歌手にも劣らない歌の実力・・・演技だけ磨きをかければ‘ロングラン’
-‘ピョン・ヨハンのヘドウィグ’
チケットパワーはチョドウィグ(チョ・スンウ)、ポドウィグ(チョ・ジョンソク)に劣らない。舞台の上でなかなか上手に‘遊ぶ’。
ミュージカルに進出するそこそこのアイドル歌手より歌も‘上手に’する。だが緊張が大きかったのか、練習が足らなかったのか。ミスが多い。
セリフを間違えるから演技がぎこちなくなり、劇の流れが断たれる。
ドラマ『未生』でスターダムに上がり、最近放送終了した『六龍が飛ぶ』でイ・バンジとして熱演したピョン・ヨハンが
ロックミュージカル『ヘドウィグ:ニュー・メイクアップ』で厳しい舞台デビューを経験した。
今年の始めに公開された『ヘドウィグ』のキャスティングでピョン・ヨハンはチョ・スンウ、チョ・ジョンソク、ユン・ドヒョンらと名前を連ねて話題になった。
1994年ブロードウェイで誕生したヘドウィグは 2005年 国内初演以後10年を超えて興行神話を作っていきつつある。
4月27日 ソウル大学路・弘益大アートセンターで初お目見えした‘ピョンドウィグ’(ピョン・ヨハン+ヘドウィグ)の歌の実力は合格点。
しかしモノドラマに近い劇をインターミッションなしで2時間30分の間引っぱって行くにはまだ物足りなく見えた。
『ヘドウィグ』は東ドイツ出身のトランスジェンダー歌手がアメリカに渡って夢と愛を探す旅程を歌と物語で解きほぐす。
コンサート形式のため、あちこちに生じる‘隙間’を俳優みずから満たさねばならない。つまり適切なアドリブが必須。
ピョン・ヨハンは特有の剽軽さを強調して即興演技を披露したが、基本的なセリフのミスが多く アドリブがまるで挽回のための臨機応変になってしまった。
チョ・スンウとチョ・ジョンソクは公演ごとにセリフを変え、突発的な状況を作ることで有名だが、全体の流れを壊すことなく、劇をいっそう豊かにする。
自分の役割、セリフ、作品を完璧に熟知しているから、アドリブがより引き立つ。
1日 3番目の舞台に上がったピョンドウィグは劇の序盤 若干不安だったが、はるかに安定した姿だった。
特にセリフを詠む時より歌を歌っている時 より自然で落ち着いて見えた。歌手出身でもなく『未生』と『六龍が飛ぶ』で見せた優れた演技を思えば、
‘アイロニー’であり興味深い点だ。ソングスルー(セリフなしで歌だけで構成されたミュージカル)だったなら むしろ好評一色だっただろう。
また先輩たちよりがっしりしてスマートな体も‘女装男子’役をするにはメリットだ。
惜しい舞台にもかかわらず、強大なファンのおかげで興行成績は驚嘆に値する。6月5日に幕を下ろすヘドウィグでピョン・ヨハンの残り公演は計14回。
すでに座席がほとんどない。新たなチケットパワーに上がったピョンドウィグ。
演技だけもっと磨きをかければ、次のシーズンから自分だけの個性あふれる舞台でロングランできないだろうか。