おもしろき ー熊本、鹿児島、宮崎で過ごした日々🌟🌟🌟

おもしろきことのなき世をおもしろく!Carpe Diem. 人間万事塞翁が馬。人生いろいろあるから、おもしろい!

Something 二話

2013年02月02日 07時16分52秒 | 僕が書いた小説

老人がいうには、この先はあまりも危険なので、数年前に通行禁止になり、道に大きな岩が置かれたということだった。
しかし、高さ数十メートルあるであろうこの岩をいったいどうやって運んできたのか?
ジョンとポールは不思議に思いながらも、老人に耳を傾けた。
とにかくまっすぐは通行禁止になり、代わりに小屋の裏に大きな道へつながる近道が作られたようだ。
ただし、通行料が一万円かかるらしい。
わざわざこの険しい道を選択したのに、一万円とられることに二人は納得できない。
料金がいくらかというのは関係ない。自分たちが選択した道がお金を払っていく道であるということに納得がいかないのだ。
洞窟まで戻り、洞窟を通って山頂を目指す旨を老人に伝えると、やめたほうがよいという。
洞窟には不治の伝染病にかかった二十歳くらいの女が住みついていて、今は誰も通らないということだった。
危険な道ならまだしも、さすがに病気にはなりたくないということで意見が一致し、一万円づつ老人へ支払い、小屋の裏の道から大きな道を目指すことにした。ジョンとポールは「野暮と粋」の話が好きで、よくその話で盛り上がったが、今もまたその話に花を咲かせながら大きな道を目指している。
この道は、危険とは程遠い何とも平凡な道であった。大きな道との交差点までもう少しというところで、彼らは足を止めた。
やはりここにきて納得がいかないのだ。
このままこの大きな平凡な道に進んでも、探しているもの「Something they are looking for」は見つからない気がする。
二人とも同じことを考えていたようで、小屋まで引き返すことにした。
小屋の老人は二人が戻ってきたことに驚き、お金を返すという。
でも二人ともそれは野暮だということで、お金を受け取らなかった。
その後どう進むべきか二人の心は一致していた。

二人は目を合わせると、笑いながら、同じ方向を目指した。
小屋の前から老人が何かを叫んでいたが、彼らは無視をして、行き止まりに立ち塞がる大きな岩の前に立った。
さあこの岩を何年かかっても乗り越えよう!もう後には退かないぞと二人が思った瞬間、目の前の岩は視界から消え、険しく細い道が彼らの目の前に現れたのである。
続く…

野暮な人 イキな人―江戸の美意識「イキ」で現代を読み解く (パンドラ新書)
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日本文芸社