グロスター伯爵の居城の前。ケントが足枷をはめられ、さらし台に掛けられたままでいる。そこへリアが道化の一人のみを伴い現れた。
彼に仕える百人の騎士は一人もいなかった。リアは、まだリーガンが親切に迎えてくれることを当てにしていたので、家来のケントがさらし台に掛けられているのを見ると大きなショックを受ける。
Lear: They durst not do't; They could not, would not do't; 'tis worse than murder, To do upon respect such violent outrage: Resolve me, with all modest haste, which way Thou mightst deserve, or they impose, this usage, Coming from us. リア: 彼らがこのような事をするはずがない、 出来もせねば、欲しもすまい。敢えて礼を無視して、 かほどの暴挙を働くことは、人殺しにも過ぎる大罪だ。 余が遣わしたおまえが、どういう仔細でこんな目に遭ったのか、 いや、遭わされたのか、速やかに話して聞かせろ。
ケントが受けた侮辱を、リアは自分に加えられたものと思った。しかも、それが偶然や誤解ではないことを思い知らされる。リーガンがゴネリルと示し合わせて事を行なっているのは言うまでもない。
ケントから仔細を聞いたリアは、歓迎されるという希望を裏切られたと知ると、怒りが爆発しそうになったが、ここは我慢してリーガンに親しく会って話してみようと心に決め、城の中へと入っていく。
リアが城の中に入っていている間に、ケントが道化に対し、
「どうして国王たるリアがお供の騎士を一人も連れずに出歩いているのか」と聞き、
「どうして国王たるリアがお供の騎士を一人も連れずに出歩いているのか」と聞き、
道化は、
「大きな車が山を転がり落ち出したら、掴まっていると、首の骨を折るから早く手を離すに限る。但し、そいつが上に登る間は掴まって一緒に引っ張り上げて貰うに限る」と、
さらに
「欲得ばかりの上辺だけで仕える者は、嵐が来れば、見得もへちまもあるものかと、主人を見捨てて逃げていく」と答えるのだった。
つまり、不忠のリアの騎士達は、落ち目の主人を見捨てて逃げ出した、ということだ。
道化がこの事態の要約を述べるところは、詩になっていて、語呂が良く、リズムがある説明になっている。
道化がこの事態の要約を述べるところは、詩になっていて、語呂が良く、リズムがある説明になっている。