おもしろき ー熊本、鹿児島、宮崎で過ごした日々🌟🌟🌟

おもしろきことのなき世をおもしろく!Carpe Diem. 人間万事塞翁が馬。人生いろいろあるから、おもしろい!

Something 三話

2013年02月03日 00時09分15秒 | 僕が書いた小説

その先は想像以上の険しい道だった。大蛇に襲われたり、崖崩れに遭遇したり、強風に飛ばされそうになったこともあった。
夜になると毎日のように、悪魔が彼らのところにやってきて、何のために苦しんでるのか、あきらめてゆっくりしたらいいと囁く。
それでも探しているもの「Something」を手に入れるために、頂上を目指した。きついけれど、苦しいけれど何故か心は踊っていた。
出発から7日目、毎日2、3時間の仮眠しかとらず、保存食も尽きようとしていた時、とうとう頂上が彼らの前に現れた。
最後の力をふりしぼり、頂上へたどり着くと、大きな道から来たに違いない多くの人がいた。
関所で十万円を支払った人々が祠に向かって列をつくっていた。
祠に願い事をして帰る人々の様子は様々であった。
騙されたという顔をして、不平不満をこぼしているもの。十万円を通行料として払ったことで願いが叶うと信じているもの。
信心深く、祠を崇めたという事実に満足しているもの。
ジョンとポールは彼らの姿を見ながら、自分たちが彼らに比べ、何と幸せであるか実感した。
苦しい道を歩んできた二人にとって山頂にたどり着けたのが何よりの幸せだった。
はたしてSomethingとはこの祠であったのだろうか?もしくはここで願い事をして叶えられるものであるのか?
二人は確信していた。探しているものはこの祠ではない。祠の後ろに見える洞窟にあるに違いない。
そしてその洞窟とは、今まで歩いてきたあの険しい道のふもとにある洞窟に繋がるに違いない。そう、伝染病の女が住む洞窟に…
二人はそう思い、人々の列に加わった。
二時間ほど待っただろうか。やっと二人の番がまわってくると、祠に願い事をすることもなく、祠の後ろにまわった。
恐ろしくもあったが、勇気をふりしぼり、洞窟の中に入った。
ところが、洞窟の中は数メートルで行き止まりであった。
それでも二人が諦めなかったのは、この洞窟が必ず下へ繋がっている予感がしたからだ。
そう信じ、目を閉じると、目の前の壁がないような気がする。
二人は大きくうなずき、壁へ向かって歩いた。
やはり何者かによって作られた幻覚であった。
もともと壁など存在しないのだ。
いざ進まんとしたまさにその時、何者かが二人の前に現れた。
見覚えのある顔だった。
そう、あの小屋にいた老人が現れたのだ。

続く…

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