袖すり合うも
「仕事で大切なのは人脈。いかに技術を持っている人とつながりをつけ、そこから知識、技術を習得するかが大切」
就職して3年目、配属になった現場の課長から言われたことです。
東京へ出張しても目的の担当部課に出向くだけではなく、日ごろ関係しているところすべてを回り「お世話になります。持って帰るものがありましたら持って帰ります」と挨拶して回れ、と教えてくれました。ファクスもましてネットもなかった時代です。郵便よりずっと速い手送便と呼んで重宝されていました。手送便が目的ではなく、顔を出すことが目的でした。お茶をすすめられたら必ず飲んで、何でもよいから話を聞いて帰れとも教わりました。
この教えは退職するまで、いつも心がけ、仕事を行う上でのひとつの指針になっていました。また後輩への教えのひとつに加えていました。
その課長が話してくれたことがあります。
徳川将軍家の剣術指南役、柳生家の家訓です。
小才は、縁に出会って縁に気づかず
中才は、縁に気づいて縁を活かさず
大才は、袖すり合うた縁をも活かす
退職するまで毎年手帳に書き写していました。
退職するまで毎年手帳に書き写していました。
なぜ、この話を思い出したかと言いますと、今週日曜日の朝、NHKテレビで「柳生十兵衛七番勝負」というドラマを見たからです。ちょうどドラマの最後の部分だったので内容は分かりませんでしたが、「柳生十兵衛」⇒⇒「柳生家の家訓」⇒⇒「課長」、久しぶりにその当時の生活とともに、ふとS課長の顔をなつかしく思い出しました。