100才の小学生(1)

2018-09-25 05:36:41 | 童話
ここは小さな村の小学校で、生徒はたくさんの動物や木やお花です。
人間は100才以上の人だけが生徒になることができます。
だけれど、この学校には先生はいません。みんなが生徒で、みんなが先生です。

今の人間の生徒は、鈴木ヨシさんと、田中トメさんと、山田熊太郎さんの三人だけです。
国語や算数や社会の勉強はしません。
勉強をするのは、掃除や片付けと、みんなと仲良くする方法を勉強します。

そして、みんなが自分の所へ帰った時に勉強した事を行ないます。
掃除をする班は、公園や道路の落葉とゴミを拾い集めてゴミ箱に入れます。
これは、イヌさんやタヌキさんやキツネさんが行ない、終ったら小学校で落葉やゴミの数を報告します。
そうして、どうしたらゴミが捨てられなくなるのか小学校で発表します。
また、きれいだった場所や、汚れていた場所、そうして、掃除にかかった時間も報告をします。

だけれど、ネコさんは掃除をうまくできないので他の事をやります。
ネコさんは長い時間続けて掃除をする事ができないのです。

片付けする班は、アライグマさんとネズミさんが行ないます。
特にアライグマさんは良く洗ってから片付けます。

みんなと仲良くする方法の班は、
馬さんと牛さんがリーダーになって、木やお花のみんなと相談して決めます。

では、人間の鈴木ヨシさんと、田中トメさんと、山田熊太郎さんは何をしているのでしょうか?
三人とも100才以上でたくさんの事を知っているから、みんなが相談に来ます。
掃除の事は鈴木ヨシさんに相談し、片付けのことは田中トメさんに相談し、みんなと仲良くする方法の事は山田熊太郎さんに相談します。

おじいちゃんのメガネ(2)

2018-09-24 07:42:22 | 童話
何日か後でおじいちゃんのメガネが壊れてしまった。メガネの鼻に当たる所が1個取れてしまったのだ。
『このメガネは古いから仕方が無いなぁ、新しいのを買ってこよう。』
と言っておじいちゃんはメガネ屋さんへ行った。
おじいちゃんは帰ってきて
『レンズを新しいフレームに付けたので、これをあげるよ。』
と言って僕に古いメガネをくれた。
『わぁ、ありがとう、大切にするね。』

僕はお父さんに頼んでメガネの耳に掛ける所を取り外してもらったので、二つの丸い所だけになって本当の自転車のようになった。
『もっと本物の自転車のようにしよう。』
僕はお母さんに爪楊枝を3本もらって、お兄ちゃんに1本を短く切ってもらってお母さんからもらった糸で、長い2本をメガネの丸い所に結び付けた。そして、長い2本に短い1本を糸で結び付けてハンドルにした。
『やった、ハンドルができた。』

しかし、僕の自転車は立たない。
『よしっ、自転車を立てるスタンドを作ろう。』
僕はお母さんからまた爪楊枝を3本と、結び付ける糸をもらい、それを糸で結び付けて三角形を作り、後の車輪に糸で結び付けた。
『やった、やった、立ったよ。』

そして、お兄ちゃんに小さくなって丸くなった消しゴムを貰って、車輪と車輪との間に糸で結びつけてサドルにした。

僕はおじいちゃんに僕の作った自転車を見せると
『おぅ、すごいね。』
と言ってくれたので、お父さんやお母さんやお兄ちゃんにも見せた。みんな
『すごい、すごい。』
と言ってくれた。

僕はこの自転車を大切にして、本当の自転車を買ってくれた後も、机の上に置いてある。
おじいちゃんはもう居なくなってしまったが、僕とおじいちゃんとの宝物の自転車は、いつまでも僕の机の上に飾っている。

      おしまい

おじいちゃんのメガネ(1)

2018-09-23 07:51:08 | 童話
僕は自転車で公園へ行った。
坂を登る時はハアハアと大変だったが、丘の上にある公園は見晴らしが良くて気持ちがいい。
公園を3周したらかえろう。帰りは下り坂なのでラクチンだ。

