爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

神様を背負って移動

2021-08-20 12:31:04 | 日記
栃木県の日光は今や観光地化されすぎていて、聖地というイメージは薄いかも知れない。

しかし、ここは1200年以上も前の奈良時代から山岳信仰の場だった。

その中心となっていたのが、標高2486mの男体山(なんたいざん)だ。

日光山内にある二荒山(ふたらさん)神社のご神体とされている山である。

ここを開山したのは、勝道上人という僧だと伝えられている。

山は非常に厳しく、三度目の挑戦でようやく頂上までたどり着けたという。

その時山頂に建てた祠が、二荒山神社の奥宮である。

頂上では古代の祭祀跡や遺物も発見されており、数多くの修行者が男体山を目指した事がわかる。

現在では片道三時間半の登山ルートが作られているものの、そこには決して破ってはいけない決まりが定められている。

男体山に登る事ができるのは、5月5日~10月25日までの半年足らず。

それ以外の時期は登拝門は閉められて、山への立ち入りが禁じられている。

真冬の山頂は激しい吹雪が吹き荒れるのだという。

ただし、登拝祭が行われる7月31日~8月7日の一週間だけは、夜の男体山に登るという珍しい経験ができる。

この祭りは、三人の神様を背負って奥宮へ帰すという意味があるそうだ。

本殿にお参りを済ませた人たちは、午前0時から一斉に山に登り始める。

そして、夜が明ける頃に山頂にたどり着き、ご来光を拝むわけだ。

この山道はかなりきついが、祭りの初日には千人を越す人が参加するらしい。

それだけ男体山が篤く信仰されているという事だろう。