グランドアクシス通勤快速号のリアボックスマウントベースにクラックが入ってしまいました。
原因は不明ですが、多分去年の年末にすっ転んだ時に8G程度の加速度を受けた事にしておきましょう。
このまま放置していると、マウントベースが核分裂を起こして真っ二つに分離し、リアボックスが第一宇宙速度で飛び出して、地球の衛星になってしまう可能性も、有ったり無かったりしそうなので、宇宙の平和を守るため、ちょこっと修理する事にしました。
さて、家には何故か予備のマウントベースが有ります。が、そのまま使うのにはちと問題が有るのです。
左が予備品、右が使用済み品です。どこが違うかよく見比べて下さい。
使用済み品に有って予備品に無い物が有ります。ヒビとかシミとか汚れでは有りません。
予備品は、ゴムブッシュが一つ足りないのです。予備品の予備品たる所以です。ベースの穴の奥には、カリカリに固まった接着剤の残骸が恥ずかしそうに残っています。
無くなったゴムブッシュは今何処にいるんでしょう。それこそ、第一宇宙速度で飛び出して、今頃は地球の衛星になってたりするかもしれませんし、なってないかもしれません。ま、いずれにしても、飛び出されたブッシュさんにはもう再びお会いできないのは確かなので、使用済み品から引っ剥がして貼り付け直す事にしました。
当たり前ですが、ベースとブッシュは、接着剤で強固に接合されています。指でホジホジした位では外れてくれません。
ココで、文明の利器、専用工具、所謂SSTを使います。
画像右端に写っているSSTでブッシュをきれいに外す事ができました。この作業には、たこ焼きをひっくり返す技術が必要なので、関東の方には少し難しいかも知れません。大阪出身の私だからこそできる業なのです。決してやっつけ仕事では有りません。多分。
このブッシュを今度はマウントベースに接着します。一口に接着と言っても、貼り合わせる素材やその形状、使用条件、などによって、適切な接着剤を選定してやらなければなりません。
接着面の表面処理も大事です。素材の表面状態が悪いと、どんないい接着剤を使っても、その性能を引き出す事はできません。
そこで、ブッシュとベースの接着面に表面処理を施します。接合面をヤスリでゴシゴシ削って、新しい面を出すだけですが。
ココまでやって、いよいよ接着剤の出番です。
屋外用の接着剤です。ポリエチレン、ポリプロピレン以外の素材なら、何にでも引っ付いちゃうと言う、割と節操のない謳い文句のセメダインスーパーXです。なぜ、Xが付くのかは謎です。役所さんにも分からないでしょう。
使用温度域は-60℃~120℃となので、どんなに寒い冬でも、どんなに暑い夏でも心配は無用です。もっとも、120℃の雰囲気でガソリンタンクの蓋なんか開けた日にゃ、その瞬間に火達磨になりそうですが。でもその前に血が沸騰して違う世界に行ってるだろうから、その心配も無用ですね。
今日の作業での最大の問題は、マウントベースの材質が何か分からないことです。FT-IRにでも掛ければ判別できるのですが、ホームセンターでも売ってないので困ったものです。売ってても買いませんが。
そこで、マウントベースを水を張ったバケツの中に入れてみます。材質が分からなければ、取り合えず水の中に入れてみるのは、古代ギリシャ、アルキメデスの時代からの定石です。
マウントベースは、水の中にズブズブと沈んで行きました。これでマウントベースの材質がポリエチレンでもポリプロピレンでもない事が導き出されます。なぜなら、ポリエチレンとポリプロピレンは比重が0.9g/c?を切るくらいなので、水に浮くからなのです。
これで、1500万円も払ってFT-IRを買う破目にならずに済みました。やれやれ。
きっとABS樹脂だと言う事にしておきます。ここで言うABSとは、もちろんアンチロックブレーキシステムの略ではなく、アルキルベンゼンスルホレートの略でもなく、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合体の略です。なんかよく分かりませんが、3つ合わせるとゲッターロボのように強いプラスチックになるみたいなのです。
で、安心して接着剤を説明書の指示通りに塗り塗りして、ゴムブッシュを貼り付けて、マウントベースをバイクの荷台に取り付けて作業完了です。
30分くらいの作業のレビューを書くのに1時間半も掛かってしまいました。まあいいか、今日は仕事休みやし。決してマウントベースを修理するために休んだんとちゃいますよ。いやホンマ。
↓応援のクリックお願いします↓