日本 ウォール・ストリート・ジャーナル2015年 1月 29日 (木)
ttp://jp.wsj.com/news/articles/SB12431244049710433766304580428501277787886より転載
ヨルダン、イスラム国との捕虜交換を準備 後藤さん含むかは不明
By ALEXANDER MARTIN IN TOKYO AND SUHA MA’AYEH IN AMMAN, JORDAN
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2015 年 1 月 29 日 12:07 JST
ヨルダン政府は、イスラム過激派組織「イスラム国」に捕虜交換を公に申し出た。
米国を初めとする同盟諸国に拒否されてきたルートで、人質2人の救出への道を切り開こうとの動きだ。
その後、これを受けたとみられるメッセージがイスラム国のツイッターのアカウントに投稿された。その投稿は、イスラム国に拘束されている後藤健二さんを名乗る男性の声で、ヨルダン政府に現地時間29日の日没までに交換を要求している死刑囚をトルコ国境に連れてくるよう求めた。
過激派組織を追跡・分析している民間の監視団体「SITEインテリジェンス・グループ」によると、動画の男性の声は、サジダ・リシャウィ死刑囚を指定した日時までに連れてこなければ、拘束しているヨルダン軍パイロットを殺すとしている。
メッセージからは、リシャウィ死刑囚と交換に、後藤さんとパイロットのムアーズ・カサースベさんの2人を解放するのか、あるいは後藤さんのみを解放するつもりなのかは分からない。
安倍晋三首相は29日の衆院予算委員会で、「新たなメッセージについては、情報には接している。現在、確認中だが、いずれにせよ一日も早い邦人の解放に向けて全力を傾けていく」と述べた。
ヨルダンがパイロットの解放を含まない取引を受け入れる公算は小さい。カサースベさんは昨年12月、操縦していた飛行機がシリアで墜落した際に拘束された。
ヨルダンのモマニ・メディア担当相は、国営ペトラ通信が公表した捕虜交換を申し出る声明で「われわれの息子の命を保護するというヨルダンの立場は最初から変わらない」と述べた。
リシャウィ死刑囚は、2005年にヨルダンの首都アンマンで発生した連続ホテル爆破テロ事件で自爆テロを図り、爆弾が爆発せずに失敗した後に逮捕された。その後、イスラム国の前身である「イラクの聖戦アルカイダ組織」の工作員であったことを認め、絞首刑を言い渡された。
後藤さんの解放のためヨルダン政府に支援を要請している日本政府は、状況を分析しているところで、新たな情報は何も得ていないと述べた。日本政府はテロリストの脅しには屈しないと繰り返し表明しているが、身代金の支払いや捕虜交換の可能性を明確には排除していない。
27日に投稿された動画では、後藤さんみられる男性の声で、リシャウィ死刑囚を解放しなければ、24時間以内にカサースベさんを殺すと話していた。
これまでのイスラム国との交渉は極秘に行われており、交渉について公に発表したのはヨルダンが初めて。
米英は同盟国にイスラム国などの過激派組織に身代金を支払わないよう求めている。
後藤さんの母の石堂順子さんは、安倍首相に対し、息子の解放に向けヨルダンとの交渉に全力を挙げてほしいと訴えた。石堂さんは、安倍首相以外にヨルダンと交渉できる人は考えられないとし、「母として健二が日本の地を踏むことを願っている」と述べた。
安倍首相は28日、イスラム国が新たな画像を配信したことについて「極めて卑劣な行為に強い憤りを感じる」と糾弾し、「状況が厳しい中、後藤さんの早期解放に向けヨルダン政府に協力を要請する方針に変わりはない」と述べた。