丘の上でゴロゴロふわり(3)

2019-12-26 06:41:31 | 童話
『おかしいなぁ、さっきは浮かび上がったのに。ねぇお姉ちゃん、今度は縦に並んで手つないでゴロゴロと転がってみようか?』
『そうね、2人で手つないでいたら浮かび上がるかも知れないね。』
『お母さん、お父さん、行くわよ。』
僕とお姉ちゃんは頭をくっつけた縦になり、2人で手をつないで転がった。
ゴロゴロ、ゴロゴロ。ゴロゴロ、ゴロゴロ、ふわふわ。
『あっ、浮かんだ。お母さん、お母さん、浮かんでいるよ。』
僕達が30センチくらい浮かび上がったのを見たお父さんとお母さんは
『本当だ、すごいなぁ、どうしてなのかなぁ。』
『本当にすごいわね。』
と言った。そして、僕達が起きて座ると地面に降りた。

お母さんが
『危ないから高く浮かび上がったらダメよ。』
と言った。
しかし、お父さんとお母さんがゴロゴロと転がったが浮かび上がらなかった。
お父さんとお母さんが手をつないでゴロゴロと転がっても浮かび上がらなかった。
『子供しか浮かび上がらないのでしょうかね?』
『そうかもしれないね。』

丘の上でゴロゴロふわり(2)

2019-12-25 06:35:08 | 童話
『やっと着いたね。』
『そうね、思ったより遠かったわね。』
『ここは丘の上だから湖が良く見えるわね。』
『わ~い、わ~い、湖だ。』
そして、お父さんとお母さんは平らな所にハイキング用のビニールシートを敷いた。僕達4人はシートに脚を投げ出して座りジュースを飲んだ。

『ここは高い丘の上だから空気が美味しいわね。』
『そうだね、ホッとするね。』
『お姉ちゃん、ここでゴロゴロと転がろうか?』『いいわよ。』
2人で寝転んだままゴロゴロと転がった。
ゴロゴロ、ゴロゴロ。今度は反対にゴロゴロ、ゴロゴロ、ふわり。
『あれっ、なんか変だなぁ。お姉ちゃん、なんか変じゃない?』
『ええ、そうね。なんか、ふわふわしたわよね。』
『うん、ふわふわしたよね。もう1回ゴロゴロしようか?』
『そうね。』
僕とお姉ちゃんはまたゴロゴロと転がった。
右回りにゴロゴロ、ゴロゴロ。
左回りにゴロゴロ、ゴロゴロ。
また右回りにゴロゴロ、ふわふわ。
『やっぱり浮かんでいる。お姉ちゃん浮かんでいるよ。』
『私も浮かんでいるわ。面白い、面白い。』

『お父さん、お母さん、僕とお姉ちゃんは今浮かんでいるんだよ。』
『何言っているの、気を付けなさいよ。』
とお母さんが返事をしたが、お父さんとお母さんは木が有るので僕達が見えないのだ。
僕達は降りてお父さんとお母さんの居る所に走って戻った。
『お父さん、僕達本当に浮かび上がったんだよ。』
『そうよ、ゴロゴロと転がっていたら、ふわっと浮かび上がったのよ。』
『はいはい、分かりました。あまり遠くへ行かないでね。』
『お母さん、本当だってば、こうやっていたら浮かび上がったんだよ。』
僕とお姉ちゃんは一緒にゴロゴロと転がって見せた。
だけれど2人の体は浮かび上がらなかった。

丘の上でゴロゴロふわり(1)

2019-12-24 06:50:07 | 童話
楽しいな、楽しいな。
明日は家族みんなでハイキングだ。
『お姉ちゃん、明日のハイキング楽しみだね。少し遠くまで電車で行って、そこから1時間くらい歩いて山の上の方にある湖に行くんだよね。』
『明日は朝早いから、もう寝るわよ。』
『は~い。』
僕はワクワクして、なかなか寝られなかった。

『早く起きなさい。』
お母さんに起こされるとお父さんが行く用意をしていた。お姉ちゃんも起きていて顔を洗っていた。僕は急いでトイレに行った後で、歯を磨いて顔を洗った。
『いただきま~す。』
みんなと一緒に朝ご飯を食べているとお父さんが
『もうすぐ行くから、早く食べなさい。』
と言ったので、おしゃべりを止めてご飯を食べた。

