東京都中央区の、江戸の情緒を残す人形町にほど近い場所に、小網(こあみ)神社がある。
三方をビルに囲まれた狭い場所に有りながら、存在感を放っている神社だ。
それは日本橋地区で、唯一戦火を逃れた伝統的な木造ひのき造りの神社というだけではない。
ここには強運厄除けのパワーが宿っていると、言われているのだ。
現在の小網神社がある場所には、もともと僧侶の住まいである庵があった。
1466(文正元)年、地域に悪疫が流行し、その時かつてこの庵で過ごした網師を稲荷大神として崇めよというお告げがあった。
そこで村を挙げて神社を建て祈願を続けたところ、間もなく平穏が訪れたというのだ。
やがて大正、昭和になって小網神社が強運厄除けの力を宿していると、言われる様になる出来事が重なる様になる。
1923(大正12)年の関東大震災で社殿が倒壊したものの、ご神体を抱えて避難した宮司とともに行動した大勢の人々が、命を落とす事なく助かった。
さらに昭和になり、戦地に出征していく氏子に「強運厄除け守」を授けたところ、お守りを持って出征した者が全員生還したというのだ。
また、東京大空襲でも境内の建物は火災を逃れている。
この様な出来事によって、ますます小網神社の強運パワーに注目が集まる様になったのだ。
現在でも「強運厄除け」「商売繁昌」「合格祈願」を願い、そのパワーにあやかろうとする人の姿が途絶える事はない。