真夜中のお話し仲間(2)

2019-01-26 09:12:26 | 童話
次の日、学校から帰って来た男の子は、宿題を終らせてから、物置から自転車を出して、友達と約束をしている公園へ行った。
ペダルは頑張って漕いで、ハンドルはグラグラしないように頑張って支えて、タイヤは頑張って地面の上を転がって、ベルは危ない時に頑張って音を出して、みんなで協力して、公園へ走って行った。

そして、公園に着いて、男の子が友達と野球をしている間、みんなでワイワイガヤガヤとお話しをしていました。
今度は友達が乗って来た自転車ともお話しをしたので、にぎやかでした。
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
そして、またペタルは頑張って漕いで、ハンドルはグラグラしないように頑張って支えて、タイヤは頑張って地面の上を転がって、ベルは危ない時に頑張って音を出して、みんなで協力して、家に帰り始めた。

『今日の野球は楽しかった?』
とハンドルが男の子に話しかけた。
『えっ、君は話せるの? うん、野球は楽しかったよ。だけれど、いつから話しができるの?』
『ずっと前から話しができるのだよ。』
『それで、物置でもお話しをしていたんだね。』
『うん、そうだよ。』
『僕も話しができるよ。』
と、ペダルもタイヤもベルも話しました。

そして、ハンドル達が
『僕達は汚れてしまったので、きれいにしてほしいなぁ。』
と、男の子にお願いをしました。
『ああ、いいよ。家に帰ったら洗ってあげるね。』
そして、家に着いて、お母さんに
『ただいま。』
と言ってから、お水で洗っていると、お母さんが
『あらっ、えらいわね。』
と言ったので、
『自転車からきれいにしてほしいと頼まれたんだよ。』
『えっ、自転車から頼まれたの? そうね、ずいぶん汚れているわね。』
僕はきれいに洗ったあと、車輪の回転する所には油をさしました。

真夜中のお話し仲間(1)

2019-01-25 05:44:08 | 童話
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
もう帰る時間なので、公園で遊んでいた男の子が、友達と別れて自転車で家に帰ってから自転車を物置に入れて家の中に入って行った。
『外から帰ったら、セッケンでよく手を洗いなさい。』
『はぁ~い。』

しばらくして、自転車を1台入れているだけの物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。
その時、男の子が、自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを取りに来た。
『あれっ、誰かいるのかなぁ?』
男の子が物置の戸を開けると、急に静かになった。
『誰もいないや。ああ、有った、有った。』
男の子は自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを持って、物置の戸を閉めて家の中に入って行った。
すると、また物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。

『今日は、僕が頑張って漕いであげたので、速く走れたんだよ。』
とペダル言うと、
『ちがうよ、僕がグラグラしないように頑張ったから速く走れたんだよ。』
とハンドルが言った。
『ちがうよ、僕が頑張って地面の上を転がってあげたから速く走れたんだよ。』
とタイヤが言った。
すると、ベルが
『危なかった時に僕が頑張って音を出したから、ぶつからないで速く走れたんだよ。』
と言った。

そして、ワイワイガヤガヤは夜通し続きました。

僕の学校(2)

2019-01-24 05:47:20 | 童話
給食の時間は、お母さんが先生です。
今日は僕の大好きなハンバーグとカレースープです。
シロもタマもハンバーグを入れるお皿を持って、順番に並んでね。そうか、シロとタマはお皿が持てないんだね。それでは、並ぶだけでいいよ。

お昼寝の時間は、タマが先生です。ソファの上でスヤスヤ。だけど、シロは寝ていても直ぐに起きて、ボールで遊び始めます。

音楽の時間は、お母さんがピアノの練習で使っているメトロノームが先生です。
カチカチカチカチ、カチカチカチカチ。シロは、その音に合せて、ワンワンワン、ワンワンワンと鳴きますが、タマは、時々耳を動かすだけで、直ぐ寝てしまいます。

