外では、体が冷えてきたので、車の中で服の乾くのを待つことにした。エンジンをかけてラジヲを聞いていると、「黒い花びら」が流れていた。それを聞きながらシートに寝転んでいると、またも眠くなって、起きているか眠っているか分からないような微妙な心地良さに引きずり込まれた。曲は「高校三年生」に替っていたが、つい数年前のことなのに、懐かしさをもっていた。
高校時代。まだ、微かに戦後を引きずっている時代は、バンカラの気風をも残していた。
学生帽のヒサシを短く切って縫い合わせたり、天の部分にグリースを塗りたくってテカテカに光らしたりしていた。タバコもこっそりふかしたりして粋がっている部分もあった。 ズボンは、マンボスタイルで、裾が細くなっていて、太ももの廻りさえピッチリとなっていた。レインコートは、「ダスターコート」と呼ばれる7分裾の、アメリカの清掃員のコートを模したものだったが、水原弘が着たことから爆発的にヒットした。
秀太は、そんな彼らに馴染んではいなかったが、憧れのようなものと軽蔑のよなものとの入り混じった理解しがたい感情をもっていた。
高校時代。まだ、微かに戦後を引きずっている時代は、バンカラの気風をも残していた。
学生帽のヒサシを短く切って縫い合わせたり、天の部分にグリースを塗りたくってテカテカに光らしたりしていた。タバコもこっそりふかしたりして粋がっている部分もあった。 ズボンは、マンボスタイルで、裾が細くなっていて、太ももの廻りさえピッチリとなっていた。レインコートは、「ダスターコート」と呼ばれる7分裾の、アメリカの清掃員のコートを模したものだったが、水原弘が着たことから爆発的にヒットした。
秀太は、そんな彼らに馴染んではいなかったが、憧れのようなものと軽蔑のよなものとの入り混じった理解しがたい感情をもっていた。