沖縄本島から南西約300kmに位置する宮古島の周辺には、七つ島がある。
中でも一番小さいのが大神島だ。
島の周囲は2.3km、住民は29人(2015年現在)ほどしかいない。
だが、宮古島地方で最も神聖視されているのがこの島だ。
神がいる島として、周囲の島々から崇められてきたのである。
それを示すかの様に、この小さな島には聖地が多い。
「御嶽(うたき)」や「御願所」と呼ばれる拝所には、よそ者はもちろん、地元の人でさえ立ち入れない場所もある。
集落を除けば、殆どを島全体が聖域と言っても過言ではない。
昭和初期には海賊キッドの宝が埋まっていると噂になり、多くの人が押し掛けた事もあった。
だが、むやみに聖域に踏み込んだ者は原因不明の病気になったり、早死にしたとも伝えられている。
そんな大神島では、神秘のベールに包まれた祭りが行われている。
祭りの存在は知られているものの、内容は一切明かされていない秘祭ウヤガンだ。
祭りと言えば大勢の人で賑わうものだが、ウヤガンは違う。
部外者は祭りを見る事が出来ないばかりか、島に入る事すら許されない。
しかも、祭りの様子は決して島外の人間には話してはいけないとされているのだ。
この様な状態なので詳細は判らないのだが、どうやら女性だけが参加して、神様との交流を図る儀式が行われるらしい。
この時、神様は大きなエネルギーを放つのだという。
閉ざされた世界で行われるウヤガンは、これからもその謎が解き明かされる事は、難しいのかも知れない。