おもしろき ー熊本、鹿児島、宮崎で過ごした日々🌟🌟🌟

おもしろきことのなき世をおもしろく!Carpe Diem. 人間万事塞翁が馬。人生いろいろあるから、おもしろい!

Something 四話

2013年02月04日 01時13分17秒 | 僕が書いた小説

ジョンとポールは突然老人が現れ、少し狼狽したが、すぐに、この老人が一体何者であるのかを推理することに夢中になった。
しばらく沈黙が続いたが、老人が先に口を開いた。
「わしはこの山に住む仙人じゃ。よくここまでたどり着いたな。お前たちはわしがつくった幻覚を二度も見破り、あの険しい道をも諦めなかった。
そういう勇気あるものを何十年、いや何百年と探しておった。お前たちが探しているもの、Somethingはここにあるぞ。ほら、何でも願い事が叶う水晶じゃ。持っていって、幸せを掴め!さあ、もうここに用はあるまい。引き返すのじゃ。この先は病気の女がおるだけじゃ。」

ジョンとポールはこの旅でいろんなことを学んだ。平凡な道よりも険しい道を。苦しいほど、やりがいがあることを。困難であるほど心が踊ることを。
そして彼らが求めているもの、Somethingが、この水晶でないことは明らかであった。
また彼らはこの旅を通して、いつの間にか物事の真実を見極める能力が身についていた。
老人が微笑みながら、水晶をジョンに手渡すと、ジョンも微笑み、それを受けとるやいなや、地面に叩きつけ水晶を砕いた。
老人の顔が歪んだと思った瞬間、ポールが叫んだ。「正体をあらわせ」「REVEALAS YOURSELENDE」
ポールは自分が発した呪文に驚いた。この旅で先祖から流れる祈祷師としての血が現れたのだ。
老人は苦しみながら、体中から光を発し、この7日7晩現れた悪魔の姿になった。
なぜわかったか悪魔が二人に問いかけるとジョンが静かに語り始めた。
「僕たちは常に険しい道を選択しようとしてきた。悪魔よ、お前はいつも人間を楽なほうへ、導く。険しい道を選ぶ人間はお前の生涯の敵になるだろう。
お前にとって恐ろしいのは平凡な道を選ぶものではなく、険しい道を選択する人間だ。
お前はこの山でSomethingを手に入れるかもしれない人間を恐れ、険しい道の途中に小屋を作り、険しい道に挑もうとした危険性のある人々を平凡な道に導いた。
僕らが屈しなかったので、お前は欲望の象徴でもある水晶を僕たちに渡し、堕落させようとした。
お前が水晶を渡そうとしたときのその笑みに悪魔が見えたぞ。残念だったな。」
悪魔が反論する。
「ではお前たちが、最初から洞窟の道を選択していたら…
あそこに病人がいることは知らなかっただろう。」
ポールが笑って言った。
「今の僕たちには簡単な問題だ。洞窟はお前の幻覚で行き止まりだ。最初からそれが幻覚と見抜けるやつはいないだろう。半分は引き返し、半分はお前の小屋に来るだろう。そしてみんな平凡な道に戻される。お前にとってそんな人間は危険ではないからな。
危険なのは行き止まりを恐れず、前に進むものだ。」
悪魔は怒り狂い、二人に襲いかかろうとした時、ポールが呪文を唱えた。
「IREISARU DAMONTOUS」
悪魔は燃えながら、この世から消えていった。

二人はその余韻に浸ることもしないで、洞窟を下っていった。
病気に侵された女が彼らが求めるものの鍵を握っているのは明らかだった。
続く…

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