般若心経

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2023-06-07 | Weblog

 気働き

 もう六十年ほど前、就職し初めての現場に配属されたときのことです。
ある日、書類を発送する仕事をしていた私の手元を見て課長が「気働きがいいな」と声を掛けてくれました。書類を入れた封筒の封をするときにセロハンテープの端を数ミリ折り返していました。受け取った人がテープを剥がすときに剥がしやすいようにと思ったのです。
 そのとき「気働き」?、初めて聞きました。地方の言葉?、課長の言い間違い? 普通だったら「気配りがいいな」、「気が利くな」とかではないか、などと思いましたが、辞書を開くこともなく、その後ずっとセロハンテープの端を折り返す都度その時の課長の「気働きがいい」を思い出していました。
思い出すことはあっても、その後六十年ほどテレビ、新聞、雑誌などから新たに「気働き」という言葉を見たり、聞いたりしたことはありませんでした。
 ところが、昨日の日めくり名言カレンダーに
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気働きができる人だね
職場の厳しい先輩から何気なく言われた言葉。「気働き」という言葉を知らなかった私は、帰宅して辞書で調べ、じんわりうれしかったです。目立つことが苦手なだけに、ちゃんと見てくれてる人がいるんだと分かって、その後の私の生き方に影響したかも・・・。愛知県 匿名希望 主婦
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と書かれているではありませんか。カレンダーを見て、改めて辞書を引くと
「気働き:時に応じて、すばやく気を使うこと」とあります。
「気働き」は地方の言葉でも課長の間違いでもなかったのです。
 「気働き」は六十年ほどの間、はっきりした意味を把握しないままセロハンテープの端を折り返していたのです。些細なことでも人に喜ばれればと思いながら、カレンダーの投稿者と同じく私の生き方に影響した言葉です。