「父が娘に語る美しく、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話」
(ヤニス・バルファキス著 関 美和訳 ダイヤモンド社 2019.3.6 P.246)
ずいぶん長い題ですが、原書は「Talking to My Daughter about the Economy」ですので、「美しく、壮大で、とんでもなくわかりやすい」の部分は邦訳の際、付け加えられたようです。
この「とんでもなくわかりやすい」に魅かれて読んでみました。
著者ヤニス・バルファキスはギリシャの経済学者、ギリシャが財政危機に陥っていた2015年財務大臣に就任しています。
数万年前、農耕の発生と言語文字の発明が経済の始まりという話から、仮想通貨・ビットコインの話まで、具体例を示して説明しています。
経済の本というと数字、数式、図、図表がたくさん示されていると思ったのですが、それらの類は一切ありません。著者によると経済の話は理論を詰めていくと、いくほど分かりにくくなるそうです。
捕虜収容所内の経済活動の発生、政治と経済、中央銀行と政治の話など興味をもって読みました。中でも「お金はどこからともなく生み出される」という話は、まさにコロナ禍における現在の日本経済の話です。
目次より
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プロローグ
第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?
第2章 市場社会の誕生 いくらで売れるか、それがすべて
第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ すべての富が借金から生まれる世界
第4章 「金融」の黒魔術 こうしてお金は生まれては消える
第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界 悪魔が潜むふたつの市場
第6章 恐るべき「機械」の呪い 自動化するほど苦しくなる矛盾
第7章 誰にも管理されない「新しいお金」 収容所のタバコとビットコインのファンタジー
第8章 人は地球の「ウイルス」か? 宿主を破壊する市場のシステム
エピローグ
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