リアに頼りにされ、すがりつかれても、リーガンは心を動かすことはなかった。
彼女はただ「御用の趣を言ってください」と、言うだけであった。
彼女はただ「御用の趣を言ってください」と、言うだけであった。
そこへラッパ鳴り、ゴネリルが来たことを知らせる。
リーガンがゴネリルの手を取るのを見て、リアの最後の希望がつぶれるのだった。
そしてリーガンは、ことにあろうか、父に向かって姉の前に跪き、彼女の邸においてもらうように許しを乞えと命ずる。
リーガンがゴネリルの手を取るのを見て、リアの最後の希望がつぶれるのだった。
そしてリーガンは、ことにあろうか、父に向かって姉の前に跪き、彼女の邸においてもらうように許しを乞えと命ずる。
リアは愕然とし、リーガンのところへ留まることを懇願するのだが、リーガンは聞く耳を持たず、そして姉ゴネリルよりも冷酷な言葉が、リアに突き刺さった。
さらにリーガンは、お供の騎士の数を25人にすることを要求する。
これらの言葉を聞いたリアは絶望し、まだゴネリルの方がましであると考えて、仕方なくゴネリルのところへ戻ろうとするのだが、その考えは甘かった。
Regan: I pray you, father, being weak, seem so. If till the expiration of your month, You will return and sojorn with my sister, Dismissing half your train, come then to me: I am now from home, and out of the provision Whigh shall be needful for your enterainment. リーガン:どうか、お父様、力の無き者は無いように振舞って下さいまし。 一旦お姉さまのところへお戻りになられ、 ひと月経つまでお過ごし頂き、お供の者を半分はお暇を与え、 改めて私どものところへおいでになることです。 ご覧の通り、私どもは、ただいま館を離れており、 お父様を迎えるに必要な諸事の賄いも不足しておりますので、 十分なお持て成ししかねます。
さらにリーガンは、お供の騎士の数を25人にすることを要求する。
これらの言葉を聞いたリアは絶望し、まだゴネリルの方がましであると考えて、仕方なくゴネリルのところへ戻ろうとするのだが、その考えは甘かった。
実は姉のゴネリルよりも妹のリーガンの方が性格がきついのだ。だとすると、判りきった事であるが、コーディリアは三姉妹の中で唯一、心優しい娘である、ということだ。
Lear: Those wicked creatures yet do look well favoured. When others are more wicked, not being the worst, Stands in some rank of praise. [To Goneril.] I'll go with thee; Thy fifty yet doth double five and twenty And thou art twice her love. Goneril: Hear me, my lord; What need you five and twenty, ten, or five, To follow in a house where twice so many Have a command to tend you ? Regan: What need one ? Lear: O, reason not the need: our basest beggars Are in the poorest things superfluous: Allow not nature more than nature needs, Man's life's as cheap as beast's: thou art lady; If only to go warm were gorgeous, Why, nature needs not what thou gorgeous wear'st, Which scarcely keeps thee warm. But, for true need,―― You heaven, give me that patience, patience, I need ! リア:他にもっと拗けた者がいるときは、拗けた者でも 結構、良く見えてしまうというものだ。 最悪でないということが、せめてもの救いとなる。 [ゴネリルに向かって] 余はおまえと一緒に行こう。 おまえのところの50人は、25人の倍の数だから、 おまえの愛情は、この女の倍ということになる。 ゴネリル: お父様、ちょっとお待ち下さいまし。 既にその倍も召使がいて、お指図を待っておりますのに、 どうして25人も、いえ、10人とか、5人もの数の お付の者が必要でしょうか? リーガン: どうして必要なのでしょうか、一人たりといえども? リア:おお、必要だと言うな、如何に賎しき乞食でも、その取るに足らぬ持ち物には、 何か余計な物が入っている。人間が必要とする以上の物を自然が与えなかったならば、 人の暮らしは畜生同然の惨めなものになろうというもの。 おまえ等は身分の高い女たちだ。もしも、ただ温かくさえあれば良いと、 それが立派な衣装であると言うのなら、 おまえ等のその様な温かさのためとは言えぬ立派な衣装は、 そのようなもの、自然は必要としない。しかし、本当に必要なものは―― おお、神々よ、余に忍耐を与え給え、忍耐、それこそ余が必要とするものだ!
ここにも「nature」というキーワードがでてくる。ここでは「世界を司る自然の女神」とか、「世界の有り様」というような意味である。