私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

頌歌 ―不死なる幼きころに 第八連②

2014-01-08 13:27:33 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

VII [ll.119-129]

Thou, over whom thy Immortality
Broods like the Day, a Master o'er a Slave,
A presence which is not to be put by;
Why with such earnest pains dost thou provoke
The Years to bring the inevitable yoke;
Thus blindly with thy blessedness at strife?
Full soon the Soul shall have her earthly freight,
And custom lie upon thee with a weight,
Heavy as frost, and deep almost as life!



頌歌 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

VII[119-129行目]

ああ汝よ 汝がうえを 不死なるさがが
日のように 奴のうえの主のように
斥けられることのない御稜威のようにおおうのに
なぜそれほどにきまじめな 痛みとともに
年をして さけえぬくびきをもたらさせ
やみくもに おのれの幸と揉めるのか
遠からず 汝がたましいは うつし世の生の重荷に充たされて
ならいが重く横たわる
霜さながらにずっしりと 生さながらに深々と




 ※あけましておめでとうございます。年末年始で少々ばたばたしておりましたが、ようやく訳の続きができました。
  119行目「ああ汝よ」は「ああなれよ」、「汝がうえを」は「ながうえを」、121行目「御稜威」は「みいつ」とお読みください。
  このあたりの厭世観はテニスンのThe Lotos-Eatersを思わせます。思わせるというか、言葉の選び方その他が三連目とたいへんよく似ている印象。↓

  The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.57-60]



Why are we weigh'd upon with heaviness.
And utterly consumed with sharp distress,
While all things else have rest from weariness?
All things have rest: why should we toil alone,



蓮を喰うものたち   アルフレッド・テニスン

[57-60行目]

  Ⅲ

なにゆえわれらはひしがれて
なべてするどいくるしみに 身を砕かれねばならない
ものみなすべてうれいから まぬかれ
安んじるときに

  

 
「蓮を喰うものたち」の題名で2011年の五月ごろに訳しておりますので、よろしければ合わせてご覧ください。一回につき2~3行という極度のぶつ切りの訳ですが…


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