gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

「リア王」 舞台内容 二幕四場(4)

2010-03-17 11:26:24 | 「リア王」

イメージ 1


 リアに頼りにされ、すがりつかれても、リーガンは心を動かすことはなかった。
彼女はただ「御用の趣を言ってください」と、言うだけであった。


 そこへラッパ鳴り、ゴネリルが来たことを知らせる。
リーガンがゴネリルの手を取るのを見て、リアの最後の希望がつぶれるのだった。
そしてリーガンは、ことにあろうか、父に向かって姉の前に跪き、彼女の邸においてもらうように許しを乞えと命ずる。


 リアは愕然とし、リーガンのところへ留まることを懇願するのだが、リーガンは聞く耳を持たず、そして姉ゴネリルよりも冷酷な言葉が、リアに突き刺さった。
Regan: I pray you, father, being weak, seem so.
     If till the expiration of your month,
     You will return and sojorn with my sister,
     Dismissing half your train, come then to me:
     I am now from home, and out of the provision
     Whigh shall be needful for your enterainment.

リーガン:どうか、お父様、力の無き者は無いように振舞って下さいまし。
    一旦お姉さまのところへお戻りになられ、
    ひと月経つまでお過ごし頂き、お供の者を半分はお暇を与え、
    改めて私どものところへおいでになることです。
    ご覧の通り、私どもは、ただいま館を離れており、
    お父様を迎えるに必要な諸事の賄いも不足しておりますので、
    十分なお持て成ししかねます。


 さらにリーガンは、お供の騎士の数を25人にすることを要求する。
これらの言葉を聞いたリアは絶望し、まだゴネリルの方がましであると考えて、仕方なくゴネリルのところへ戻ろうとするのだが、その考えは甘かった。
 実は姉のゴネリルよりも妹のリーガンの方が性格がきついのだ。だとすると、判りきった事であるが、コーディリアは三姉妹の中で唯一、心優しい娘である、ということだ。


Lear: Those wicked creatures yet do look well favoured.
    When others are more wicked, not being the worst,
    Stands in some rank of praise.
                                        [To Goneril.]
                                 I'll go with thee;
    Thy fifty yet doth double five and twenty
    And thou art twice her love.

Goneril:                        Hear me, my lord;
       What need you five and twenty, ten, or five,
       To follow in a house where twice so many
       Have a command to tend you ?

Regan:                              What need one ?

Lear: O, reason not the need: our basest beggars
    Are in the poorest things superfluous:
    Allow not nature more than nature needs,
    Man's life's as cheap as beast's: thou art lady;
    If only to go warm were gorgeous,
    Why, nature needs not what thou gorgeous wear'st,
    Which scarcely keeps thee warm. But, for true need,――
    You heaven, give me that patience, patience, I need !

リア:他にもっと拗けた者がいるときは、拗けた者でも
   結構、良く見えてしまうというものだ。
  最悪でないということが、せめてもの救いとなる。
                  [ゴネリルに向かって]
                余はおまえと一緒に行こう。
  おまえのところの50人は、25人の倍の数だから、
  おまえの愛情は、この女の倍ということになる。

ゴネリル:            お父様、ちょっとお待ち下さいまし。
    既にその倍も召使がいて、お指図を待っておりますのに、
    どうして25人も、いえ、10人とか、5人もの数の
    お付の者が必要でしょうか?

リーガン:           どうして必要なのでしょうか、一人たりといえども?

リア:おお、必要だと言うな、如何に賎しき乞食でも、その取るに足らぬ持ち物には、
  何か余計な物が入っている。人間が必要とする以上の物を自然が与えなかったならば、
  人の暮らしは畜生同然の惨めなものになろうというもの。
  おまえ等は身分の高い女たちだ。もしも、ただ温かくさえあれば良いと、
  それが立派な衣装であると言うのなら、
  おまえ等のその様な温かさのためとは言えぬ立派な衣装は、
  そのようなもの、自然は必要としない。しかし、本当に必要なものは――
  おお、神々よ、余に忍耐を与え給え、忍耐、それこそ余が必要とするものだ!


 ここにも「nature」というキーワードがでてくる。ここでは「世界を司る自然の女神」とか、「世界の有り様」というような意味である。