の向うは、まだ遠いのかなぁ?』

一年だけの友達(3)

2017-10-23 21:21:38 | 童話
そして、秋となり、冬が終ってまた春になりました。
女の子が学校へ行く朝に、次の私は玄関の横から
『おはよう。』
と言いました。
女の子は玄関の横で、去年生えていたのと同じ小さな草が生えている私を見つけました。
女の子は
『あなたは私を知っているの?』
と言ったので、
『ええ、小さなお花を咲かせていたお母さんから、あなたに大切にしてもらったことを聞いていたわ。』
と答えました。
『そう、うれしいわ。あなたも大切にしてあげるからね。』
『ありがとう。』

そして、去年と同じように、
『行ってらっしゃい。』、
『おかえりなさい。』
とお話しをして、毎日同じ夢をみました。
また秋がきて、1年草はたくさんの種を残して枯れてしまいました。
その次の春に、女の子が学校へ行く時に、玄関の横から
『おはよう。』
という声が聞こえきました。
玄関の横を見ると、去年も生えていたのと同じ小さな草の私が生えているのを見つけました。
『あなたは私を知っているの?』
『ええ、小さなお花を咲かせていたお母さんから、あなたに大切にしてもらったことを聞いていたわ。そのお母さんもおばあちゃんから、あなたのことを聞いたと言っていたわ。』
『そう、うれしいわ。あなたも大切にしてあげるからね。』
『ありがとう。』

そして、私達と女の子との1年ごとの友達は、今も続いています。
      おしまい

一年だけの友達(2)

2017-10-22 10:29:32 | 童話
その夜、私は女の子と手をつないで歩きながら、たくさんお話しをしている夢をみました。
朝になって私は女の子に夢の話をすると、女の子も同じ夢をみていました。
女の子が学校から帰って来た時に
『今日も同じ夢をみるといいわね。』
と言いました。
その夜、私は女の子と女の子のお父さんとお母さんの4人でサイクリングに行っている夢をみました。
私は女の子の自転車の前カゴに乗せてもらいました。
川の土手は気持ちが良くて、土手でお昼ご飯を食べました。

次の朝に女の子にサイクリングに行った夢の話をすると、女の子は
『サイクリングは楽しくて、川の土手で食べたお昼ご飯はおいしかったわね。』
と言いました。
女の子も私と同じ夢をみたのでした。
それから、私と女の子は、ずっと同じ夢をみました。

そして夏が過ぎて、私のたくさんの花は種となって風に乗って遠くに飛んで行きました。
私は1年で枯れてしまう一年草なので、秋には枯れてしまうことを女の子に話しました。
『今まで大切にしてくれて、ありがとう。私はたくさんの種を残したので、私と同じ小さな草が生えてきたら、私と同じように大切にしてね。そして、散歩やサイクリングに連れて行ってね。』
『ええ、わかったわ。今まで楽しくしてくれて、ありがとう。』
『今日は、あなたが学校から帰ってきた時には、もう枯れて生きていないと思うの。私の種をお願いね。さようなら。』
『わかったわ、さようなら。』