7月1日秋葉原で、声を上げる市民を指差し「演説を邪魔するような行為」と叫ぶ安倍首相(映像提供:インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)
駅前を覆い尽くす政権批判のプラカード、そしてものすごい音量の「安倍やめろ」の声──。安倍首相は本日16時から秋葉原駅前で行われた都議会選の応援演説に登壇したが、自民党候補の応援どころではなく、国民の激しい批判の声にさらされる結果となってしまった。
「安倍やめろ」コールは自民党陣営の演説スタートまもなくからはじまった。聴衆からは安倍政権を批判するさまざまなプラカードが掲げられ、「安倍やめろ」と書かれた大きな横断幕まで登場。それを自民党スタッフは「自民党青年局」の幟を並べることで隠そうとするなど必死に。他方、駅前にはあの籠池泰典・前森友学園理事長夫妻まで登場するなど、演説会はまさにカオス状態となった。
そして、安倍首相が16時40分ごろに演説カーに登ると凄まじいブーイングと「帰れ!」コールが噴出。安倍首相がマイクを握ると、支持者らが拍手を送るも、より強くなった激しい「帰れ!」「安倍やめろ!」の声に掻き消されたのだ。
この国民の批判が殺到する事態に、しかし、安倍首相は反省するどころか逆ギレ。なんと聴衆を指差しながら「演説を邪魔するような行為」「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫んだのだった。
国民の批判の声に陰謀論丸出しで“演説妨害”と決め付けるというのはいかにも安倍首相らしいが、しかしいくら話をスリ替えようが、負け惜しみを言おうが、安倍首相にとって、こうした批判を浴びせかけられる絵ができあがってしまったことは大誤算だったはずだ。この都議会選で安倍首相は2度、応援演説に参加したが、どちらとも街頭ではなく小さな屋内の会場だった。これは批判のヤジがあがることを見越し、声があがりづらい屋内を選んだことは明白。だが、にもかかわらず、会場からはヤジが飛ぶ結果に。
それでも、一度も総裁が街頭演説に立たなければ「逃げた」と思われることも事実。そこで選んだのが、自身の「ホーム」たる秋葉原駅前だった。
2012年の総選挙では、やはり投票日前日に麻生太郎元首相とともに秋葉原駅前の街頭演説に立った安倍首相だが、その日は日の丸の旗を持った支持者が埋め尽くし、安倍首相に対し大きな応援コールが巻き起こった。それは2014年の衆院選でも同様だった。
まるで戦前を彷彿とさせる異常な光景だったが、安倍首相にとっては、秋葉原は熱烈な支持者が集まる場所。今回もヤジが飛んだとしても、そうした支持者らがカバーしてくれる。そう信じたのだろう。
しかし、そうはいかなかった。支持者の声や拍手よりも、森友・加計学園問題をはじめとする疑惑を権力の力でもみ消そうとするその不誠実極まりない態度に怒りをもった市民の「やめろ」の声のほうが上回ってしまった。つまり、メディア各社の内閣支持率の数字と同じように、安倍首相に対する信頼感は完全に失われている。そのことが数字だけではなく状況として証明され、さらには映像に記録されてしまったのだ。
安倍首相に投げつけられた聴衆からの退陣要求の模様は、テレビでも流されることになるだろう。しかし、勝負はこれからだ。きょうの秋葉原を、安倍政権の終わりの始まりにしなければならない。
(編集部)