公園の砂場で遊ぶ時は、シロが先生です。シロは穴掘りがじょうずで、両方の前足を使ってドンドン掘ります。

公園の広場でカニ歩きをする時間は、僕が先生で、シロとタマは生徒です。
『カニさんはね、こうして足を順番に横に動かして横に歩くんだよ。シロもタマも前に歩くんじゃないよ、横に歩くんだよ。水槽のカニさんを見てごらん、横に歩いているでしょ。』

宿題の時間は、僕もシロもタマも、みんな生徒です。
宿題ですから先生はいません。
『シロもタマも、ちゃんと宿題をしないとダメだよ。』

宿題が終ると、明日のお勉強の準備をします。
明日の準備も先生はいません。
『今日は楽しかったなぁ。明日は何しようかな。』

そして、朝になると、また僕の学校が始まります。
     
おしまい

僕の学校(1)

2019-01-23 05:42:49 | 童話
お兄ちゃんとお姉ちゃんは小学校へ行っていますが、僕はまだ幼稚園にも行っていません。
だけど、僕も学校へ行っています。

僕の行っている学校の先生は、犬のシロと猫のタマです。
運動会の時間は、シロが先生で、駆けっこをします。
『シロ、そんなに速く走ったら追いつかないよ。』
先生のシロは走るのがとても速いので、先生には勝てません。

そして、木登りの時間は、タマが先生で木登りをします。
『タマ、すぐ登って行くからチョット待っていて。』

国語の時間は、絵本でお勉強をします。今度は僕の方が先生になります。
そして、大きなカブの絵本やサンタさんの絵本を読んであげます。
僕はお兄ちゃんやお姉ちゃんのように文字が読めないので、お母さんに読んでもらったようにシロとタマに読んであげます。だけど、読んであげているのが正しいかどうか分かりません。

算数の時間も僕が先生で、おやつの数をかぞえます。
シロに一つ、タマに一つ、そして、僕に一つ。
10個入っていたお菓子なので、残りは、う~んと、7個かな?

絵の時間は、みんなが生徒で絵を描きます。絵の先生は絵本です。
『タマ、グチャグチャに塗ったらダメだよ。』
『ポチは絵をなめたらダメだよ。』
『ほら、ポチの好きなお肉と、タマの好きなお魚の絵が描けたよ。おいしそうでしょ。』

マンガの時間も、みんなが生徒でテレビが先生です。
マンガが始まると、シロは時々目を開けてテレビを見ますが、タマは僕の隣りで寝ています。


石ネズミ(5)

2019-01-22 05:38:10 | 童話
一時間くらいたった頃にみんな起きてきて、高い木に登って、みんなで集めた石や木が並べられている所をながめました
『わあ、みんなでお餅をついている絵になっているよ。』
『すごいね、みんなで力を合せると、こんな大きな絵が作れるんだ。』
『みんなでがんばったからね。』
『だけれど、どうしてこんな大きな絵が必要なの?』
『もうすぐ満月になって、月でウサギがお餅をつく時に、僕達も一緒にお餅をつこうと思うんだ。』
『わあ、すごいね、やろうよ。』
『やろうよ。』
『うん、やろうよ。』

そして、満月の夜に全部のネズミが集まって、蒸したもち米を臼は入れて、月のウサギがお餅をつき始めるのを待っていました。
その時、月からペッタンコと音が聞こえてきました。ネズミも大きな石の上にシーソーのように置かれて大きな木を杵にして、お餅をペッタンとつきました。

ウサギがペッタン。
ネズミがペッタン。
ウサギがペッタン。
ネズミがペッタン。
ウサギがペッタン。
ネズミがペッタン。

『わあ、楽しいなあ。』
『すごいなあ。』
『みんなで力を合せるとできるんだね。』
『そうだね、みんなで力を合せるとできるんだね。』
こうして、月のウサギとネズミは、朝になって月が見えなくなるまで一緒に餅つきをしていました。

     おしまい