そして、4人で駅まで歩いて行き、お父さんから貰ったお金で4人の切符を買った。
僕は楽しくて、電車の中でお姉ちゃんとずっとお話しをしていたので、時々お母さんに
『少し静かにしなさい。』
と注意された。

しばらくして、電車が湖の有る駅に着いたので、先頭がお父さん、次は僕で、3番目はお姉ちゃん、そして最後がお母さんで、4人で一列になって歩いた。
僕達と同じように、リュックを背負ったたくさんの人が歩いている。お母さんとお父さんが『たくさんの人が湖へ行くのね。』
『そうだね、あの湖はきれいだからね。』
とお話しをしていた。
途中で1回休憩をしてジュースを飲んだので僕は元気いっぱいで歩いた。
お父さんが案内板を見つけて『湖まで5百メートルだって、頑張れ。』と言って僕とお姉ちゃんを励ました。

ほんわか村(4)

2019-12-22 09:36:40 | 童話
ある日人間がやってきて、動物全員と相談をしました。
ほんわか村の森は手入れがされていないので、木が倒れたままになっていたり、草が生い茂っている場所が多く、果物があまり多く取れていません。
それを人間が手入れをして果物の木を植える場所と、動物たちの大好きな野菜を植える場所を作るのです。
そして収穫できた果物や野菜を動物たちと人間とで半分ずつにするという計画でした。
 
しかし動物たちは、森の木は大切なので切っては困ると言い、人間も自然は大切なのでそのままにしておき、使えなくなっている所だけを手入れするということで、動物達と人間とが約束しました。

そして手入れした場所に
『ここは、ほんわか村の農場で、動物と人間とが自然を大切にする農場です。お互いに自然を大切にすることを約束します。』
と書いた看板を立てました。

そして、今も動物達と人間が約束を守りながら農場を大切にしています。

    おしまい

ほんわか村(3)

2019-12-21 09:00:49 | 童話
このほんわか村は赤道近くにあり、寒くはありませんが夏は大変暑いのです。しかし、みんな元気で楽しく暮らしています。

毎日、夕方になると夕立でシャワーのような雨が降りまず。
雨が降るとゾウさんやキリンさんやカバさんのように大きな動物の背中を、チンパンジーさんとミーアキャットさんが洗ってあげます。
小さな動物達はお互いに体を洗ってあげます。しかし、ナマケモノさんは体を洗いません。どうしてでしょうか。

夕立が終るとまた太陽が現われて、動物達を乾かします。
太陽が沈むとそれぞれ自分達の家でグッスリと寝ます。

ほんわか村で困った事がおきた時はみんなで相談して決めます。
暑くて風の強い日に村の森で、山火事が発生するので困っていました。
そして村のみんなで相談して、山火事が発生しそうな時は森の木に水をかける事にしました。その担当はゾウさんに頼みました。

ある日、ミーアキャットさんのお父さんとお母さんが森へ果物を探し行っている時に、ミーアキャットさんの赤ちゃんが居なくなりました。
ミーアキャットさんのお父さんとお母さんが探していると、チンパンジーさんが、人間が赤ちゃんを連れて行ってしまったと教えてくれたので、みんなで赤ちゃんを探す事にしました。
キリンさんが長い首で探して歩き、その後をゾウさんがミーアキャットさんのお父さんとお母さんとカピバラさんとチンパンジーさんを背中に乗せて行きました。
やがて、キリンさんが赤ちゃんを連れた人間を見つけて、ゾウさんが人間に向って鼻から水を勢いよく吹き掛けて、赤ちゃんを取り返しました。
ミーアキャットさんのお父さんとお母さんは大変喜びましたが、また人間が来るかも知れないので、村のみんなで相談をしました。
  
いろいろな意見が出ましたが、ナマケモノさんの意見をみんなが賛成したので決めました。それは、村の入口に高い垣根を作る事でした。
まず、ゾウさんが森から枯れて倒れた大木を持ってきて順番に立てて、その木をチンパンジーさんが森から持ってきたつる草で結び、最後に入口に大きな看板を取り付けました。
その看板には
『ここは動物のほんわか村です。人間は入らないで下さい。』
と書きました。