新潟の野鳥・フィールドノート

新潟で観察した野鳥を写真で紹介します.野鳥の日常生活に光を当てられたらいいなーと思っています.

粟島探鳥行2017春 ヨーロッパビンズイ その2

2017-06-03 06:18:54 | セキレイ科
ヨーロッパビンズイ 学名・Anthus trivialis 英名・Tree Pipit

 今春,粟島で観察されたヨーロッパビンズイのその2です.

 2017年春の粟島探鳥行で,セキレイ科タヒバリ属とみられる小鳥を観察しました.検討した結果,ヨーロッパビンズイに間違いないだろうとの結論に至りました.

 日本で記録されているタヒバリ属は、大型のマミジロタヒバリとコマミジロタヒバリ,小型のマキバタヒバリ,ヨーロッパビンズイ,ビンズイ,セジロタヒバリ,ウスベニタヒバリ,ムネアカタヒバリ,タヒバリです.

 これまでの粟島探鳥行では,マミジロタヒバリ,ビンズイ,ムネアカタヒバリを観察,記録していますが,今回観察されたタヒバリ属の小鳥は,そのどれにも該当しない特徴を持っていました.

 この個体の後ろ足指の爪を見てください.爪は,短く,大きく湾曲しています.この爪の形は,ヨーロッパビンズイとビンズイだけに見られる特徴で,これによって他のタヒバリ属の可能性が除外されます.他のタヒバリ属の爪は,長く,または長めで湾曲が少ないのです.

 次に,顔の部分に注目してみましょう.ビンズイは,耳羽後部に明瞭な淡色班と暗色班がみられますが,この個体には,不明瞭な淡色班しかありません.ヨーロッパビンズイの耳羽後部には,ビンズイのような明瞭な暗色班はありません.
 ビンズイには,幅が広く上部に黒い縁取りのある白色の眉班がありますが,ヨーロッパビンズイは,眉班が不明瞭です.この個体は,ビンズイのような明瞭な眉班が見られません.

 さらに,翼の部分を見てみましょう.この個体は,初列風切の長さと三列風切の長さがほぼ同じです.ヨーロッパビンズイには,初列風切の突出が見られませんが,ビンズイは,初列風切が突出します.
 初列風切の突出とは,翼をたたんだときの初列風切と三列風切の長さの比較で,初列風切が三列風切よりも明らかに長く突き出て見えることをいいます.シギ・チドリ類,ヒバリ類,ムシクイ類,タヒバリ類など互いによく似た鳥たちの識別によく利用されます.同じように,初列風切の各羽の長さの比較,翼式も識別に利用されますが,野外では見分けることが難しそうです.今回は,翼式を利用できるほど鮮明な画像を得ることができなかったため,参考としたものの詳細な検討には用いませんでした.

 上面を見てください.この個体には,明瞭な褐色の縦班があります.ヨーロッパビンズイは,背が淡褐色で,褐色の縦班がありあります.ビンズイは,背が緑褐色で褐色の縦班がありますが,この個体ほど明瞭ではありません.

 次に,下面にも注目しましょう.ヨーロッパビンズイとビンズイは,ともに黒褐色の縦班を持っています.しかし,ヨーロッパビンズイの縦班は,ビンズイよりも細く,脇ではさらに細く不明瞭になります.ビンズイの縦班は,太く,脇でも明瞭です.この個体の縦班は,ヨーロッパビンズイの特徴と合致しています.

ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島 


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


ヨーロッパビンズイ
撮影日時 2017.05.10 撮影場所 新潟県・粟島


 浅学を顧みず,色々と書き連ねました.ご指摘等ございましたら,コメントいただけるとありがたいです.