そこへ、おじいちゃんが帰って来た。
『またおじいちゃんのメガネで自転車ごっこをしているのかい? メガネのガラスは汚れるから、ガラスにさわったらダメだよ。』
『うん、ガラスじゃない所を持っているから大丈夫だよ。』
おじいちゃんは優しいので全部がダメだとは言わない。

『さっきね、自転車で丘の上の公園に行ってきたんだよ。』
『悠太君は、まだ三輪車も上手く乗れないから、自転車は来年買ってあげるね。』
『うん、まだ三輪車を押してもらっているから、自転車は来年でいいよ。』
明日、自転車で何処へ行こうか、と考えていると楽しくなる。

おじいちゃんの円いガラスのメガネ、おじいちゃんに借りた僕の自転車。
そうだ、明日は近くの小川に行こう。少し前にお兄ちゃんと一緒に行った小川だ。
この小川は、水が僕のヒザの高さまでしかなく、ゆっくりと流れているから安全なんだとお兄ちゃんが言っていた。
その小川にはフナやメダカがたくさんいて、僕の家でも水槽に入れて育てている。
今日はお兄ちゃんと一緒に歩いて行くではなく、おじいちゃんのメガネの自転車でいくので、何も持っていかないいかない。

やっと小川に着いた。
『やぁ、メダカやフナがいっぱいいる。メダカ君、フナ君、今日はお家に連れて行ってあげないよ、また今度ね。』
僕は小川でメダカ君とフナ君に会ったので、今日はもう帰ろう。
『メダカ君、フナ君、バイバイ。』

おじいちゃんが僕の所にきて『新聞を読むからメガネを使うよ。』
『うん、いいよ。』

ドッコイショ(2)

2018-09-22 12:21:47 | 童話
だけれど、お父さんもお母さんもおばあちゃんも、ドッコイショやヨイショとは言いません。
どうして、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言うのかなぁ?

ある日、おじいちゃんが
『なんでおじいちゃんだけが、ドッコイショやヨイショと言うのかだって? それはね、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言っても良い年だからだよ。』
と教えてくれました。
『ねぇおじいちゃん、ドッコイショやヨイショと言っても良いのは何才からなの?』
『決まりは無いけれど、おじいちゃんの年から良いんだよ。』
『ふぅ~ん。』
『ねぇおじいちゃん、僕もドッコイショやヨイショと言っても良いのかなぁ。』
『ああ、おじいちゃんと一緒の時だけドッコイショやヨイショと言って良いよ。』
『わぁ、うれしいなぁ。』
『だけれど、おじいちゃんと一緒ではない時は、ドッコイショもヨイショも言ってはいけないよ。』
『うん、わかったよ。』僕はおじいちゃんから、おじいちゃんと一緒の時は、ドッコイショやヨイショと言っても良いと言ってくれたのでうれしかったです。

これから、おじいちゃんと一緒の時は、おじいちゃんとドッコイショとヨイショと言う競争をしようと思いました。
だけれど、僕が中学生になった時におじいちゃんとドッコイショとヨイショの競争ができなくなりました。
僕は時々、おじいちゃんのいる空に向って大きい声で
『ドッコイショ』
『ヨイショ』
と言っています。

いつかおじいちゃんが高い空から、僕と競争するみたいに、もっともっと大きな声で
『ドッコイショ』
『ヨイショ』
と言ってくれると思っています。
おじいちゃんのドッコイショやヨイショが聞こえるのはいつなのかなぁ。

おしまい

ドッコイショ(1)

2018-09-21 05:36:32 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時に
『ドッコイショ』
と言いますが、座る時も
『ドッコイショ』
と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでドッコイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』
と言いました。

だけれど、座っていて立ち上がる時に
『ヨイショ』と
言う時があります。
その時は、座る時も
『ヨイショ』
と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでヨイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』
と言いました。
僕はドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。

ある日、おじいちゃんが
『みんなが居る場所で立ち上がる時は、みんなに「これから立ち上がるよ。」と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ、でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』
と教えてくれました。
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。