松島、宮島と並んで、日本三景の一つになっている天橋立(あまのはしだて)は全長3.6kmの砂州で、白い砂と緑の松、更には青い海とのコントラストが絶妙な美しさを生み出している。
この天橋立は神様が使う橋だったという伝説がある。
地上にいた伊邪那岐(いざなぎ)が天で暮らす伊邪那美(いざなみ)の元へ通う為に梯子(はしご)を作ったのだが、眠っている間に倒れてしまった。
それが天橋立になったのだという。
こうした伝説から、有名な股のぞきも生まれた。
股の間から天橋立を眺めると天地が逆になり、まさに天に橋が掛かっている様に見えるのだ。
また、最近ではパワースポットとして人気を集めている。
伊勢に迎える前の天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀ったという元伊勢籠(この)神社、天橋立神社、眞名井(まない)神社の三社を回ると、力が満ちてくると言われている。
そして、天橋立神社のそばには不思議な水をたたえた井戸がある。
磯清水と呼ばれる井戸だ。
磯清水は、塩分をまったく含んでいない真水である。
それのどこが不思議なのかと思うかも知れないが、ここは周囲を海に囲まれた細長い砂州なのだ。
普通なら井戸の水も海水になるだろう。
なぜその様な場所に真水が湧き出すのか、その理由はいまだに判っていない。
ただ、古くから磯清水の存在は知られていた様で、平安時代の歌人の和泉式部が詠んだ歌にも登場している。
不思議な現象としか言い様のない磯清水だが、不老長寿に効果があるとして大切にされており、今では日本百名水にも選ばれている。